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主人公「朋子」の従姉妹「美奈子(ミーナ)」が、喘息の持病があるため、カバ(こびとカバ)に乗って小学校へ通学している。これがタイトルの所以なんですね。
母親と二人暮しの朋子が、中学1年生の4月から一年間伯母の家で暮らすことになる。ミーナのお祖母さんはドイツからお嫁に来ており、お父さんはハーフでミーナはクォーター。
会社経営をしているその家は、素敵な洋館でドイツ風な暮らしぶり。そこでの朋子は、ちょっと現実離れしたステキな生活を体験する。
ドイツ人のローザお祖母さん→ミュンヘンオリンピック→「ミュンヘンオリンピック事件」が起き、イスラエル選手9人が人質、そして犠牲に→ローザお祖母さんの両親姉妹が全員ヒトラーの犠牲になっている・・・という繋がり。
また、伯父さんが大事な時は在宅しているが、普段は帰宅してこない?それが、何でもないことから朋子が、伯父さんが会社から帰っていく場所を突き止めてしまう。
日常的に様々な事が起こるが(どこの家庭にもある事)、それによって誰を責める訳でもなく、それぞれの役割や心模様が淡々と描写されている。
俗に『喧嘩するほど仲が良い』と言うけど、この家族のようであれば、いじめや虐待など避けていける大人の社会が実現するのではないかな!
小川洋子さんの本は、暴力や意地悪などがなくて安心して読めるし、大人の絵本のような世界に連れて行ってくれる。
読み終わって、楽しい気分の余韻と同時に読み終わってしまってさみしくなる。次は『博士の数式・・』を読みたいな。