昨日まで2日続けてリベラ.デル.デュエロのワインの話をしましたが、今月は他にも2種スペインのワインをグラスで開けています。
その内の一つは私にとっては思い出深い産地ムルシア県のフミリア(フミジャと読む人もいますが現地の人はフミリアと言っていました)のものです。
スペインは幾つかの産地を除いて、ごく最近まで国内消費専用か、他の国の日常消費用のバルクワインの生産しかしていませんでした。よって高級なワイン、名の売れたワインの生産は殆んど無かったといっていいと思います。
ところがプリオラートと言う産地で「4人組」と呼ばれる生産者が革命を起こし、無名の産地での高品質ワインが造られ始めます。
その一つがフミリアです。ここでは1990年前位からやっと本格的な生産に至っています。
地中海から少し内陸に入った非常に雨の少ない産地では旱魃に強い葡萄の代表モナストレル=フランスではムールヴェードルと呼ぶ=が中心品種です。
エンバソ(フランスではゴブレと呼ばれる)=垣根なしの自立させた低い仕立て=で水分を無駄にしないように育てられます。
雨が少ないと根は深く入りミネラルの骨格が酸の少なさを補います。
良いタイミングで収穫されると、深みのあるボディ豊かな、しかも柔らかさのあるワインが生まれます。
今月のはサンイシドロというワイナリーの93年のものです。熟成も18年目を迎え「グラスワインにして大丈夫?」と思いましたが無駄な心配でした。澱も出荷前に引き抜いていますので問題ありません。モナストレルの魅力が充分に出ています。
それと、有名でなかった産地のチャームポイントは安い、と言う事でしょう。18年前のワインなら高そうですが、普通の価格です。グラス1,000円。
暑いスペインの典型的な味わい、モナストレルの昇華した味わいをお楽しみください。