ダイニング・ウィズ・ワイン そむりえ亭

料理にワインを
 06‐4963‐3098 
 樋口誠

フミリア

2011年06月04日 03時47分57秒 | お勧めワイン

昨日まで2日続けてリベラ.デル.デュエロのワインの話をしましたが、今月は他にも2種スペインのワインをグラスで開けています。

その内の一つは私にとっては思い出深い産地ムルシア県のフミリア(フミジャと読む人もいますが現地の人はフミリアと言っていました)のものです。

スペインは幾つかの産地を除いて、ごく最近まで国内消費専用か、他の国の日常消費用のバルクワインの生産しかしていませんでした。よって高級なワイン、名の売れたワインの生産は殆んど無かったといっていいと思います。

ところがプリオラートと言う産地で「4人組」と呼ばれる生産者が革命を起こし、無名の産地での高品質ワインが造られ始めます。

その一つがフミリアです。ここでは1990年前位からやっと本格的な生産に至っています。

地中海から少し内陸に入った非常に雨の少ない産地では旱魃に強い葡萄の代表モナストレル=フランスではムールヴェードルと呼ぶ=が中心品種です。

エンバソ(フランスではゴブレと呼ばれる)=垣根なしの自立させた低い仕立て=で水分を無駄にしないように育てられます。

雨が少ないと根は深く入りミネラルの骨格が酸の少なさを補います。

良いタイミングで収穫されると、深みのあるボディ豊かな、しかも柔らかさのあるワインが生まれます。

今月のはサンイシドロというワイナリーの93年のものです。熟成も18年目を迎え「グラスワインにして大丈夫?」と思いましたが無駄な心配でした。澱も出荷前に引き抜いていますので問題ありません。モナストレルの魅力が充分に出ています。

それと、有名でなかった産地のチャームポイントは安い、と言う事でしょう。18年前のワインなら高そうですが、普通の価格です。グラス1,000円。

暑いスペインの典型的な味わい、モナストレルの昇華した味わいをお楽しみください。


ヴェガシシリア

2011年06月03日 04時21分27秒 | お勧めワイン

昨日、スペインの至宝ヴェガシシリア社が日本に向けての全ての売上げを義援金にすると発表した事を書きました。

今月はその中の3種を使うのですが、赤ワインは本拠地リベラ.デル.デュエロ地方の三男坊に当たる「アリオン」です。

この地方はテンプラニーヨ種(この地方ではティント.フィノと呼ぶ)で力強いワインを生みます。

この社の最高峰ウニコはその強さを長い樽熟とその後の瓶熟で和らげる必要がある程強いのですが、次男のバルブエナ、三男のアリオンは、少し柔らかい味わいです。

中でもアリオンはボルドーと同じ製法で新小樽で寝かせます。スペインの古い産地=リオハとリベラ.デル.デュエロはボルドーから人が流れて製法も引き継いでいるのですね。

テンプラニーヨは強い葡萄です。多くの方はそう認識していると思います。私も異論はありませんが、ティント.フィノとこの地方で呼ばれるのは他の産地には無いエレガント=フィノな個性を持っているからでしょう。

今、使っているアリオンは04年。まだまだ若い強いタンニンがあります。が、早い抜栓をしてデキャンタを3度程して待機させておけばフィノな個性が現れます。

このワインを楽しんで頂きたい、というのも勿論の事ですが、このワインを参考にヴェガシシリアの上級品の熟成した未来を占っていただくのも一興かな、と思います。

噛み応えのある赤味のお肉と合わせてみてください。

お待ちしています。


スペインからの熱い気持ち

2011年06月02日 03時11分38秒 | ちょっと休憩

そむりえ亭では震災以降、節電に取り組み浮いた電気代を義援金に当てる、義援金ボックスを設置するなどして私のできる範囲の事をしてきました。

ただし、3ヶ月目に入り義援金ボックスは取り外しました。顧客が多いそむりえ亭では同じお客様にご負担をかけるのは如何なものか、と・・・・

また節電も今月半ば辺りからはセラーの電源は入れざるを得ませんし、おそらくクーラーも必要になってくると、思った程の節約にはなりません。

ソムリエ協会でも活動はしていますが、他に何か無いものか?と思っていたところにスペインから熱い気持ちが届きました。

リベラ.デル.デュエロ地方の名門中の名門「ヴェガシシリア」

テンプラニーヨという葡萄から素晴らしいワインを造っています。

中でも「ウニコ」と呼ばれるワインは普通では考えられない位の長い樽熟をしても酸化に負けない、更に瓶詰めしてからも永遠ともいえる長い熟成をするものです。

他に弟分ともいえる「バルブエナ」「アリオン」を世に出し、ハンガリーでも貴腐ワインで有名なトカイ地方でワインを生産しています。オレムスというワイナリーで甘い貴腐ワインと同じ葡萄から造る辛口の2タイプです。

この生産者は日本に向けたワインの売上げを全て被災地に対する義援金にすると発表したのです。

私はこれに乗ることにしました。

先述のアリオンの04年とトカイの貴腐ワイントカイ.アスー5プットーニョシュ99、辛口ワインドライフルミント06の3種を6月のグラスワインとして開けています。

義援金にするから飲んでください、というのは好きではありません。美味しいワインですから自信を持ってお勧めするのです。

アリオンはしっかりした赤身肉、ドライフルミントは香ばしい白身魚や白身肉、貴腐ワインはブルーチーズやタルトに如何でしょうか?

スペインの熱い気持ち。受け止めたいと思います。


はちきん地鶏

2011年06月01日 04時14分16秒 | お勧めメニュー

そむりえ亭では、なるべくメニューの素材がバラエティに富むように、と考えています。が、品数そのものに限りがありますので、気が付けば使ってなかったって言う素材も出てきます。

鶏がそうですね。鴨や鳩、ジビエは使いますが鶏=チキンは3年近くの中でも限られた数しか出ていませんでした。

という事で今月は鶏をガッツリ使いましょう。

高知県は「はちきん地鶏」です。

高知=土佐由来の2種の掛け合わせに更にイギリス系のプリマスロック種を掛け合わせ、しっかりした肉質、食感、安定した肥育を実現したものです。

前菜では腿肉以外を裏漉したリエットをトウモロコシを香ばしく仕上げたガレットと共に、そしてメインディッシュには腿肉をこんがり、パリッと焼き上げてジューシーに豪快に召し上がって頂こうと思います。

昨日、ちょこっと試食しましたが旨かったですね。

リエットは白で薦めたい仕上がり、腿のこんがり焼きは赤でも白でもいけそうです。

ちなみに「はちきん」ってのは高知の「男勝りな女性」をさす言葉です。「私じゃないわね」と思っている貴女。違うというなら踏み絵代わりに召し上がってください。

或いはそういう女性にやり込められている貴男。はちきんをガブッとやっちゃってください。

お待ちしています。