その登場から天敵扱いの「真知栄子」に受けてしまった。
というか自分に重ねてしまった。きっとこういう感じに周りには受け止められているのだろうなあ・・・。
口は悪いし自分の背負った苦痛を和らげるために、悪口雑言の限りを家族や周囲の人間に浴びせかける。
なかなかにくったらしい「おばちゃん」なんだが、主人公の環だって言われっぱなしではない。
結構辛辣に言い返す。そのやり取りが爽快だ。
現実の場面でこれだけの丁々発止はありえないし、それでも関係がそれ以上こじれないというのが物語りのいいところで、
こういうのってうらやましい。
この作品は森絵都らしいファンタジー。主人公が、あの世とこの世を行き来するのだ。
それにマラソンを通して登場人物達が変わっていく様子が描かれている。
少し流れがもたつく感じもするが、主人公のトラウマのようなマイナス思考がどのような結末を迎えるのか
興味津津であっという間に読み切れた。
映像にすると綺麗なものが出来そうに思う。