ダイニング・ウィズ・ワイン そむりえ亭

料理にワインを
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 樋口誠

RMかNMか?

2013年10月24日 02時54分28秒 | ワインの事

ブルゴーニュでいうとドメーヌか、ネゴシャンか?という問いに似ています。

シャンパーニュではRM=レコルタン.マニピュランか、NM=ネゴシャン.マニピュランか?となりますね?

つまり自分の所有する畑の葡萄だけで造るか、他の人の畑の葡萄を購入して造るか?

ブルゴーニュでは以前からドメーヌ信仰というものがあり、最近ではシャンパーニュでRM信仰が目立ちます。

確かに素晴らしいRMのものは「唯一無二」な感じがありますし、独創性も感じたりします。

大手のネゴシャンのものは、そういう点では違うかもしれません。

しかし、それは「大手」であり「老舗」であるが故に、或いは彼らによってシャンパーニュの名声が高められた結果によって築き上げられた「イメージをなぞるから」だろうと思います。

一昨日ワインメーカーズディナーをしたヴーヴクリコもそうですし、そういった老舗のネゴシャンには「揺るぎなさ」がありますし、同じ価格、同じレンジで比べると多くのRMを寄せ付けない安定感と熟成の旨味を感じます。

RMは生産量が少ないのは当然ですし、丁寧な造りです。が、畑のチョイスが出来なかったり、ノンヴィンテージ用のベースワインのストックが少なかったりしますから当然安定感に欠けます。

また資金調達の点からも熟成期間を長く取れないこともしばしばあります。

酵母によるイーストの香りや旨味を「樽熟成」で補わざるを得ない、という事情もあります。が、これは功を奏してファンを広げているかも知れませんね。


つまりNMかRMか、という単純な問いでは答えは出ないのですね。

また時代がシャンパーニュの売れる時代ですからRMの資金力も上がってきました。

複雑な糸を紡ぐような出来栄えを期待するならNM、個性を探すならRM。

かな、とも言えますが「必ずそうだ」とも言えません。


つまり私が言いたいのはRMだから、とかNMだけど老舗だから、とか言う理由で固まるのは勿体ない、という事です。

一昨日のディナーではヴーヴクリコのシャンパン5種でも色々な料理が考えられるわけですから、色々な出自のシャンパンが有れば色々なシチュエーションが考えられる、というのが最も楽しい扱い方ではないか、という事なんですね。

ちなみにヴ―ヴクリコの醸造責任者のドミニク.ドゥマルヴィル氏は造るだけではなく「自分の造ったものを最大限に美味しく飲んで欲しい」という意欲が見えるかたでした。

「樋口よ、素材は何を使う?どう料理する?」に拘り、温度に拘り、グラスにも拘っています。

私はソムリエですから、彼らの造った美味しいシャンパーニュを最大限の努力で引き出したいですね。