大正の末期から昭和の初期には先端を行く人たちの事をモダンボーイ、モダンガール、略して「モボ、モガ」と言ったり、喜劇王、榎本健一さんをエノケンと呼んだりしていました。
そういえば私もヒグマコと一時言われたような気がします。
ワインの世界でもあります。
グランクリュ(Grand Cru)をGC、ニュイサンジョルジュ(Nuits St'Georges)をNSG、アルザスの貴腐ワインセレクション.ド.グラン.ノーブル(Selection de Grain Noble)をSGN、ドンペリニヨン(Dom Perignon)をDP、そのロゼはDPRなどと略しています。
チョット日本と違うのは文字では略しても読みは正確に言うほうが多いようです。
ちなみに私は若い頃は略してワイン名をいう事が多かったのですが、徐々に正確に言うようになって来ました。やはり名前ですから、正確に言いたいのです。
しかし中には略していうのが正式名称のようになっているものもあります。
例えばVDNとかVDLです。
前者は天然甘味ワイン=ヴァン.ドゥー.ナチュレル。天然の甘い果汁の発酵途中にアルコールを添加しアルコール発酵を停止させて甘みを残したワイン。マスカットベースの白やグルナッシュベースの赤があります。南仏が多いですね。
後者はリキュールワイン=ヴァン.ド.リクール。これは似ていますが発行をしていない果汁にアルコール添加したものです。シャンパーニュやコニャック、南仏等々各地で造られています。
何れも果汁由来の香りと甘みがあってチャーミングです。貴腐ワインは貴腐菌の作用で葡萄らしさは感じにくいですし、葡萄を干して造る甘口も独特の酸化風味を持ったものが多いのです。
中には赤いVDNの中にはわざわざ酸化させて造るものもありますが、マスカットベースのものは間違いなくマスカットらしさをもっていて食後酒に限らず3時のおやつにも最適。
勿論フォワグラにも良いですね。
いずれにせよ、通常この類の物はVDN、VDLと略して呼ぶのが普通になっているようですね。
今月は「ミュスカ.ド.ボーム.ド.ヴニーズ」と言うのが開いています。名前の通り「ミュスカ=マスカット」で出来たVDN。優しく柔らかい甘みです。
貴腐ワインやポルトには飽きた、或いは別のデザートワインを体験したい、と言う方は是非お試しください。癒されますよ!!
略語で「VDNある?」なんて聞いてください。