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読書と旅行と柴犬のブログ
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ヤプログから引っ越してきました。

「新宿インシデント」ジャッキーが歌舞伎町裏街を駆け回る

2009-05-13 00:19:59 | 香港・アジア映画
「新宿インシデント」★★★☆
ジャッキー・チェン 、ダニエル・ウー 、ジェイシー・チェン主演
イー・トンシン 監督、2009年、119分、香港





「今度のジャッキーは
中国から密航し、歌舞伎町の
中国人裏社会でのしあがっていく、
そしてちゃんとアクションもあるが、
見所はなんとジャッキーが演技してる所」



傷だらけになったジャッキーの顔が
大写しになる、
ひどい仕打ちにあった仲間を前に
暴力への怒りをあらわにする。

今までだってこのくらいの演技は
ジャッキーだってしていた、
でもその殆どが強大な敵への
怒りのカンフーを引き出すスイッチだった、
しかし今回のジャッキーは違う、
どうもアクション映画というジャンルから
脱皮を図っているようなのだ。


日本で頑張る外国人の
実態の片鱗を写しつつ、
ちゃんとお約束のアクションもあり、
お笑いでほっとさせ、軽いロマンスと
盛りだくさんの映画で楽しめる。

でも、と思う、
ジャッキーはカンフーのジャッキーで
良いのだけどな。


この作品はジャッキーが
自らプロデューサーを務める
「アジアン・プロジェクト」第1回作品、
今後もアジアの様々な場所で
色々な作品を見せてくれるのは楽しみだ、
でもアクションも頼むよ、ジャッキー!

今回はラストのNG集が無く
いつものサービス精神はここには無かったな。



★100点満点で70点

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くだらないアクション映画という出来では無かったが、
社会派というにはもう少しか。

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「GOEMON 」前作CASSHERNから進歩が見えた

2009-05-10 18:30:14 | 邦画
「GOEMON 」★★★
江口洋介 、広末涼子 、大沢たかお 、ゴリ 主演
紀里谷和明 監督、2008年、128分




「石川五右衛門の話をベースに
大胆に脚色し、歴史上の人物も
交えて時代劇のようで
時代考証も何も取っ払った
不思議な映画だった」



前作「CASSHERN」は見所の
全く無い駄作だったが
今回はそんな先入観を持って見ていると
全体のトーンや色彩は同じと感じながらも
ちゃんと映画として成立していて
驚いた、

ただ作りこみ過ぎの凝りに凝った映像は
好みが分かれる所だ。

大作映画で見かける壮大なセットや
夥しい軍人の数や民衆の様子など、
一部で映像的に目を奪われるところもあった、
このあたりは「人間の心」や「本質」を
描くことに固執して
TVのドラマと殆ど変わらないものを
作るくらいしかできない邦画の
こじんまりとした貧乏くさい映像とは
明らかに目指す所の違いを見せてくれた。


ただし、ラスト付近の五右衛門のセリフは
ちょっと恥ずかしかったな、

彼の気持ちを直接語らせることじゃなく、
映像や演技で分からせて欲しかった、
あんな直接的な言葉で言われたら
それまで積み上げたものが
全部薄っぺらなものに感じてしまうのが
分からないのだろうか?
誰か助言する人はいなかったのかな。

絶賛はしないけれど
見る前に思っていた「どうせくだらないだろうな」
そんな気持ちは見終えた後は無かった、
映像センスはあるのだから
脚本と演出あたりに心を配れば
次の次あたりには、良いものが見えられそうな気がした。

★100点満点で65点

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初めは見る気さえなかったが、大画面で見る価値は
充分にあった映画だった。

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「子供の情景」内包している問題は分かるが、映画としては稚拙

2009-05-08 19:33:58 | ミニシアター系映画
「子供の情景」★★☆
ニクバクト・ノルーズ 、アッバス・アリジョメ 出演
ハナ・マフマルバフ 監督、イラン、2007年、81分




「アフガニスタンの映画なんて
なかなか見られるものじゃない、
期待して見に行ったが
作品の内容への思い入れは分かるが
出来は荒削りで、自主上映のレベルだった」



冒頭に以前TVで何度も繰り返された
岸壁に岩をくり貫いて作られた
大きな仏像が爆破されるシーンがある。

2001年3月、バーミヤン遺跡は
その事件で一気に有名になった。


大切な世界遺産の末路だ、
部外者としては「なんてことを」と
感じるが、この国の人たちの行ったことは
それがどういう意味を持つことかということも
含めてまだ簡単に良い悪いとは
言い切れないことだ。

ただ世界遺産ファンとしては
残念と思うし、この目で見たかったなと
ただ思うだけだ。


カッパドキアのような生活が
今も続いているこの国の
バーミヤン遺跡のすぐ側の石窟で
お隣同士の少年が学校へ行くのを見て、
少女は自分も行きたいと
やっと手に入れたノートを持って
学校へ向かうのだが
なかなかたどり着かないというお話。


素朴と言えば言えなくもないが
微笑ましく見ていられる時間を過ぎると
このお遊戯のような素人芝居が
なんとも見ていられない気分になってくる。


それでも砂埃舞う大地や
「タリバン」という言葉を日常のように
使う子供達など
今の日本とは全くかけ離れたような生活に
見所が無いわけではないが、
それにしても素人っぽいつくりの映画だった。

意味深なセリフや何をか伝えたい表情や
青い空のシーンなど
そこに何か深い意味を見つける人もいるだろうが、
それにしても不親切で稚拙な映画だった。

それでもアフガニスタンの生活なんてのは
NHKのドキュメンタリーくらいでしか
見られないので、
およそ文明的な生活から離れた
同じ地球のとある場所の生活をかいま見れたのは
やはりこの映画のおかげだ。



★100点満点で55点

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映画として見せることを前提とするなら
もう少しちゃんとしたものを見せて欲しいと素直に感じた。

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「ミルク」これもアメリカのひとつの歴史

2009-05-07 00:09:39 | ミニシアター系映画
「ミルク」★★★★
ショーン・ペン 出演
ガス・ヴァン・サント 監督、2008年、128分、アメリカ




「ゲイであることを公言して
サンフランシスコの公職に就いた
実在の政治家の生涯を描き、
この映画でショーン・ペンは二度目の
オスカーを獲得した」



監督はドキュメンタリータッチの映画で
実験的な取り組みをしてきたことを
この映画で事実と演出の微妙な境目を
映画で表現したかったようだ。
その試みは成功している、
ただしショーン・ペンの演技は時に過剰で
所々に「アイアム・サム」がダブった。


「40歳になろうとしてるのに
自分はまだ何も成していない」

「じゃあ、自分らしく行動したらいい」

人に助言する時、出来たら当たりさわりない、
その人の言ってもらいたがっているであろうことを
真綿で包むように言うのが常だ、
そうすれば自分に後々
「こんなはずじゃなかった」という
火の粉が飛び掛るのを防げるからね。


でも本当に相手のことを思うなら
耳に痛いことも言うべきなのだろう、
でもそれはお互いの間柄にもよるけれど。


70年代から80年代にかけて
アメリカは人種差別問題から
マイノリティの人権という反キリスト教的な
新しい問題を抱え込んだ、
そんな時に自ら声を上げたひとりの政治家は
実は最初は自分自身がこんな大きな渦の
渦中の中心人物になろうとは
夢にも思わなかった、
そして冒頭の彼の言葉、
「自分はまだ何も成していない」

そう思いながらも
同じ毎日を繰り返すのが殆どだろう、
そこで足を踏み出すことは
すごく大きな決断だ、
それは自分達に等しく言えることだ。

「何かしたい」
「このままでいいのか」


誰に言うともなく独り言のように
自分の言葉が中を舞う、
でもそこに明確な解決策や
まっすぐな道は現れない、
何故なら新たな一歩を踏み出す気さえ
ないのだから。

映画の主人公は他人から色々言われながらも
自分の道を貫いた、
自分の性的なことだけじゃなく
生き方と置き換えたら、
なかなかそう簡単にはいかないと
言い訳しながらほとんどの人は
現状維持をよしとするのだ。

それが良いとか悪いとかは
誰も答えない、
自分だけが答えを理解するだろう
それで良いと納得できるかどうかは
もっともっ後でないとわからない。

1人の男の生涯を描きながら
当時の風潮などを盛り込んだ作品、
興味深いところもあったが、
演技が過剰でそのあたりが
この映画にノレ無かったひとつの理由のようだ。

映画として悪くはないが
見応えや見終えてからのひっかかりも含めて
「グラントリノ」の方が良作と感じた。


★100点満点で75点

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当時の風俗をしっかり画面に写しているのは
さすがハリウッド。でも演技賞は疑問。ちょっとやりすぎという感じだった。

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「グラン・トリノ」偏屈ジジイの最後の決断

2009-05-05 00:09:59 | ミニシアター系映画
「グラン・トリノ」★★★★☆
クリント・イーストウッド 出演
クリント・イーストウッド 監督、2008年、117分、アメリカ




「思ったままを口にし、
周囲の人たちを傷つけてしまい、
最愛の妻を亡くして、
息子達からも疎まれる老人を
クリント・イーストウッドが演じている」



隣に越してきたベトナム系の家族を
「米食い虫」と呼び
「クロ」だとか「イエロー」だとか、
差別用語のオンパレード、
でも見ていると分かってくる
彼にはその言葉にそれ以外の含みは無いことだ。

「そういうことは言ってはいけない」と
思っていても口には出さず
人種差別なんて考えられないと
表面上でにこやかに笑う気持ち悪い
博愛主義者もどきが見たら
顔がこわばってしまうだろうな。

もちろん面と向かって言われたほうは
気分悪いにきまってるけれど。

それでもそんな風に生きていては
他者とうまく関われるハズも無く、
奥さんが生きていた頃は彼女が
間に入ってうまくやってくれていただろうに、
その大切な役目をしてくれる人を亡くして
主人公の毎日は淋しいものとなってしまった。

夕暮れ、玄関ポーチでビールを飲みながら
ピカピカに磨き上げた
自慢の車グラン・トリノを見る、
穏やかな時間、
車の組立工として30年以上働いたご褒美だ。


彼の今の暮らしを「淋しい」ものだとしたら、
何のために毎日毎日車を組み立て、
やっと手に入れた家で、
ひとり孤独に過ごす「老後」は
一体何を意味することになるのだろう。

ベトナム系の少年との交流、
そしてどうしようもなく存在する「邪悪」に
立ち向かう主人公。

ラストはかつてダーティファイターで
銃を撃ちまくったイーストウッドの
ひとつの答えなのかもしれない。
ただラストにはどこか明るいものを期待したいから、
別のラストを用意して欲しかった。

イーストウッドの雄姿に心が熱くなる、
こんなふうに新しい作品を生み出す情熱に
胸が熱くなる。


★100点満点で100点★


soramove
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もうこれが最後かと思わせるイーストウッドの姿、
でもこうして新作を作り続ける情熱を感じて
それだけで嬉しくなる。

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