つれづれおもふ

思えば遠くに来たもんだ~ぼつぼつ語る日々の出来事

青い鳥

2013年02月08日 | 映画

次女がいつもの通り電話をしてきた。

彼女は映画製作サークルという、実に大学生らしいサークルに入り青春を楽しんでいる。

先輩方に誘われて、あれやこれや映画を観ているらしい。映画館に出かけることもあれば、

みんなでお金を出し合ってDVDをレンタルしてきて学校の機材を使い

上映会のようなこともしばしばのようだ。

その彼女が

「お母さん、阿部寛のね“青い鳥”観たの!よかったよ。なんか効果音とかBGMとか、

あんまり使ってなくてところどころにちょこっとね。すごいよ!」

とすすめてくれた。

内容はトンと知らず、買い物ついでに寄ったツタヤの棚に見つけて、

とんとん拍子に“青い鳥”を観た。

奇遇だ・・・・大津のいじめのことでブログをアップしたばかりで、この映画につながった。

その奇縁に少し震えがきた。

 

原作は重松清。

いじめによる自殺未遂があった中学校が舞台となっている。

被害者は転校し、コンビニを営んでいた両親も店を閉めてしまった。

学校は当該クラスの生徒に事情聴取を行い反省文を書かせ、

平穏な学校を取り戻そうと生徒指導に苦心している。

担任が心労から体調を崩し、休職。 そこに代理として、阿部寛演じる吃音のある臨時教員が赴任してくる。

「僕はどもる。話すことが得意ではないが、本気で話す。

本気で話すことは、本気で耳を傾けなければならない。

君たちはそれができていないから、僕がここにきた」

その村内先生がまずやったことは、物置にしまわれたいじめの被害者野口君の机を教室に戻すことだった。

そして、野口君の席に向かって毎日声をかけた。

事件を忘れようとしていた生徒、保護者、学校は動揺を見せ始める。

そして耐えきれなくなり騒ぎを起こし出した生徒たちに、村内先生は本気でこたえる。

「野口君はここにいたかった。

野口君は決して忘れない。それなのに君たちが忘れて、1からやり直すという。

それは、卑怯だろう」

 

担任教諭が復帰するため、最後の授業となった村内先生が生徒達に作文を書かせる。

事件を収束させるために学校から書かされた以前の「反省文」を、

書き直したいと感じているものだけ書くようにと言う。

また書かせるのかと腹を立てる生徒もいる中で、一人、もう一人と書き直すために作文用紙を取りに出てくる。

本郷奏多演じる園部君も、親にも話せなかった苦しみを綴る為に作文用紙に向かう。

「反省文」として書き始めた彼は消しゴムを取り出し、題名を消していく。

「反省文」ではなく「野口へ」と書き換えられた彼の作文は、

野口君へ伝えたい今の気持ちが書き込まれていく。

やってはいけないことをしてしまった子どもたちに、それをどう伝えるか・・・・

村内先生が言う、本気で話して、本気で聞く

そうやっている中で、伝わることもある・・・というのが教育かもしれない。

学校から離れる村内先生は、バスの中で静かに石川啄木の詩集を広げる。

多くの言葉や形はいらないのだろう。

これは、現実ではない。 でも、こうやって救われる子どももいるかもしれない。

いろいろな可能性が、被害者にも加害者にも開かれているといいと願っている。

 

この映画を導いてくれた次女に感謝!

 

 

 

 

 

 

 

コメント (2)
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