つれづれおもふ

思えば遠くに来たもんだ~ぼつぼつ語る日々の出来事

しあわせのパン

2012年02月10日 | 映画

北海道を舞台にした「しあわせのパン」を東京で観ようとは思いもよらなかった。

おなかの調子が戻るのを待つだけの長女に、なんとなく手持無沙汰の私。はじめは悪いものではないかと心配だったし、JKのことも心の何割かを占めていたが、ことが大分に明るく開けてくるとせっかく花の東京にいるのにと思いだし、ポンと飛び込んだ映画館で塩梅のよかったのが、この映画だった。

「かもめ食堂」「プール」など一連の荻上直子作品の系統を狙ったのだろうかなあ・・・・・・。
倉本総路線かなあ・・・・・・いいところまで来ているのに、少し、どこか手が足りない感じがした。
なんだろうなあ・・・・・・原田知世はよかったし、大泉洋だって、彼にしたらすごい頑張ったと思う。
でも、大泉君がもう少しかなあ・・北海道の辺鄙な場所に、己の考えで生活をするものの“包容力”といったものが、もう少し出ていたならもっと良くなったと感じる。

だが、この映画のもう少しという感じは役者さんたちのせいではないのように思う。
演出や脚本に食い足りないというか、考えが及んでいないところというか、気持ちが埋め尽くされていないものがあって、ギクシャクした感じを受けた。

風景もきれい、食べ物もきれい、なのだが、どうも雑誌をパラパラとめくっているような、映画というよりはページをめくっているような気分になった。
何より、北海道のこういった生活がどれだけ大変で、こういうこぎれいな暮らしにはどれだけ「お金」がかかるか少しは知っているため、貧乏人の悲しさで、この夫婦どうやって成り立っているのだろうと心に思い続けてしまった。観ているものに疑問を抱かせない強さが足りないように感じた。

でもでも、中村嘉津雄、渡辺美佐子はすごかった!! その説得力たるや、そこまでの物足りなさを補って余りがあった。
「明日も、このお豆さんの入ったパンが食べたいなあ」
渡辺美佐子のセリフはこんなだったかな、それを聞いて、落ちたスプーンを拾うのにテーブルの下で嗚咽する中村嘉津雄は泣けた。

この月浦という場所は、素敵な場所だ。
まだ子どもが小さかった頃、キャンプに行ったことがある。大泉洋がパンを届けに行った小学校は確か廃校になったが、その外観がよくて、時折映画やドラマに使われているのではなかったかしら。
そして、私は、大泉洋の「北海道はいい場所なんだ。大好きなんだ」という発信の姿勢が好きだ。
その気持ちがまっすぐだから、とても好感が持てる。それがあるから多少包容力にかけていても、彼のこの映画でのたたずまいは認められる。

もう少し、練って、続編を作ってもらいたいと思う。

コメント (2)
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