長男の夢は「サッカーの指導者」
彼はサッカーが大好きで、小学校に入りサッカー少年団に入った。初めは結構いい線いっていたのだが、そのうち“?”になっていった。それでも彼の“サッカーが好き”という気持ちに変わりはなく、高校受験を迎え「将来の道は・・・?」と尋ねると「サッカーの指導者!」とはっきり言うようになった。「僕はうまくプレーすることはできないけれど、よく観てるからどこがどうだかよくわかる」
理由はいたって単純だったようだ、選手としては望みがないけれど“サッカーが好き”だからサッカーの側にいるにはどうしたらよいか・・・それだけだったようだ。その夢のために彼は教員の道を選んだ。高校サッカーの指導者になって、全国大会に挑むようなチームを作る。(ここから先は私の妄想:::そのチームからJリーグで活躍するような選手が育ち、プレミアリーグにも行くようになる。サッカーでいい選手を探すなら息子のところに行けと言われるようになる・・・うしし~~)
その息子、入った大学が小学校教員免許取得が卒業必須要件のため、今日から教育実習に通う。
「給食費が払えないよ」と2・3日前にメールがあった。そうか、給食食べるんだあ~~
さらに「父の日だから・・・」と昨夜電話があったが、旦那に変わろうとするといいと言って、今日からの実習への不安を口にした。
「僕はね、やっぱり、小学生は好きじゃないんだよね(私・そういう気持ちは必ず子ども見抜くから、忘れるほど目の前のことに集中しなさい!)・・・中休みあるんだよ(私・中学校に入った時、中休みがないって文句いっただろうに・・・?)遊ばなきゃいけない。4年生担当なんだけれどさ・・・なんかあると親がクレームよこすっていうから・・・ま、おれは母のおかげでだいぶ慣れているけれど(私・どういう意味じゃ!?あんたが面倒起こさなければ、私だってモンスターペアレントにはならないんじゃ!)授業はなんとかなりそうだけれど、ストイックに指導されるんだって!・・・(私・甘やかされて、後で痛い目にあうより何ぼもいいだろう!)自己紹介文書かなくちゃ(*付属小学校に行くため実習生は同じ大学出身になるので、特色をどう出したらよいか困ったようだ・・・私・道産子を売りにしろ!「手袋は履くもの」「雪投げして」「橇引っ張って買い物して」「熊が出る」で間違いない!)起きられるかな?電話くれる?(私・携帯鳴らすけれど、とるんだよ!)・・・・・・・・・・・・」
この調子で小一時間ほど話した。最後に「風呂入って、早めに布団はいって、あんまり考えないで寝る!それが一番いいよ!」で終わった。いいんじゃないかな、これぐらい心配して、これぐらい緊張して、それで実習に向かう。わが息子ながら好感を持った。
今までは、実習生を受け入れる経験しかしてこなかった。ああでもないこうでもないと、若い学生さんをぴいちくぱあちく評論していた。今、息子がその立場になった時、私が無責任にうわさした学生さん達の後ろに、今の私と同じようにハラハラドキドキと見守った親業大先輩の親御さんたちがいたんだなあと赤面してしまう。その立場に立たないとなにも本当には理解しないと身にしみる。
今朝携帯を鳴らすと、はっきりとした声で出た。「ありがとう!起きてた」
彼の人生でも、はっきりと振り返ることができる時間が始まった。いい経験ができるといい。