中学校で“給食試食会”が開かれた。280円でお昼をごちそうになれるのだから、美味しい企画!
メニューは ・かま揚げミートスパゲッティ ・青のりポテト ・すだちゼリー ・牛乳
小学校の試食会でも感じるが、レトルトなど使わない丹念に作られた給食はとてもおいしい。味は、少し物足りない感じはするが、本来はこの程度で食べるのだろうと思う。かま揚げスパゲッティには、オリーブオイルとパセリのみじん切りが混ぜてあり、香りがよかった。
私は脱脂粉乳を知っている。食育というより、まだ栄養補給ということが色濃かった時代に給食を食べていた。注文で配られるピンク色の肝油がうらやましいと感じていた。戦中派の母親の作る家のおかずより、目新しいメニューの給食が好きだった。「給食に出るような焼きそばが食べたい」と言って母親を困らせた覚えがある。給食に出た焼きそばは母親が作ってくれたものとも違い、あのころデパートの屋上で食べたものとも違っていた。今から考えると“ビーフン”に近かったのではないかと思う。鯨肉も給食で食べた。脱脂粉乳から牛乳にかわり、その牛乳が今ではあまり見かけなくなったテトラパックだった。父親の仕事の関係で仙台から京都にうつった時、給食で出たビン牛乳に驚いたが、その牛乳の味が薄いのもびっくりした。皆がまずいと言っていた脱脂粉乳をまずいと感じたことはなかったが、その味の薄い牛乳だけはまずいと思った。よく牛乳に混ぜる粉末ココアや粉末イチゴがついてきたが、それが無いと私には苦行に近いものがあった。でも、今振り返るとこうやって人に話せる思い出があるというのは、いいものだ。
末っ子は好き嫌いがひどい。小学校に入るとき、それが一番心配だった。幸いに末っ子が給食が重荷になって学校を嫌いになることはなかった。小学校の先生方のおかげと感謝している。その上、口に運ぶものが増えた。スパゲッティの上にたっぷりとかけられたミートソースをみて、これはミートソースかけずに食べてきているなと私は確信していた。青のりポテトは小学校時代になんとかクリアできるようになっている。すだちぜりーはどうだろう・・・?牛乳は好き嫌いの多い末っ子にとって、食事の必需品で給食ではお休みした友達の分も飲んでくるほどだからこれはOKだ。
帰って来た末っ子にどれくらい食べたのか聞いたら「全部食べたよ!ミートソースもかかってきたもん!よけられないでしょう!当然全部完食したよ!」親の心配の一歩も二歩もわが子は先に進んでいる。こういう会話ができて、子どもの育ちを確認でき私にとって“給食試食会”なかなか有意義だった。
だが“給食試食会” 開かれたのが当然と言えば当然だが、昼間。中学校に通う子どもの保護者には、参加しにくい時間帯だろう。参観日や面談には時間をやりくりできるが、試食会のためにはと考えるのは仕方がないことで、席に着いた人の大部分が係りのお母さんたちだった。 うーん・・・給食試食会・・・もう少し形を変えて生きた活動になるといい・・・。
ちなみに、デザートのすだちゼリーは、果物の“酢橘”と“巣立ち”をひっかけて、中学校の給食ではよくとりいれるメニューなのだそうだ。義務教育もあと3年で終わり、子どもたちはそれぞれの道へ巣立っていく。その準備がもう始められている。