HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

FACo出展メーカーの本音。

2010-06-29 20:27:13 | Weblog
 そして、取り組み発表が2社しかないというのはどういうことか。FACoにどんな目的で出展し、どんなビジネス展開の手段にしようとしているのか。そんな話がもっとあってもいいはずだ。
 発表した一社は「エルエイトレーディング」で、昨年と同様。ブランド「ラブジャンキー」の状況報告。新しく加わったのはイベントの展開だけ。もう一社は「イオン九州」。こちらはGMS低迷の元凶が「衣料品の不振」であること。特に「イオンスタイル」は全く売れていないだけに、FACoブランドのような「量販」「チープ」「タレントコラボ」は、ヤングの集客を図る上では願ったりだったようだ。
 ところが、今年参加した「ジェイエーシートレーディング」や「ベルアパレル」、ヤマトドレス系の「フリッジ」など、新人デザイナー各位の発表はなぜ行なわれなかったのか。特に新人デザイナーこそ、その活動内容がクローズアップされてもいいし、フォローアップもしてあげるべきだろう。
 来年は博多駅に阪急百貨店が開業するため、企画運営委員長は来年のFACoで同社とのタイアップを示唆した。しかし、阪急が狙うのはミセス(中高年)層になるはず。天神とヤングマーケットを引っ張り合っても勝ち目はない。その辺は満を持しての九州進出だけに市場調査は十分しているはず。だとすれば、20~30代を対象にするFACoにどう関わるのか。もし、阪急が商品の売場を提供するなら、これまで協力した博多大丸を袖することになる。
 ほかにも問題を上げると枚挙にいとまがない。極めつけはこの4月から運用されている「ファッションサイト福岡」(https://fashionsitefukuoka.jp/ja/tp/tp010)について一切触れなかったことだ。これは昨年9月、県の中小企業振興課が公募したもの。制作費は国の緊急雇用基金約2700万円が当てられている。企画書のみの提出で、プレゼンは無し。選考は推進会議が行ない、地場のWEB制作会社に発注されている。
 このコラムでも書いたが、正直、このサイトはデザインもコンテンツも最悪の出来だ。WEBが一般化している今日、こんなレベルのサイトを見たことがない。だからだろうか。アピールして参加者に見られると、逆に他の発表内容がかすんでしまうというのか。せっかく多くの参加者がいてヘアサロンのページもわざわざ設けているのだから、アピールしても良さそうなものだ。それとも、2700万円も使っておきながら「このザマ」というのを、業者選定した推進会議は承知しているということか。
 昨年のフォーラム終了後、業界紙の「繊研新聞」が7月10付けの同紙に「福岡のコレクション」というタイトルで以下のようなコラムを掲載した。そこには「主催者の思いとは裏腹に、出展メーカーにはもやもやした不満がある。メーカーを交えた総括会議が開かれた様子はなく、例えば発表された『福岡ブランド』を売る際に、なぜネット販売が優先され、メーカーは解禁日までまたなければならないのか、あるいはネットやオフィシャルショップでの売上げがどうだったのか、など知りたいことが明らかにされていないという。(中略)少なくともコレクションに出展したメーカーが『自分たちの意見は無視された』と感じた運営方法には改善の余地があると思う」と、業界メディアとして冷静に推進会議や企画運営委員会の問題点を指摘した。そう、ファッション業界としてはこれが正論なのだ。
 今年も総括会議が開かれたケースはなく、推進会議や企画運営委員会のやり方は疑問と疑惑だらけ。それが解消される様子もなく、4ブロックに渡って書いてきた有り様である。それらが晴れない限り、「推進会議とFACoは企画運営委員長とその学校、放送局、イベント会社にとっての目的と手段」と断じざるを得ない。

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不公平なインターンシップ。

2010-06-29 20:24:54 | Weblog
 福岡アジアファッション拠点推進会議の活動報告には、問題点だらけである。まず「インターシップ」は「昨年、15名ほどが参加した」との報告があった。「では、どの学校の学生がどれくらい参加した」かは一切公表されていない。これは明らかにおかしい。推進会議の発足当初の企画書には「専門学校、大学、短大から毎年平均800名の学生を輩出している」と書いてあった。だからこそ、事業として公金が拠出されたのではないか。
 なのに「参加した学校がどこか」か、公表されないのは大問題。というよりも一部の学校だけが恩恵を受け、全くフェアな制度になっていないことだ。今年に入り、公募制となったようだが、今度は「オファーが全くない」という学校が少なくない。制度の不備というより、誰かが得をする不公平な制度としかいいようがない。
 人材育成の一環という「エフスタイル」も問題がある。まず、出店先の「ヴィオロ」が適正だったかどうか。このビルを運営する東京建物グループは、ファッションデベロッパーではない。そのため、ノウハウや企画力が乏しく、06年の9月のオープンからずっと苦戦を続けている。それを証明する事例として、店長会議で堂々と「5階をメンズフロアにしたい」などと宣ったという。メンズのブランドメーカーやテナントからすれば、「バッティング」の問題があって、そんなことできるはずがないのに。テナントの間からは「正直、呆れた」という声があがっている。
 だから、エフスタイルのオープンは商工会議所からのオファー、期間限定の展開、空きスペースの穴埋めという点で、デベロッパーとしては「それなら」と了解した程度だろう。テナントを真剣にインキュベートする力など、あるはずもない。
 展開する商品はジュンヤタシロの「ヒミツキチ」は、すでにセレクトショップに卸しをしており、バッティングの関係から大々的な展開されていない。本人はもっとブランド力をアップさせるために一等地に直営店を展開したいだろうが、それには莫大な資金が必要になる。岩谷俊和の「DRESS33」に資金を出した興和のような谷町がつけばいいが、福岡では厳しいだろう。
 その興和でさえ、岩谷俊和のスポンサーを撤退した。事業にするならマーケットの狙いとビジネスモデルを見れば、将来性のある投資か、ドブに金を捨てることになるか。資金を出す側は判断しなければならないのである。
 一方、「クオンタイズ」は、ドレスメーカーのため、受注生産がメーンになる。一部の商品は展開していたが、こちらのスタンスからすれば、「既製服」や「量産」はなじまない。他に3ブランドも限られたアイテム。テイストやコンセプトはすべてバラバラだから、ショールームの域を出ない。このビルでは大手にセレクトショップでさえ、苦戦を強いられているのにこの程度の品揃えではフェイスも飾れず、MDが際立つはずがない。それより、地道に「卸し先」を獲得するための展示会やインスタレーションにもっと手を貸してやるとか、一層のことクリエーション重視でバイヤーやプレス対象のコレクションをやるべきではないか。
 企画運営委員長の常套句を借りれば、仮に「エフスタイルでの展開がきっかけで、仮に大手セレクトやメーカーからオファーがかかる」ことになっても、ブランド名とデザインだけ採られて中国工場で量産されるのがおち。それはデザイナーたちがいちばんわかっているはずだ。…続く。

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大本営発表とFACo。

2010-06-29 20:22:36 | Weblog
 今年の「福岡アジアファッション拠点推進フォーラム」も昨年同様、企画運営委員会の「大本営発表」に終始した。また、しんがりの取り組み発表もメーカー2社に止まり、全く中身の薄いものだった。
 内容は講演目的で参加した異業種の方々なら「へえ~」と思うかもしれない。でも、ファッション業界関係者にとっては、今年も手合いのいい「ごまかし」で、うまくお茶を濁したなと受けとれる。
 まず、活動報告がパワーポイントとコメントの報告で、内容をまとめた「リリース」は一切配布されていない。企画運営委員長が壇上にあがって、スクリーンに映し映し出された項目を口頭でフォローするだけ。広報体制としてはあまりに不備だ。ペーパーレスを考えているというなら、せめてWEB上でも詳しくディスクローズしてもらいたい。
 まず、FACoは日本の4大コレクション(東京コレクション、東京ガールズコレクション、神戸コレクション、残りがFACo)の一つに入るとの報告だったが、そうした客観的データが何も示されていない。また、今年のFACoの結果報告では、着実にアジアとのビジネス交流が生まれたような報告がなされた。
 これについても北京や上海で開催しイベント、ブランド共に認知されている東京ガールズコレクションや神戸コレクションならともかく、FACoは現地で行なっていないのだから、そのポジションはあいまいと言わざるを得ない。それゆえ、ファッションビジネスの視点がぼけている。福岡としては中国を始めとするアジアを「マーケット」にするのか、それともアジアから福岡に「お客を呼ぶ」のか、である。活動報告ではそうした結果説明と事業経過が極めて中途半端だった。
 福岡のファッション産業では、FACoに出展したアパレルメーカーの100倍以上を専門店(セレクト含む)の売上げが占める。つまり、産業の根幹はショップ、いわゆる「小売業」なのだ。だから、買い物客が増えないとファッション産業はぜったい盛り上がらない。しかし、FACoではほんの数社アパレルメーカー、SPA側にメリットがあるだけで、個人のデザイナーや地元の専門店へのフォロー、フィードバック機能ほとんどない。
 しかも出展ブランドの半数が「NB(ナショナルブランド)」というから、福岡独自では限界があることを露呈している。「福岡」を強調しておきながら、半分が他都市のブランドで何が「情報発信」というのか。ここにも活動報告の矛盾がある。
 逆に出展したアパレルメーカーにしても、工場という生産拠点(これが大連などの中国アパレルの生産エリア)ならアジアでもいいだろう。
 しかし、進出するとなると話は別だ。FACoに参加したアパレルメーカーが卸しをするなら、コレクションだけでは不完全。展示会を行って現地の小売り店と取引することになるだろうし、直営店展開ならSPA機能が必要になる。店舗展開では法的な問題はもとより、出店コストや人材確保などハードルが高い。中小零細のメーカーにとっては、どだい無理な話なのである。これについては取り組み発表で、エルエイトレーディングの担当者が本音を漏らしていた。
 企画運営委員長は、FACoは「目的ではなく、手段」と強調した。それは地場ファッション産業界にとって、振興や情報発信、人材育成などを行なう手段ということだろう。しかし、今年のFACoではパルコとのタイアップから、シンデレラコンテスト、新人モデルのオーディションなど、一部の利害関係者にとっては、「目的」ではと思える部分ばかりが目立つ。
 まあ、企画運営委員長にとっては、自校の学生獲得に利用できるだろうし、RKBにとっては、丸投げによる高荒利事業や映像ソフトの確保、芸能プロダクションに恩を売るという点では、「手段」だろうが。…続く。

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IKKOとFUBAと参加動員。

2010-06-29 20:19:58 | Weblog
 さる6月25日、第2回の「福岡アジアファッション拠点推進フォーラム」が開催された。内容は推進会議の活動報告、講演、参加企業の取り組み発表と、昨年同様。ゲストがタレントのIKKO氏ということで参加者は大幅に増えたが、ここには主催側のカラクリが垣間見える。ゲストの講演に比重が置かれ、推進会議への矛先がかわされた感があるからだ。
 昨年は主催者も参加人数が予測できなかったためか、商工会議所の「正会員」にも動員がかけられている。担当者にとっては麻生県知事や吉田市長、橘高九州経済局長が挨拶するのに、参加者が少ないのでは洒落にならない。でも、ファッション拠点推進会議とは関係ない者にとっては、何の役にも立たないのは明白である。
 現に商工会議所から参加を誘われたという正会員は、「ヤングファッションや百貨店の話をされても。私たち商店主が聞きたいのは、今の商売をどうしていくか。そんな話は一切無かった。この間も商工会議所の研修で岡山の商店街に行ったが、そちらも過去の体験ばかり聞かされ、まったく無意味だった」と憤る。
 この商店主は自分が参加者動員の頭数に加えられたことは知らなかった。でも、フォーラムの内容が自店にとって有益ならば、まだ参加した甲斐はあっただろう。
 そして、今年はどうか。IKKO氏がゲスト呼ばれたのは、昨年の反省やFACo参加との絡みがあるだろう。しかし、理由はそれだけではない。同氏は「福岡美容専門学校」のOB。この学校はFUBA(福岡美容生活衛生同業組合)が設立したもので、同組合は推進会議のメンバーであるからだ。
 もともと、「福岡アジアコレクション」は、1998年にFUBAが始めた。この時の真の目的は「組合員の獲得」と言われている。コレクションというステージをヘアメイクアーチストへのデビューの場として用意することで、これから独立するだろう若いスタッフの青田買いを考えたのだ。まあ、FUBAはサロンド・ヤスモリの故安森会長が権力を振った団体だけに、これくらい考えても不思議ではない。
 FACoにもFUBA関係者が参画しているのは周知のことだが、組合員獲得がどれほど達成できているかは定かではない。でも、今年のフォーラムではIKKO=FUBAのシンクロで3分の1から半数は、動員がかけられたのではないだろうか。断っておくが、現在の「福美」はいたって質素に美容教育に励んでいる(豪華な入校案内は除いて)。そのため、IKKO氏の講演や参加者動員にはかんでいないようだ。むしろ、同氏との蜜月は「企画運営委員長の某専門学校の方が強い」と美容関係者の間からは聞かれる。
 冷静に考えるとフォーラムの目的は何か。それは推進会議の昨年度の活動報告ではないか。またフォーラムというからには質問や意見の場が設けられてもよさそうだ。でも、それらはすべて排除されている。なのに参加動員を増やしたいがためにゲストを呼んで体裁を整えるのは、本末転倒と言わざるを得ない。…続く。

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