なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

慢性閉塞性肺疾患(肺気腫)

2023年11月20日 | 呼吸器疾患

 11月16日(木)に呼吸器科外来(大学病院から応援医師)に、隣町の診療所から72歳男性が紹介されてきた。3か月前から咳・痰が続いているという。COPD疑いで、スパイロ・胸部CTなどで精査してほしいという依頼だった。 

 別のことで7月に地域の基幹病院を受診した際に、胸部CTでCOPDを指摘されたようです、とも記載していた。精査と短期間の治療で治療効果があれば、後は診てくれるようだ。

 喫煙歴は、本人の話では20歳から40歳までの20年間に25本/日で、現在は喫煙していない、というか喫煙しなくなって30年以上経過している。

 酸素飽和度は98%(室内気)だった。喘鳴は聴取されず、労作時や夜間~早朝の喘鳴もない。

 胸部単純X線を見ただけで肺気腫(過膨張、横隔膜低平化)とわかる。胸部CTでは気腫性変化(初期像相当)を認めた。スパイロの結果は1秒率68.42%と軽度だが低下していた。

 診療所ではβ2刺激薬の貼付剤(ツロブテロール2mg)を処方していたが、β2刺激薬の吸入LAMA(インダカテロール=オンブレス)に切り替えて経過をみるようだ。 

 症状が慢性咳・痰なので、喘鳴はないが、ICS/LABAの方がいいのかもしれない。(個人の考えです)

 

  同じ日の呼吸器外来に、隣りの県の大学病院呼吸器内科から54歳女性が紹介されてきた。

 今年の9月から労作時の息切れで治療していた。20歳から喫煙歴があるが、46歳時に大学病院の禁煙外来を受診して、禁煙に成功していた。ニコチン依存症治療薬のバレニクリン酒石酸塩=チャンピックスを使用した。

 胸部X線・CTでは気腫性変化を認める(送られてきた画像)。肺機能検査では1秒率が60.98%と低下している。

 LABA/LAMA(グリコピロニウム・インダカテロール=ウルティブロ)で治療していた。肺機能としては改善をみないが、自覚症状は軽減していて、そのまま継続となった。

 

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脳出血

2023年11月19日 | 脳神経疾患

 11月14日(火)に地域の基幹病院脳神経内科から、脳出血の50代男性がリハビリ目的で転院してきた。

 10月28日左半身不全麻痺・軽度の構語障害で発症して、脳出血の診断で入院していた。右被殻出血とあるが、軽度に脳室内にも出血があり、視床出血と表現した方がいいのかもしれない。高血圧症があるが、未治療だった。

 通常は本当にリハビリ目的だが、この患者さんは先方の病院で問題を起こしていた。病院側でも手に負えないかったが、ご本人もこんなところには居たくないと主張したらしい。5日目の11月1日に当院に転院依頼がきていた。

 とにかく病院の何もかもが気に入らず、暴言が続いていたようだ。最初の診療情報提供書には普通に「ご検討ください」とあるが、転院時のには「ご面倒をおかけするかもしれませんが」になっていた。

 地域医療連携室の話では、主治医(若い女性)に相当なことを言ったらしい。当院に転院してからも、内服薬のことでさっそくもめていた。

 当院の担当は、赴任したばかりの先生だが、ベテラン医だ。カルテには、病棟を朝夕2回回診して、病棟看護師さんが困らないようにする、となっていた。

 転院時の送られてきた画像は、発症時と10日後のCTでまだ出血があった。転院時に当院も撮影したが、わずかに出血が残っていた。

 ちゃんと家族(妻と子供3人)がいて、仕事もしている。家族の話では、脳出血の影響というのではなく、普段からそういう人のようだ。たぶん当院のことも気に入らず、早期の退院になりそうだ。

 

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CareNeTV 2型糖尿病の薬物療法アルゴリズム後編

2023年11月18日 | 呼吸器疾患

プライマリ・ケアの疑問
Dr.前野のスペシャリストにQ
糖尿病アップデート編

第2回 2型糖尿病の薬物療法アルゴリズム後編

糖尿病標準治療マニュアル2023(第19版)
 日本糖尿病生活習慣病ヒューマンデータ学会

1.食事・運動療法にて数か月以内に反応があるか?
2.ステップ1
 単剤で開始
 A)ビグアナイド薬(eGFR 30mL/min以上)
3.ステップ2
 1剤併用
 B)DPP4阻害薬
 C)SGLT2阻害薬
(心血管疾患の既往、心不全、微量アルブミン尿・蛋白尿、肥満を有する場合は積極的に開始してよい)
4.ステップ3
 さらに1剤併用
 D)SU薬(少量)またはグリニド薬
 E)経口GLP1受容体作動薬
 (ステップ3のオプション)
5.ステップ4
 他剤併用やインスリン注射薬GLP1受容体作動薬を考慮

 SU薬はグリベンクラミドは使用しないので、グリクラジド・グリメピリドを少量使用する。岩岡先生も、SU薬や1日3回毎食直前のα-GIやグリニドは(ほとんど)使用していない、ということだった。


日本糖尿病学会 2型糖尿病の薬物慮法のアルゴリズム(第2版)

 病態に応じた薬剤選択となっているが、非肥満と肥満で記載してある薬剤がほとんど同じだったりする。(使用する順番はこの通りであることが本文に記載されているが、アルゴリズムの方に記載されていない、そうだ)

 薬剤名を記載した後に、「安全性への配慮」、「Additional benefitsを考慮するべき併存疾患」が記載されていて、逆なのではないか、と批判されていた。ただし薬剤選択の表は役に立つといっていた。 

 

Dr.前野のここがポイント

国内の2型糖尿病治療ガイドライン

糖尿病標準診療マニュアル2023(第19版)
・「日本糖尿病・生活習慣病ヒューマン・データ学会」のアルゴリズムが実践的
・インスリン適応例を除外したのち、「食事・運動療法」を3か月行う
・薬物療法はメトホルミンから開始し、1剤ずつ上乗せする
・3剤併用してもコントロールできないときは、インスリンに移行するか、専門医へ紹介

日本糖尿病学会のアルゴリズム
・日本糖尿病学会のアルゴリズムでは、血糖コントロールに一般的目標値はHbA1c7.0%
・高齢者でインスリンやSU薬などの低血糖が危惧される薬剤を使用している場合は、認知機能やADLに合わせてHbA1cに下限が設けられているので、それを参考に目標を設定する
・各薬剤ごとの効果や薬価、服薬継続率などをまとめた表を薬剤選択に活用する

 

 日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会

 糖尿病標準診療マニュアル2023 

糖尿病標準診療マニュアル2023[一般診療所・クリニック向け ...

 

 日本糖尿病学会

 2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム(第2版)

2型糖尿病の薬物療法アルゴリズムが改訂|最新医療ニュース ...

2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム(日本糖尿病学会) - 山王 ...

 どちらもダウンロードできるので、便利。印刷して持っている。

糖尿病標準診療マニュアル2023

https://human-data.or.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/DMmanual_2023.pdf

2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム(第2版)

http://www.jds.or.jp/uploads/files/article/tonyobyo/66_715.pdf

 

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癌性リンパ管症?

2023年11月17日 | 癌性リンパ管症

 11月12日に記載した肺癌術後再発の67歳女性のその後。抗菌薬を投与したが、肺陰影は増加していった。

 元々微熱~平熱なので熱型では判断がつかない。酸素化は入院時から酸素3L/分で継続していて、飽和度は横ばいだった。炎症反応は、白血球11100・CRP2.7(11月10日)から白血球11200・CRP5.9と上昇したが、細菌性肺炎としては低値になる。

 入院時から奇異な陰影、すりガラス様~浸潤影で、小葉間隔壁の肥厚もある。器質化肺炎の可能性も考えていた。胸水は伴わないが、癌性胸膜炎なのかもしれない。

 11月14日に病棟でポータブル胸部X線を撮影したが、右肺全体に陰影が広がっていて、胸部CTで確認した。入院時の陰影が進行していた。

 11月16日に呼吸器科外来があり、大学病院から来てもらっているが、そのまま待つ気にはならなかた。11月14日からステロイド(プレドニン30mg/日)を開始した。

 病歴をお話すると、当院に紹介した地域の基幹病院にも行かれている先生なので、多少知っているようだった。入院時のCT画像をみて、最初に器質化肺炎ではともいわれたが、これはむしろ癌性リンパ管症でしょう、と言われた。

 器質化肺炎であればステロイドの効果が期待できるが、癌性リンパ管症では難しい。それでも「ここはステロイドを入れるしかないでしょう」、ということで、プレドニン30mg/日を継続することにした。

 

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子宮留膿腫

2023年11月16日 | 産婦人科疾患

 11月14日(火)の午前の救急当番(発熱外来を兼ねる)に、施設入所中の87歳女性が前日からの発熱(37℃半ば)で受診した。

 内科の別の先生の外来に通院していて、8月に尿路感染症で入院していた。外来では1か月おきくらいに診ている。家族は当地にはいない、受診の時は東京から来ているそうだ。

 施設入中で、発熱だけの症状で呼吸器症状はないので、コロナやインフルエンザではないが、検査から入ることになっている。(両者陰性)

 一番は尿路感染症と思われたが、茶色の帯下や性器出血があった。尿カテーテルが留置されているので、尿検査では細菌尿・膿尿になる(除外診断しないと尿路感染症とはいえない)。

 婦人科の感染症が疑われていたが、子宮は前回より腫大して、内腔に液体貯留があった。肺炎はなく、腎臓周囲の炎症像(あっても有意な所見ではないが)もなかった。

 当院は産婦人科の常勤医は昨年中に辞めていなくなった。現在は主に健診の二次検査を見てもらうために、非常勤で来てもらっている。その日や来ていたので、診察をお願いした。

 処置中に出血と黒茶色の帯下と膿が出てきた。ただし膿の量は少ない。培養と細胞診が提出された。外来で抗菌薬の点滴を行って、内服薬で次の婦人科外来まで経過をみてもらうことになった。

 

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術前血糖コントロール

2023年11月15日 | 糖尿病

 11月13日(月)整形外科医に、大腿骨頸部骨折の80歳代女性の血糖コントロールを依頼された。11月11日の夜間に救急搬入されていた。当直の腎臓内科の若い先生が入院させていて、月曜日に整形外科に申し送られたばかりだった。

 隣の隣の町内にある内科医院(糖尿病専門医)に通院している。時間外は血糖しか測定できないので、週明けに13日に検査してが、HbA1cが9.0%だった。

 HbA1c はすぐには下がらない。2週間で食前血糖を100mg/dlにして下さいという。整形外科は無菌手術なので、結構血糖コントロールの要求は厳しい。そこまで下げると、低血糖も出てしまうので、140mg/dl以下でどうだろうか。

 内科医院の処方は、DPP4阻害薬(リナグリプチン5mg1錠分1)・メトホルミン(250mg4錠分2)・グリニド(レパグリニド0.25mg3錠分3だった。グリニドは中止した。(リナグリプチンと、手術まで間があるのでメトホルミンは継続)

 入院後の血糖は、空腹時が200mg/dl台で、昼夕の食前血糖が300mg/dl台と高かった。骨折の影響でふだんよりさらに高いのだろう。インスリン強化療法(持効型+超速効型)で開始した。それぞれ3単位で開始(超速効型は血糖高値の時は増量)した。

 翌14日にも血糖はほとんど変わらず、それぞれ4単位(超速効型は血糖高値の時増量)に増量した。尿カテーテル留置もあり、SGLT2阻害薬は追加し難い。

 

 術前血糖コントロールの目安は、空腹時血糖140mg/dl以下(100~140mg/d)、食後血糖200mg/dl以下(160~200mg/dl)、尿糖(1+)以下尿ケトン体陰性になっている。

 手術延期の基準は、空腹時200mg/dl以上または食後血糖300mg/dl以上、尿ケトン体陽性なので、今はまさにその状態だ。(尿ケトン体は陰性)

 

 別の糖尿病の患者さん(60代女性)は膝関節の手術を希望していたが、膝外来に来ている専門医(別の整形外科専門病院から応援)にHbA1c6.4%以下にしないと手術しないといわれた。

 何とかして下さいといわれた。直近のHbA1cは6.9%でそう悪くない。そのままでもHbA1c<7.0%の基準は満たしている。(インスリン強化療法にGLP1受容体作動薬・SGLT2阻害薬で治療している)

 薬剤調整で6.7%(1か月弱の変化)になったところで、このままいけば6.4%以下になる見込みとして、手術日程が決まったそうだ。

 

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誤嚥性肺炎

2023年11月14日 | 呼吸器疾患

 11月10日(金)は当直だった。翌11日(土)の午前8時前に市内の救急隊から搬入依頼がきた。

 糖尿病・高血圧症・ラクナ梗塞で市内のクリニックに通院している85歳女性が、嘔吐して動けないという。救急車に収容して体温を測定すると38℃あった。咳はしていない。酸素飽和度が90%(室内気)で酸素吸入を開始していた。

 明らかな呼吸器症状はないが、肺炎だろうか。来てもらうことにした。

 コロナ、インフルエンザの迅速検査は陰性だった。胸部X線・CTで確認すると、両側肺の背側(上葉~下葉)にすりガラス陰影と浸潤影が混じったような陰影があった。

 嘔吐したのは両側肺炎による体調不良のためだろう。昨日夕方から調子が悪いと本人も言っていたそうだ。

 時間外なので、血液検査は簡易検査になるが、白血球18400・CRP4.2と上昇していた。CRPからみて昨日からのイベントだろうか。

 酸素吸入3L/分で飽和度は97%まで上昇した。認知症はなさそうで、普通に会話できた。午前9時過ぎには外来の処置が終了して、病棟に上げるばかりになったから、大至急の処置になる。(午前中に用事があったので急いでいた)

 11月13日(月)には解熱して、酸素吸入は2L/分に減量されていた。聴覚言語療法士(ST)に診てもらうと、嚥下調整食4からでいけます、といわれた。

 画像からは誤嚥性肺炎に見えるが、嚥下障害はないのだろうか。糖尿病薬は休止していたが、降圧薬は内服できれば継続にしていた。

 「絶食にして、内服薬は内服できれば継続」という指示を出してしまうが、「誤嚥性肺炎の患者さんに錠剤を飲ませるのは、ピーナツを丸のみにして下さいというのと同じ」、と誤嚥性肺炎の本に書いてあった。

 

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CareNeTV 2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム前編

2023年11月13日 | 糖尿病

 CareNeTVの「Dr.前野のスペシャリストにQ」で、「糖尿病アップデート編」が始まった。講師は岩岡秀明先生。所属が船橋医療センターから鎗田病院に代わっていた。(年齢的には定年だったのだろう)

 岩岡先生といえば、「ここが知りたい!糖尿病診療ハンドブック」(中外医学社)の編集をされている。「ここが知りたい!」シリーズでは、この病尿病が第5版になっていて、一番定評がある。2~3年おきに改訂してきているので、来年あたりは改訂になるころだ。

 

プライマリ・ケアの疑問
Dr.前野のスペシャリストにQ
糖尿病アップデート編

第1回 2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム前編

糖尿病治療で重要な「ABCD
A:HbA1c 血糖コントロール
B:Blood Pressure 血圧コントロール
C:Cholesterol 脂質コントロール
D:Don't Smoke 禁煙

ADA(American Diabetes Association)の2型糖尿病血糖降下薬の選択アルゴリズム2023

健康的な生活習慣行動:糖尿病事故管理教育及び療養支援
・2型糖尿病 高リスク患者における心腎リスクの低減
・血糖・体重管理目標の達成・維持

・治療上の惰性(Therapeutic Inertia)を回避するため3~6か月ごとに定期的に治療の再評価と見直しを行う
・メトホルミン使用の有無にかかわらず考慮される→SGLT2阻害薬/GLP1受容体を推奨する
・CKD合併例においては、SGLT2阻害薬が優先される
・ハイリスク患者では、低血糖の回避が優先される

ADAでは基礎薬としてメトホルミン使用を推奨している

目標A:心腎ハイリスク患者のリスク低減
動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)あり、またはハイリスクの場合
 GLP1受容体作動薬またはSGLT2阻害薬を使用
 目標未達成ならば、両剤の併用を考慮する
▸心不全ありの場合
 SGLT2阻害薬
▸CKDありの場合
 最大量のACE阻害薬/ARBに加えてSGLT2阻害薬
 またはGLP1受容体作動薬を使用(ただしSGLT2阻害薬が優先)
 目標未達成ならば、両剤の併用を考慮する

目標B:血糖/体重管理目標の達成と維持
▸血糖管理
 メトホルミンまたは、十分な血糖降下作用を有する薬剤(GLP1受容体作動薬GIP/GLP1受容体作動薬SGLT2阻害薬;併用を含む)を使用
▸体重管理目標の達成と維持
 体重減少作用の強度を加味して薬剤を選択
 例えば、GLP1受容体作動薬セマグルチド
 GIP/GLP1受容体作動薬チルゼパチドは「超強度」

HbA1cの低下に注射薬が必要な場合
  ↓
多くの場合インスリン製剤の前にGLP1受容体作動薬又はGIP/GLP1受容体作動薬を考慮
  ↓
HbA1c目標値が達成できない場合
  ↓
Basalインスリン製剤を追加

▸日本人はGLP1受容体作動薬使用前に血中Cペプチドを測定する
Cペプチドインデックス=Cペプチド÷血糖値×100
0.8以下の場合はインスリン使用

糖尿病合併症の軽減
・血糖管理
・血圧管理
・脂質管理
・心血管及び腎臓に対するベネフィットがある製剤
生活習慣の改善及び糖尿病教育

Dr.前野のここがポイント

ADAの薬物療法アルゴリズム
・糖尿病治療で重要なABCD
血糖、血圧、脂質管理、禁煙
・3~6か月毎に治療の再評価と見直しを行う

治療目標
1.心腎ハイリスク患者のリスク低減
2.血糖/体重管理目標の達成・維持
薬剤選択
ASCVDリスク有GLP1受容体作動薬SGLT2阻害薬
心不全SGLT2阻害薬
CKDSGLT2阻害薬次GLP1受容体作動薬
・インスリン製剤の前にGLP1受容体作動薬が推奨されている
・日本人の場合は血中Cペプチド測定で内因性インスリン分泌があることを確認してから使用する

 

 

薬物療法ガイドライン | 糖尿病診療メモ

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肺癌、肺炎

2023年11月12日 | 呼吸器疾患

 10月24日に記載した肺癌術後再発の67歳女性は、10月27日に発熱で発熱外来を受診していた。担当医がCOVID-19とインフルエンザの迅速検査を行いた。いずれも陰性で、帰宅としていた。

 その後は食欲は良好だったが、微熱が続いていた。11月10日に、デイサービスに行ったところ動作時の息切れがあり、家族が呼ばれて、病院を受診するよう指示された。酸素飽和度は車椅子に座っていると96%(室内気)で低下はしていなかった。(施設で書いたメモを渡されていた)

 午後に受診してきたが、体温36.9℃で酸素飽和度は97%(室内気)だった。フィリピン生まれの方で日本に20年住んでいるが、言葉はわからないところもある。

 胸部CTで右肺の上葉・下葉にすりガラス陰影と浸潤影があった。左肺に胸膜直下にコロナ様の限局性陰影もあった。念のため新型コロナのPCR検査も提出したが(迅速PCR)、陰性だった。

 肺炎に併発した肺炎ということになる。10月27日に受診した時からとすれば、ウイルス感染症からの二次性細菌性肺炎になるか。すりガラス陰影のところが、普通の肺炎として奇異な印象はある。

 肺癌の肺内転移の結節も見えるようになっていた。肺炎としては炎症反応の上昇は軽度だった。全部でないにしても肺癌自体の陰影なのだろうか。

 介助で車椅子の生活で高齢の夫(年齢差がある)の介護が大変になってきているそうだ。患者さんにやり方のこだわりがあり、その点でも疲れるようだ。

 入院治療としたが、自宅から持ってきたいものがあると主張して、いったん帰宅して戻ってくるという。病院の入院セットがあり、夫も自分が持ってくると言ったが、きかなかった。

 

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誤嚥性肺炎

2023年11月11日 | 呼吸器疾患

 11月9日(木)の午後に81歳女性が救急外来を受診して誤嚥性肺炎で入院した。救急当番の担当だった別の内科医が診てくれた。

 2年前まで当方の外来に糖尿病で通院していた。手足の浮腫を伴うリウマチ性多発筋痛症(PMR、RS3PE)でプレドニンを使用したこともあった。

 同じく認知症の夫と二人暮らしだったが、夫は精神科病院に入院して、この患者さんは2年前に介護施設に入所した。入所後は嘱託医が治療している。娘さんが介護の仕事をしていたのが幸いだった。

 

 その日の午前10時頃にベット上で嘔吐した。酸素飽和度が79%(室内気)となり、発熱が38℃台となって、午後2時過ぎに救急搬入された。

 胸部X線・CTで左下葉背側に浸潤影を認めた。時間的に誤嚥後3時間くらいでそれほど陰影が出るかとは思う。すでに肺炎が発症していて、体調不良に伴う嘔吐なのかもしれない。

 さらに頭部CTで(念のために撮影した?)、右前頭葉に低濃度域があり、左右比較すると右側が腫脹している。MRIはしていないが、比較的新鮮な脳梗塞の可能性がある。

 通常の治療をして、病状悪化時はDNRの方針として入院した。入院後は解熱して、酸素化も良く、経過としてはいいようだ。

 

 誤嚥性肺炎は「成人肺炎診療ガイドライン2017」には誤嚥性肺炎の明確な診断基準はなく、嚥下性肺疾患研究会で定義されている。

 それによると、まず肺炎の診断は、次の①、②を満たす症例とする、とある。

 ①胸部X線または胸部CTで肺胞浸潤を認める ②37.5℃以上の発熱、CRPの異常高値、末梢血白血球数9000/μL以上、喀痰などの気道症状のいずれか2つ以上が存在する

 あとは、

 確実例誤嚥の直接観察 明らかな誤嚥が直接確認され(食物、嘔吐など)、それに引き続き肺炎を発症した例

 ほぼ確実例嚥下機能障害の存在 臨床的に、飲食を伴うむせなどの嚥下機能障害を反復して認める例

 疑い例嚥下機能障害の可能性 臨床的に、誤嚥や嚥下機能障害の可能性をもつ下記の基礎病態ないし疾患を有する例

 つまり、肺炎があり、誤嚥したところを見れば確実例、ふだんから誤嚥していればほぼ確実例、誤嚥してもおかしくない疾患があれば疑い例、ということ。

 

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