Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

ナショナル・シアター・ライブ5周年記念シンポジウム②

2018-07-22 09:50:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


開催された青山学院大学にもナショナルシアターと似た様式の建物もありました。20世紀の中頃、ミッドセンチュリー〜70年代頃?

さて、第3部は「ナショナル・シアター・ライブの回顧と展望」と題したパネルディスカッションとのことですが、ゲストの経験や専門分野の解説などの話が聞けました。


青木 豪氏(劇作家、演出家、明治大学兼任講師)は、2000年代に文化庁の留学生として10か月ロンドンに留学中、オーディエンス、夜中に犬に起こった奇妙な事件、オセロ、リア王などNTLiveラインナップの舞台も幾つか見た。チケットはソールドアウトになっていてもギリギリでキャンセルが出たりするので諦めずに並んで待って結構取れた。しかしNTLiveはそのような苦労もなく見られるというのは楽でいいと思う(笑)。

彼の5周年ラインナップからのベスト1「リア王」を見ていた時、ラッセル・ビールが舞台でつまずき転んでしまった。その後少し演技を続けてから、袖に引っ込んだ後、演技をもう続けることが不可能ということで、アンダースタディ(代役)にキャストを変えて最後まで上演された。そんなことあるんだと驚いたが代役さんはちゃんとセリフを覚えていた。

ベスト2「スカイライト」密室の2人だけの会話というのに、あの壁が透き通って建物が背景に見える演出方法は、部屋を区切らないことで社会性が生まれた。

ベスト3は「橋からの眺め」1作発表するたびに話題になる監督イヴォ・ヴァン・ホーヴェ、今もフランスでかっこいいことやってますね。(The Damnedのことかな?アメリカに移ったみたいです・・・)この演出もやはり印象的、そして役者がうまかった。最後の血まみれ、わー

4「誰もいない国」喜志哲雄さん翻訳の脚本を読んだが、ちっとも内容がわからなかった。ところが見たらとてもわかりやすかった。解説で2人が出会ったのがハムステッド・ヒースというのはゲイがウロウロしている所と知り合点がいった。

5「アマデウス」です。

ところで「谷中犬」は、僕も舞台で見られたんですが、その後ヒットしてウエストエンドに行きました。その時は舞台装置は変わったので、このNTLiveでは貴重な初期バージョンが見られるのもいいですよ。素数にこだわる内容なので素数の番号の客席には他の席と違う紙が置いてあるこだわりです。そして僕が見たのは2階の2、3列目の真ん中辺だったのですが、1幕目の終わりにライトが消えるとき、主人公が舞台で作ってる電車路線の模型と連動して、2階席と3階席の手すりの上に線路のライトがつけられていて、そこを電車がバーッと走る仕掛けがしてあるんですよ、そしてこれからロンドン行くぞーっとなるわけです。上の席の人だけ見えるんです。


柏木しょうこ氏(映像翻訳家)はリア王から翻訳監修です。
「NTLiveでは字幕に皆さん愛を持って意見を下さっていますね」と前置きしながら日本の字幕のガラパゴス進化した状況を語ってくださいました。
他の国では映像字幕は補填情報にすぎない位置。なのでプロの字幕翻訳家というのはなく、字幕が出るのも映画祭くらい。(つまり後は吹替ということですね)
日本の字幕というのは、観客は読みながら脳内で吹替ていくので、作品と一体化するよう出るタイミングも調整されます。横に読んでいくのではなく、パッと全体を見て意味がわかるのがいい字幕とされています。(補足/たぶん写真を見るような感じですね。)ですから漢字とカナの分量も「見て」わかりやすいよう決めますし、字数制限はあるけれど、長いカタカナの名前は全部をいちいち読まないので字数からはみ出しOKです。

このような日本の字幕文化をこの「日本語はありえない」と言われたコリオレイナスをきっかけに言うようになったのでイギリスサイドに少しは伝わったかな。

ところで映画と演劇はセリフの構成がまったく違う。映画は映像で表現するのがメインだが、戯曲はセリフで場面を想像させるので言葉が多い。人間の感情を日本語のリズムにリンクさせたり字幕を出すタイミングも視覚効果となる。

しかもシェイクスピアは独り言が多い(笑)。舞台はセリフとともに観客の感情が変わる。でも実際字幕は全部読まなくてもよくて、俳優さんの演技の方を見た方がいい。


河合祥一郎氏(東京大学大学院教授)は6年間の英国留学中に安い演劇も含めたたくさん舞台を見たとのこと。円盤化された「嘆きの王冠」は柏木さん訳河合先生監修という作品です。

ベスト1は「オセロ」、エイドリアン・レスターのオセロVSロリー・キニアのイアーゴの対決。この話は、よく聞く声として「なんでオセロはあんなハンカチ1枚で騙されちゃうの?バカじゃないの?」というのがあるが、この話は軍隊の芝居なんです。軍では上官が部下を信用しないと成り立たない世界で、イアーゴは正直者という前提で成り立っている。

ベスト2「エンジェルス・イン・アメリカ」空間の使い方が上手く人の心のつながり方を表してました。

3「ジ・オーディエンス」日本ではあの会話は全くわからないと思うけど、役者がいいと機微で笑和せる。

4「誰もいない国」その場で役者が隙間を埋めていく脚本です。セリフにバックストーリーがあり人物の歴史が込められているが、イアンとパトリックがその隙間を全部埋めていました。

そもそもイギリスの芝居の作り方は2週間(脚本の)読み合せ(椅子に座ったまま読む)をして、その時にその人物が何をしてどんな格好しているのか細部まで具体的に決めていくんです。

日本の蜷川さんなんかは、顔合わせたらもう初日から立ち上がって演技を始めるんですが、イギリス式は「リアリズム追求」だと言ってました。

(*この辺りは、青木さんと河合さんお二人で話されていました)でも日本の舞台人がそれをやっても、マネは本家を超えられないんですね。それにイギリスの演劇学校のメソッドは共通しているものがあり、共通言語があるのだけれど、決まっているだけに特異なものは生まれにくい。その点日本の演劇界だと突然変なものが出てくることもあるわけです。(*この話、日本のファッション界の事情にも似てると思いました。洋服の歴史では西洋を超えることはできない日本のデザイナーもアヴァンギャルドをやると世界で認められる人も出ます。やはり西洋文化は日本人にとって他人の土俵。)

5「深く青い海」

あと「リア王」の痴呆症という解釈についてですが僕は違うと思います。現代では認められなくなった「王の権威」にしがみつく父親と現代的価値観の娘との世代間のギャップです。


だいぶ長くなってしまったので「Q&A」は③に続けます。


ナショナル・シアター・ライブ 5周年記念シンポジウム①

2018-07-21 21:46:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


この英国舞台と映画愛に溢れる集いを仕切ってくださっていたのは、会場となった青山学院大学教授の狩野良規さんで、下のプリントの内容を話してくださいました。




第1部:映像は、8/8発売のDVD「ナショナル・シアター50周年オンステージ」からで本邦初公開とのこと!

・初めて見る2000年の「ハムレット」
・懐かしいな、ベネさんの「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」
・デンチさまとキニアさんの「アントニーとクレオパトラ」
・1979年の「アマデウス」おおお!映画のもとになったもの!サリエリいい!

詳しくは上の写真をクリックすると少し大きくなります。狩野先生の楽しいコメント読むと著書を読みたくなりました。


第2部:
中村未知子氏=(NTLive配給会社)カルチャヴィル代表
兵藤あおみ氏=演劇ライター、NTLiveパンフ寄稿・制作

カルチャヴィルは、ブラナー・シアター・ライブ、「嘆きの王冠」映画館上映もやってくださっていた会社でした。大変にお世話になっております!しかもほぼ中村さんおひとりで切り盛りされてるとのこと。

NTLive始めたきっかけは、映画館で音楽ライブ映像など映画以外の企画を考えていたところ、TOHOシネマズさんから提案があったそうです。その時ベネディクト・カンバーバッチ人気が大変に盛り上がっていて、ダニー・ボイルも人気映画監督ということで集客が見込める「フランケンシュタイン」上映が単発で実現、雪の日にもかかわらずお客さんが入った、というところから年間での企画になったとのことです。

次もトムヒ人気で「コリオレイナス」にしたら字幕でクレームが来た。実はナショナル・シアターは字幕もセットにして作って世界中に売っていて、その理由はアーカイブとして統一したものを残す、また字幕制作までの助成金も受けているという政治的なこともあるそう。

ただ映像字幕は日本でガラパゴス的に発展していて、その他の国では補助的についてるだけでレベルが全く違う。しかし「シェイクスピアへの冒涜」とまで言われた声を汲み、字幕の直しをしてもいいことになった。

同じ時期にRSCの「リチャード2世」がイオンで上映されたが、あちらはこけて終わってしまった。やはり、続けるのは動員が必要!

最近の「アマデウス」が1日2回だったのは、映画館が動員を見こしてそうしたらしいです。日程までは配給会社さんが入るが、その後どのスクリーンで何時からというのは、映画館によって決められるのだそうです。

ですので、例えば問い合わせでもいいので何か映画館に対してアクションを起こせば、映画館はお客さんの反応として捉えるので、NTLiveの今後の動向に影響を与えますし、お友達も啓蒙して是非連れて行ってください!!!とのことです!

来年のラインナップとしては、イアン・マッケランの「リア王」、ジュード・ロー「郵便配達は二度ベルを鳴らす」、キニアさんの「ヤング・マクベス」あたりが候補に挙がっているようです。




会場の青山学院大学に素敵な建物が。




第3部とQ&Aは後編②に続きます・・・

シャングリラで午後茶

2018-07-20 18:48:00 | たべもの


みなさま、お暑うございますsunsunsunsunsun

こんな季節には、いっそ南国と思えば暑さもまた楽し・・・くはないけれど、香港発の5つ星ホテル「Shanguri-La Tokyo」にてアフタヌーンティーを堪能しに行ってきました。

贅沢さにも色々ありますが、やはり中華系ですので、金蘭豪華さは保証つきです。そこに元イギリス植民地としての英国文化の名残り、洋画の民的にはジェイムズ・ボンドの世界です。いっその事007が支配人でQがホール担当に変装して給してくれたら・・・!



3段トレーのお皿も金箔押しの黄色系で何やら金運がつきそうな。

1段目:メロン&杏仁ゼリーとバナナムースのチョココーティング

これがアイスバーみたいで、コーティングにはPOPな向日葵プリントがはってあります。絶対ヨーロッパ系にはないデコかと。



2段目:赤い果実のオペラケーキとスイカのマカロン

赤い果実は、苺とラズベリーでここは英国のサマープディングぽいです。しかしやはりそれだけでは終わらない、両サイドのホワイトチョコには花火のようなお花のような模様が!もう、完璧な英国&中華MIXです。そ・し・て、スイカの模様入りのマカロン〜〜〜!これまでアフタヌーンティーは色々試してきましたが、POPナンバー1で賞。



3段目:キューバンパニーニのサンドイッチ、コーンのまん丸帽子付き野菜タルト、桑の実と南瓜のタルト。

中華&英国にラテンの血も参加してパニーニのサンドイッチ、これがとても美味しゅうございました。チーズとハムかチキンにスパイスが効いていました。暑くても食欲アップです。そしてこの手前のお墓のような棺桶のような直方体は、一見ケーキですがクリームチーズのほんのり塩味なのでした。そう、3段トレーの最下段はお菓子ではなくお食事系のメニューと相場が決まってますが、その例に漏れず、しかし可愛みは追求された部分に、日本と同じアジアのデコ好きを感じました。



食い意地が張りすぎたのか、英国式アフタヌーンティーの主役、スコーンの写真を撮り忘れてしまいました。スコーンは3種:プレーン、桃、ココナッツをクロテッドクリーム、メープル、マンゴークリーム、苺ジャムの4種のソースでというものでした。

さらに3段トレーの前には、アントレふうに胡瓜とアロエベラのゼリー カンパチのタルタルとサワークリームという足つきのグラスに入った一品も出てきたのですが、胡瓜と生魚の苦手な私はお友達に助けてもらいました。サンドイッチの薄切り胡瓜ならば少しは食べられるようになったのですが。。。

そして飲み物はメニューから好きなものを好きなだけ注文できます。トロピカルなフレーバーティーも充実していました。


それとですね、今回、東京駅すぐの28階というロケーションだけど窓際ではなかったんです。でも真ん中のお席はソファーで広々ゆったりしていて、貴婦人が脚を横に投げ出せるタイプの「寝椅子」と呼びたくなるようなやつなんですよ!あのタイプには思わずマダムが集まって麻雀に興じるようなちょっと古めかしい異国趣味シーンを想像できます。

サマーフルーツアフタヌーンティーは平日限定の割引もあり8月いっぱいまでです。


そんな豪華な場所で話題といえばピーターラビットにマーベル、ドクター・フーにモースと、いつものこのブログと同じ。。。。




POLDARK 0406

2018-07-17 20:01:00 | POLDARK


じわじわと物語は進んでいきます。

ロスはロンドンでピット首相(ベネさんじゃなかった!)とお食事をしておりました。弱き者の味方同士、これから関係は強くなるのかな?!

可愛いジェフリー・チャールズはロンドンで賭事に夜遊びで放蕩息子となっているのをロスに見つかり実家に連れて返されました。うーん、母親が嫌な男と結婚している息子としてのささやかな抵抗?

未亡人となったモワナに追い返されたドレイクは海に浮かぶ死体のように暗くなっちゃって・・・モワナとラブラブだった時はカッコよく見えたのにすっかり田舎のネズミのごときボロボロさ。今は弟を気遣うお兄ちゃんの方がキリッとしています。人間って状況で外見までこうも変わるのですね。

そのモワナですが!前エピのコメントでhedgehogさんが推測した通り?!あの足フェチ牧師の子供を身ごもっていました!わーhedgehogさん素晴らしい。

(でも来週の予告でモワナちゃん、姑に「asylumに行け!」って言われてるんですよ。asylumって保護施設の意味ですけれど、調べたら精神科病院という意味も。どういう所なのかはっきりわからないけど、家を出るということは、ドレイクと会えるチャンス???)

そして今週で1番気になったのはですね、ロスとエリザベスが何やら仲よさげな。少し前に教会でふたりきりになった時がありましたけど、その時に「8ヶ月の子供をまた産んであげるとか?」ってロスがエリザベスに言っていたって?!

な、なんか、このふたりのこういう雰囲気、嫌なんですけど・・・昔の恋人同士だったからって、エリザベスさん、あーたはその元恋人の従兄弟と結婚しただけでなく、宿敵とも結婚しているんですよ、もっと自分を嫌いになりなさいよ!

そ、それでエリザベスは再び妊娠したことがわかりますが、今度こそジョージとの子供なんですかね?!なんかよくわからなくなってきました。

ヴァレンタインはそんな大人の事情には関係なく、美しい少年に成長してきて、ちっともジョージに似てませんwww

ジョージのロスいじめは、今度はマネーフロー陰謀でロスの財産と仲間の銀行を潰しにかかりました。しかし結果、ロスは新銀行の役員になってしまいました。苦境転じて出世、ロンドンにデメルザを連れて戻ります。

そりゃそうです!エリザベスに甘い顔をして、自分の妻には金策をさせておいて、そのくらいしないと心底ロスを嫌いになりますわ!

しかしこんなプロットの70年代原作の話を現代にリメイクとは、どこかでちゃんとデメルザがいい思いをできるどんでん返しをやってくれますか?でないと身勝手な男の話になってしまう〜〜




ジュラシック・ワールド/炎の王国

2018-07-16 20:34:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


とても良かったです!

もともとはクリス・プラットにつられて前作を見たのですが、その続編のこちらはクリプラはもちろん、恐竜たちや少女メイジーがもう可愛くって、新キャラの若い男女もそれぞれ楽しくて、

なおかつ舞台が前回のジュラシック・ワールドからゴシックな館ロックウッド邸となり、ロンドンの自然史博物館さながらの広さの豪邸と隠された研究所と恐竜養育施設・・・

こ、これはゴシックロマンス動物ものだったのか・・・!ど、どっちにも弱いぞ!


しかも前作ではクレアが癇に障ったのですが、大きな組織のポジションをなくし、今度は恐竜愛のために自ら活動をリードしているという好ましい女性に。

そしてロックウッド邸では、カリフォルニアだというのに当主の孫娘はナニーによって養育され「クイーンズ・イングリッシュで話しなさい」と躾けられている。このナニー、アイリスさんもステキだった。

恐竜さんたちもそれぞれに可愛く、可愛いもの満載。

特に泣けるのはブルーちゃんです。ですよね?

個人的には、いくら知能が高いとはいえ、いくらオーエンを育ての親だと認識しているとはいえ、オーエンに会いにジャングルから出てきたら、人間に痛い目に合わせられて捕獲され拘束されてしまったのに、それをオーエンのせいではないと複雑な事情をどうやって察することができたのか、かなり気にしてしまいました。

しかしまあ、これは映画だ、ストレンジ先生にとってのマントちゃんみたいなものだと無理やり納得(可愛いから許しちゃう)、

最後の最後に、あんな大きくて怖い敵の上にドーーンと舞い降り君臨して誇らしげに雄叫びをあげる様子(あげたかな・・・?)には、映画館の席の中で飛び上がって拳を振りたくなりました。

賢く強い女の子のブルーちゃんはまた、自由な子なので、育てのパパの敵をやっつけたらジャングルに帰っていく様子も良かった。

そしてこの作品のポイント、メイジーちゃんも頭の回転が早く勇敢な女の子でしたね。

クレアの部下の女子ジアも同じく賢く強い、そして部下の男子は逆にジャングル行くのに日焼け止めを一生懸命塗りたくるという、一昔前なら白人女子に振られていたであろう役割を担っているのも今のハリウッドだな〜と気持ちが良かったです。

しかもラストで、オーエンとクレアが、自分の感情では恐竜を救いたいけど社会的にそれは許されないと諦めたのに反し、

自分の出生の重大な秘密を知ってしまったメイジーは、「命には価値がある」と科学によって生まれた恐竜たちを救うのですよね。。。

なかなか解けなかった問題の回答をもらったようなスッキリ感いっぱいの作品でした

・・・・が、野生の恐竜がどうなるか、が次回作のテーマ?

1種1頭ずつしかいないんだから繁殖しないので大丈夫じゃないの???