敵は財務省だけではない 新首相縛る「予算高齢化」
政府は来年度予算に「新首相枠」を設けるという。
「財務省復権」がささやかれる中、新首相の予算裁量権が先細るのには意外なわけがある。
*以下は私。
震災の影響により約1ヵ月遅れで、各省庁から財務省に対する来年度予算の概算要求が始まる。100兆円に迫る政府一般会計。しかし、近く選出される新首相が主導できる額は、わずか2兆円程度に過ぎない。
国債の利払いなどに充てる国債費を除ぐと、来年度予算(一般会計)も71兆円以下に抑え込まれる。
その中でも、削るのが困難な「聖域」とされるのが、増え続ける社会保障費(11年度は28・7兆円)と地方交付金(同16・8兆円)の二つだ。来年度予算では、両者だけで46兆円以上となりそうだ。71兆円からこれらを除ぐと最大でも25兆円になる。
自民時代の枠崩せず
その内訳は、文教・科学振興費、公共事業費、防衛費などのいわゆる政策経費だ。概算要求では、この25兆円規模の「削減対象予算」から1割程度を削って、約2・5兆円を捻出し、新首相枠に優先的にあてる。新首相が予算にメリハリをつけるための財源だ。
これまで、政策経費25兆円は、毎年1兆円以上増える社会保障費を捻出するために「毎年4%近い、1兆円前後の削減幅となってきた」(BNPパリバ証券)。今回の「新首相枠」も結局、社会保障費の増加分に圧迫される一方、「復活」を求める声が強い公共事業や文教費などの削減幅を減らすために使わざるをえない可能性もある。
2兆円程度まで削られそうな「子ども手当」も、財源不足ゆえ与野党の泥仕合が続く。自公が「手当は廃止、自公時代の児童手当を復活」と決めつければ、民主は「誤解しないでください。存続します」のビラをまく。石原伸晃自民幹事長は「うそつきと一緒に国をつくっていくことはできない」と憤る。
子ども手当に象徴される民主党のマニフェストが、絵に描いた餅に終わってしまうのはなぜか。それは、前述のような「聖域」を安易に認め、自民政権時代からの予算の枠組みを崩せなかったからだ。
民意の重心は還暦近い
「無駄の温床」とみられていた国の特別会計は、総予算207兆円を全面的に組み替え、新たな財源16・8兆円を生み出すはずだった。しかし、直近の事業仕分けで捻出できたのは250億円程度。それも「ネタを用意したのは財務省」だというのが霞が関の常識だ。
*重鎮論説委員たちが、好む内閣というのは、こういう茶番劇を、平然とTVカメラの前でパフォーマンスとして為す様な、政治屋の集団に過ぎなかった訳だ。私達は、同じ過ちを繰り返せない。(以下本文に戻る)
ただ、「財務省復活」といっても、同省の予算裁量権は明らかに落ちている。取って代わりそうなのが、巨額の社会保障費を握る厚生労働省だ。特会分を含めると年金(10年度53兆円)、医療費(同32兆円)、介護など(同20兆円)の社会保障給付費は100兆円を突破。国の試算では2025年度に150兆円以上に膨れ上がる。
高齢化社会が進めば進むほど、厚労省の存在感はさらに増してゆく。
社会保障給付費の約7割は年金や介護など高齢者向けだ。「与党は選挙への影響を気にして社会保障分野の改革には踏み込みにくい」(財務省主計局)。特会も、年金支給額があまりにも巨額で、「全面組み替え」など最初からあり得なかった。
高齢者が「財政」に強い影響力を持つのは、次のような事実からも明らかだ。
日本人の「平均年齢」は約45歳、有権者の平均年齢は約53歳で世界一高齢とされる。現役世代が多い都市部と高齢者が多い地方とで、国政選挙の1票の格差が最大5倍ほどになる。
70代の投票率が7割前後なら、30代は3割程度。メディアが「風が吹いた」と報じた選挙であっても、実は投票者の平均年齢は還暦前後のことも少なくない。
実際の民意の「重心」が還暦近いとすれば、極度の財源不足のなか、どの党が政権を担おうが、子ども手当に象徴されるような予算の「若返り」が難しくなるのは当然ではないか。
編集部 山下 努
日立国際電気は24日、放送関連機器でブラジル最大手のリニアール・エキパメントス・エレトロニコス社の買収で基本合意したと発表した。
10月上旬までに同社の株式の過半を取得する予定で、買収価格は十数億円に上るとみられる。ブラジルなど10力国が日本の地上デジタル放送方式を採用する南米市場で、放送用カメラや中継機器などを拡販する狙いだ。
リニアール社はアナログ、地上デジタル放送関連の送信機を製造・販売するブラジル最大手。アナログで約50%、デジタルで約30%の国内シェアを持っているという。
資本金は約4億3600万円で2010年12月期の売上高は21億2300万円。ブラジルでは16年に地デジヘの完全移行を予定しており、『14年にサッカーW杯が開催される。南米10力国が日本方式の地デジ放送方式を採用しており、関連機器需要の増加が見込まれている。
10月上旬までに同社の株式の過半を取得する予定で、買収価格は十数億円に上るとみられる。ブラジルなど10力国が日本の地上デジタル放送方式を採用する南米市場で、放送用カメラや中継機器などを拡販する狙いだ。
リニアール社はアナログ、地上デジタル放送関連の送信機を製造・販売するブラジル最大手。アナログで約50%、デジタルで約30%の国内シェアを持っているという。
資本金は約4億3600万円で2010年12月期の売上高は21億2300万円。ブラジルでは16年に地デジヘの完全移行を予定しており、『14年にサッカーW杯が開催される。南米10力国が日本方式の地デジ放送方式を採用しており、関連機器需要の増加が見込まれている。
TV・パネル 価格下落で赤字
インキ・偏光板 営業益が増加
液晶関連企業の間で収益の格差が広かっている。2011年4~6月期決算では、テレビやパネルなどのメーカーが価格下落による赤字に苦しむ一方、インキや偏光板など部材を手掛けるメーカーの一部は前年同期に比べ営業利益が増加した。
堅調な部材分野でも、世界シェアの高さが収益を維持できるかのカギを握る構図になっている。
ソニーの11年4~6月期決算で、テレビ事業は140億円の営業赤字と、4四半期連続で赤字を計上した。先進国市場では薄型テレビへの買い替え需要が一巡し、価格競争が激化。パナソニックもテレビ事業で営業赤字を計上するなど、そろつて苦戦を強いられた。
価格下落で採算が悪化しているのは液晶パネルメーカーも同じ。世界シェアで1位の韓国サムスン電子のパネル部門に加え、韓国LGディスプレー、台湾・友達光電(AUO)もそろって営業赤字を計上した。
一方、部材メーカーは健闘が目立つ。日東電工は偏光板など液晶表示用材料。の売上高が6%伸び、偏光板を含むオプトロニクス事業は3%の営業増益だった。
DICも好調だ。アジアの大手パネルメーカーに液晶が新規採用され、液晶を含むニューグラフィックアーツ事業の営業利益は前年同期比4倍の35億円たった。液晶カラーフィルター向けグリーン顔料も前年同期を上回る水準で推移している。
液晶ガラス基板を製造するガラス各社の業績も底堅い。旭硝子は同基板を含む電子事業の営業利益が前年同期比24%減ったが、営業利益率は4割弱と高水準を維持した。
好調な部材メーカーに共通するのがシェアの高さ。日東電工は偏光板の世界シェアが推定約25%。DICも液晶カラーフィルター向けグリーン顔料の世界シェアが6割超とトップを走る。液晶ガラス基板は米コーニングと旭硝子、日本電気硝子など4社で寡占状態だ。高シェア企業は価格交渉を有利に進めやすく、採算を維持できている。
一方、部材でもシェアが高くないメーカーは苦戦している。液晶向けカラーフィルターを手掛ける大日本印刷と凸版印刷はそろって同事業が赤字に転落。韓国や台湾のパネルメーカーはカラーフィルターを一部内製しており、両社が一定のシェアを持つ国内でも大手メーカーの東日本大震災後の生産停止の影響を受けた。
米ディスプレイサーチによると、11年の液晶テレビの需要の伸び(出荷台数ベース)は1割弱と前年の3割強から大幅に鈍化する見通し。競争激化は必至で、7月以降もシェアによって収益の差が拡大しそうだ。
インキ・偏光板 営業益が増加
液晶関連企業の間で収益の格差が広かっている。2011年4~6月期決算では、テレビやパネルなどのメーカーが価格下落による赤字に苦しむ一方、インキや偏光板など部材を手掛けるメーカーの一部は前年同期に比べ営業利益が増加した。
堅調な部材分野でも、世界シェアの高さが収益を維持できるかのカギを握る構図になっている。
ソニーの11年4~6月期決算で、テレビ事業は140億円の営業赤字と、4四半期連続で赤字を計上した。先進国市場では薄型テレビへの買い替え需要が一巡し、価格競争が激化。パナソニックもテレビ事業で営業赤字を計上するなど、そろつて苦戦を強いられた。
価格下落で採算が悪化しているのは液晶パネルメーカーも同じ。世界シェアで1位の韓国サムスン電子のパネル部門に加え、韓国LGディスプレー、台湾・友達光電(AUO)もそろって営業赤字を計上した。
一方、部材メーカーは健闘が目立つ。日東電工は偏光板など液晶表示用材料。の売上高が6%伸び、偏光板を含むオプトロニクス事業は3%の営業増益だった。
DICも好調だ。アジアの大手パネルメーカーに液晶が新規採用され、液晶を含むニューグラフィックアーツ事業の営業利益は前年同期比4倍の35億円たった。液晶カラーフィルター向けグリーン顔料も前年同期を上回る水準で推移している。
液晶ガラス基板を製造するガラス各社の業績も底堅い。旭硝子は同基板を含む電子事業の営業利益が前年同期比24%減ったが、営業利益率は4割弱と高水準を維持した。
好調な部材メーカーに共通するのがシェアの高さ。日東電工は偏光板の世界シェアが推定約25%。DICも液晶カラーフィルター向けグリーン顔料の世界シェアが6割超とトップを走る。液晶ガラス基板は米コーニングと旭硝子、日本電気硝子など4社で寡占状態だ。高シェア企業は価格交渉を有利に進めやすく、採算を維持できている。
一方、部材でもシェアが高くないメーカーは苦戦している。液晶向けカラーフィルターを手掛ける大日本印刷と凸版印刷はそろって同事業が赤字に転落。韓国や台湾のパネルメーカーはカラーフィルターを一部内製しており、両社が一定のシェアを持つ国内でも大手メーカーの東日本大震災後の生産停止の影響を受けた。
米ディスプレイサーチによると、11年の液晶テレビの需要の伸び(出荷台数ベース)は1割弱と前年の3割強から大幅に鈍化する見通し。競争激化は必至で、7月以降もシェアによって収益の差が拡大しそうだ。
食品各社の中国事業が拡大している。2012年3月期はハウス食品のカレー事業が初の営業黒字に浮上するほか、日清食品ホールディングスも18%の増収を見込む。原材料価格の高騰で採算悪化が懸念されるなか、中国事業が収益の下支え役となりそうだ。
ハウス食は04年に上海ハウス食品」を設立。中国でカレールー「バーモントカレー」などの販売に力を入れてきた。業務用を中心に売上高を前期比で7割増やし、今期の営業損益は数百万円の黒字(前期は3億円弱の赤字)となる見通しだ。
同社は中国でカレーレストラン事業も手掛けるが、両事業合わせても黒字の見込み。
日清食HDの中国事業の営業利益は10億円とほぼ横ばいの見通し。小麦粉など原材料価格の上昇が収益を圧迫するが、販売増で吸収する。中国の即席麺需要は世界全体の4割強を占める。「ラ王」など高価格帯商品を投入、収益拡大を目指す。
キユーピーもマヨネーズ販売の伸び11年11月期の中国での売上高は24%増を見込む。
ハウス食は04年に上海ハウス食品」を設立。中国でカレールー「バーモントカレー」などの販売に力を入れてきた。業務用を中心に売上高を前期比で7割増やし、今期の営業損益は数百万円の黒字(前期は3億円弱の赤字)となる見通しだ。
同社は中国でカレーレストラン事業も手掛けるが、両事業合わせても黒字の見込み。
日清食HDの中国事業の営業利益は10億円とほぼ横ばいの見通し。小麦粉など原材料価格の上昇が収益を圧迫するが、販売増で吸収する。中国の即席麺需要は世界全体の4割強を占める。「ラ王」など高価格帯商品を投入、収益拡大を目指す。
キユーピーもマヨネーズ販売の伸び11年11月期の中国での売上高は24%増を見込む。
社債相次ぐ中国事業拡大で
リース大手が相次ぎ人民元建て社債で資金を調達する。三井住友ファイナンス&リースは9月、日立キャピタルは年内にも人民元建て社債を起債する。急拡大する中国事業で必要な資金を確保する一方、為替リスクを軽減する狙い。
三井住友ファイナンス&リースは総額5億元 (約60億円)の人民元建て社債を募集する。年限は2年、2年半、3年の3本とする見通し。表面利率は年2~3%程度になるとみられ、香港の機関投資家向けに発行する。日立キャピタルも最長5年の社債を起債する見通しだ。
リース大手各社が人民一元建て社債で資金調達するのは、中国事業が急拡大しているためだ。三井住友ファイナンス&リースの中国のリース資産残高は2010年末時点で700億円。11年も3割程度の伸びを見込んでいる。
日立キャピタルも11年は約400億円と、前年比3倍の水準まで引き上げる計画だ。リース資産の拡大に応じて現地で資金調達を広げ、為替リスクの軽減を図る。
リース大手が相次ぎ人民元建て社債で資金を調達する。三井住友ファイナンス&リースは9月、日立キャピタルは年内にも人民元建て社債を起債する。急拡大する中国事業で必要な資金を確保する一方、為替リスクを軽減する狙い。
三井住友ファイナンス&リースは総額5億元 (約60億円)の人民元建て社債を募集する。年限は2年、2年半、3年の3本とする見通し。表面利率は年2~3%程度になるとみられ、香港の機関投資家向けに発行する。日立キャピタルも最長5年の社債を起債する見通しだ。
リース大手各社が人民一元建て社債で資金調達するのは、中国事業が急拡大しているためだ。三井住友ファイナンス&リースの中国のリース資産残高は2010年末時点で700億円。11年も3割程度の伸びを見込んでいる。
日立キャピタルも11年は約400億円と、前年比3倍の水準まで引き上げる計画だ。リース資産の拡大に応じて現地で資金調達を広げ、為替リスクの軽減を図る。
今期 光回線伸び部門営業益2200億円
通信大手の固定通信事業が東日本大震災後の需要減から回復基調をたどり始めた。NTTの固定通信事業の営業利益(米国会計基準)は2011年4~6月期に落ち込んだ分を7月以降の光回線サービスの契約増で補い、12年3月期通期で2200億円強と前期並みを確保する見通し。
KDDIも営業黒字幅を拡大する。両社とも今期は携帯電話やシステム構築事業の大幅増益が見込めず、固定通信の採算改善が業績を下支えする。
NTTの4~6月期の固定通信事業(地域通信と長距離・国際通信の合計)の営業損益は合計で556億円と前年同期を11%下回った。震災の復旧費用に加え、需要期の春に回線工事に必要な資材が不足したためだ。だが12年3月期通期では、2200億円強とほぼ前期並みになる見通しだ。
収益を押し上げるのは、地域通信子会社NTT東日本ヽ西日本が手掛ける光回線サービス「フレッツ光」の契約件数の増加だ。光回線事業の営業損益は今期初めて黒字化する見通し。
フレッツ光の7月末の累計契約件数は1年前に比べ13%増の1574万件。7月だけで15万3000件の純増となった。6月に東日本で割安な料金プランを導入した効果で、純増数は3ヵ月連続で前年同月実績を上回っている。
長距離・国際通信事業も外部への業務委託費の削減が「期初計画を上回っている」(経営企画部門)。光回線経由の映像配信サービスも契約が伸びている。
KDDIの光回線の累計契約数も7月末に201万件と1年前に比べ20%増えた。4~6月期は震災の被害で営業を一時中断したが「6月以降は(12年3月末に累計契約件数240万件を目指す)計画を達成できるペースに回復してきた」(両角寛文副社長)という。
重複回線を整理する見直しの効果も出て、今期の固定通信事業の営業利益は前期比67%増の400億円となる見通しだ。
通信大手はスマートフォン(高機能携帯電話)の販売に注力しているが、携帯電話事業は通話料金の割引負担が収益を圧迫する。NTTドコモの営業増益率は前期比1%弱にとどまり、KDDIの携帯電話事業も2%の営業減益となる見通し。
通信大手の固定通信事業が東日本大震災後の需要減から回復基調をたどり始めた。NTTの固定通信事業の営業利益(米国会計基準)は2011年4~6月期に落ち込んだ分を7月以降の光回線サービスの契約増で補い、12年3月期通期で2200億円強と前期並みを確保する見通し。
KDDIも営業黒字幅を拡大する。両社とも今期は携帯電話やシステム構築事業の大幅増益が見込めず、固定通信の採算改善が業績を下支えする。
NTTの4~6月期の固定通信事業(地域通信と長距離・国際通信の合計)の営業損益は合計で556億円と前年同期を11%下回った。震災の復旧費用に加え、需要期の春に回線工事に必要な資材が不足したためだ。だが12年3月期通期では、2200億円強とほぼ前期並みになる見通しだ。
収益を押し上げるのは、地域通信子会社NTT東日本ヽ西日本が手掛ける光回線サービス「フレッツ光」の契約件数の増加だ。光回線事業の営業損益は今期初めて黒字化する見通し。
フレッツ光の7月末の累計契約件数は1年前に比べ13%増の1574万件。7月だけで15万3000件の純増となった。6月に東日本で割安な料金プランを導入した効果で、純増数は3ヵ月連続で前年同月実績を上回っている。
長距離・国際通信事業も外部への業務委託費の削減が「期初計画を上回っている」(経営企画部門)。光回線経由の映像配信サービスも契約が伸びている。
KDDIの光回線の累計契約数も7月末に201万件と1年前に比べ20%増えた。4~6月期は震災の被害で営業を一時中断したが「6月以降は(12年3月末に累計契約件数240万件を目指す)計画を達成できるペースに回復してきた」(両角寛文副社長)という。
重複回線を整理する見直しの効果も出て、今期の固定通信事業の営業利益は前期比67%増の400億円となる見通しだ。
通信大手はスマートフォン(高機能携帯電話)の販売に注力しているが、携帯電話事業は通話料金の割引負担が収益を圧迫する。NTTドコモの営業増益率は前期比1%弱にとどまり、KDDIの携帯電話事業も2%の営業減益となる見通し。
東京ガスは「モス型」と呼ぶ球形タンクを搭載した液化天然ガス(LNG)運搬船としては世界最大の「エネルギーホライズン」を24日、報道陣に公開した。
これまでの最大船型よりも15%程度LNGを多く運べる。主にオーストラリアから日本に年15回、計約120万トン運ぶ予定。原子力発電設備の停止が長期化する可能性があるため、東ガスは東京電力など電力会社向けの販売も増やす方針。船の大型化で輸送を効率化する。
これまでの最大船型よりも15%程度LNGを多く運べる。主にオーストラリアから日本に年15回、計約120万トン運ぶ予定。原子力発電設備の停止が長期化する可能性があるため、東ガスは東京電力など電力会社向けの販売も増やす方針。船の大型化で輸送を効率化する。
ニチコンは24日、世界最小・最軽量の電気自動車(EV)向け急速充電器を開発したと発表した。高さ約1・5メートル、幅約35センチ、奥行き約60センチと、従来製品の半分程度の大きさに抑えた。10月から販売する。狭いスペースに設置できるうえ工事費用も少なくてすむという。
急速充電器は三菱自動車の「アイミーブ」や日産自動車「リーフ」などに対応する。重さは約170キログラムで従来の3分の1。出力は20~30キロで充電時間は35~60分。本体価格は189万~210万円(工事費除く)。
同社はEVに搭載する家庭用の小型充電器を製造しており、その部品やノウハウを活用した。自動車販売店などを対象に初年度IOO台の販売を目指す。
充電インフラはEV普及のカギを握るとされる。同社は充電器の小型化により、高速道路や公共施設などで整備が進むとみている。
急速充電器は三菱自動車の「アイミーブ」や日産自動車「リーフ」などに対応する。重さは約170キログラムで従来の3分の1。出力は20~30キロで充電時間は35~60分。本体価格は189万~210万円(工事費除く)。
同社はEVに搭載する家庭用の小型充電器を製造しており、その部品やノウハウを活用した。自動車販売店などを対象に初年度IOO台の販売を目指す。
充電インフラはEV普及のカギを握るとされる。同社は充電器の小型化により、高速道路や公共施設などで整備が進むとみている。
新型「カムリ」10月投入 燃費8~24%改善 最大2000ドル下げ
巻き返しの旗艦車に
トヨタ自動車は23日、米国で主力セダン「カムリ」の新型車を発表した。カムリは米乗用車市場で9年続けて販売トップとなった旗艦車種。東日本大震災による大幅減産に伴い主要市場の米国でシェアを落としたトヨタは現行モデルより値下げし、燃費性能を改善した新型カムリで巻き返す。
ただ米景気の減速懸念が強まるなか、「ソナタ」でシェアを伸ばす韓国・現代自動車などとの競争が激化。新型車はトヨタ復調への試金石となる。
10月に投人する新型カムリはガソリン車6車種とハイブリッド車(HV)2車種を用意。価格は2万1955~2万9845ドル(約170万~23O万円)と、現行モデルに比べ最大で2000ドル安くした。燃費性能もがソリン車で約8%、HVで約24%改善した。
カムリの米国販売はこの10年間、年30万~40万台後半で推移。米販売全体の2割前後を占める。競合メーカーは「打倒カムリ」を掲げ、対抗車種を投入してきた。
この1~2年で台頭してきたのが現代自の「ソナタ」。2009年にカムリの約3分の1だった販売台数はウォン安の追い風も受け急増し、今年5月には震災による供給不足が響いたカムリをいったんは追い抜いた。
新型カムリが標的にするのは、このソナタだ。トヨタグループの技術陣はソナタを徹底的に研究。「価格の割に内装の高級感が目立つ」(部品会社)。カムリ生産開始を決定する直前に、ソナ夕をにらんでデザインの変更要請もあったという。
自ら・試乗を繰り返した豊田章男社長は「1OO%の自信を持って売り出せる」と強調する。
新型カムリはトヨタが推し進める“現地化”の先頭ランナーでもある。試作車の段階から米技術陣が評価する仕組みを導入。現在のモデルは1~2%を日本から輸入しているが、新型では米販売分をすべて米国で生産。現地調達率はガソリン車で現行の約85%から92%に高まり、円高の影響も受けにくくなった。
トヨタは一時10%強まで落ち込んでいた米販売シェアを来春には震災前の14%強に回復させたい考え。反転攻勢の先頭バッターがカムリで、「プリウス」の派生車なども後に控えている。
反転シナリオに立ちはだかるのが米景気の減速だ。米ゴールドマン・サックスやメリルリンチなどは今月、11年以降の米自動車販売の見通しを相次ぎ下方修正した。
競合も黙っていない。独フォルクスワーゲン(VW)は中型セダン「パサート」を米新工場で秋から本格生産する。価格を大幅に引き下げてシェアを奪う作戦だ。「現代自も販売奨励金の活用などで対抗するのではないか」との見方がある。
巻き返しの旗艦車に
トヨタ自動車は23日、米国で主力セダン「カムリ」の新型車を発表した。カムリは米乗用車市場で9年続けて販売トップとなった旗艦車種。東日本大震災による大幅減産に伴い主要市場の米国でシェアを落としたトヨタは現行モデルより値下げし、燃費性能を改善した新型カムリで巻き返す。
ただ米景気の減速懸念が強まるなか、「ソナタ」でシェアを伸ばす韓国・現代自動車などとの競争が激化。新型車はトヨタ復調への試金石となる。
10月に投人する新型カムリはガソリン車6車種とハイブリッド車(HV)2車種を用意。価格は2万1955~2万9845ドル(約170万~23O万円)と、現行モデルに比べ最大で2000ドル安くした。燃費性能もがソリン車で約8%、HVで約24%改善した。
カムリの米国販売はこの10年間、年30万~40万台後半で推移。米販売全体の2割前後を占める。競合メーカーは「打倒カムリ」を掲げ、対抗車種を投入してきた。
この1~2年で台頭してきたのが現代自の「ソナタ」。2009年にカムリの約3分の1だった販売台数はウォン安の追い風も受け急増し、今年5月には震災による供給不足が響いたカムリをいったんは追い抜いた。
新型カムリが標的にするのは、このソナタだ。トヨタグループの技術陣はソナタを徹底的に研究。「価格の割に内装の高級感が目立つ」(部品会社)。カムリ生産開始を決定する直前に、ソナ夕をにらんでデザインの変更要請もあったという。
自ら・試乗を繰り返した豊田章男社長は「1OO%の自信を持って売り出せる」と強調する。
新型カムリはトヨタが推し進める“現地化”の先頭ランナーでもある。試作車の段階から米技術陣が評価する仕組みを導入。現在のモデルは1~2%を日本から輸入しているが、新型では米販売分をすべて米国で生産。現地調達率はガソリン車で現行の約85%から92%に高まり、円高の影響も受けにくくなった。
トヨタは一時10%強まで落ち込んでいた米販売シェアを来春には震災前の14%強に回復させたい考え。反転攻勢の先頭バッターがカムリで、「プリウス」の派生車なども後に控えている。
反転シナリオに立ちはだかるのが米景気の減速だ。米ゴールドマン・サックスやメリルリンチなどは今月、11年以降の米自動車販売の見通しを相次ぎ下方修正した。
競合も黙っていない。独フォルクスワーゲン(VW)は中型セダン「パサート」を米新工場で秋から本格生産する。価格を大幅に引き下げてシェアを奪う作戦だ。「現代自も販売奨励金の活用などで対抗するのではないか」との見方がある。
gooにおける昨日のアクセス数は、以下の数字でした。
8月24日のアクセス数
閲覧数:7,794PV 訪問者数:852IP
順位: 522位 / 1,624,408ブログ中 (前日比 ↓)
一方昨日のアメーバは 閲覧数:779 訪問者数:534
FC2のトータルアクセス数:553
gooの、ページごとの閲覧数ベスト20は以下の通りです。
1宮城・石巻のがれき処理 鹿島JVが受注…... 104 PV
2トップページ 81 PV
3サイバー攻撃対策 強化 シマンテック マ... 61 PV
4帝人の太陽電池保護材 新素材でコスト3割... 60 PV
5国内最大メガソーラー 三井化学・東芝・三... 53 PV
6すべての公判を傍聴したジャーナリスト・江... 47 PV
7これらの人間たちは一刻も早く政治家に転身... 46 PV
8大和ハウス メガソーラーに参入…日経新聞8... 44 PV
93号機注水法26日変更 福島第1、冷却効果... 42 PV
10Hさんへ、8月24日。 42 PV
11今日の朝日の社説を見て思った事。 40 PV
12高速通信対応タブレット ドコモ来月にも2... 40 PV
13彼らの言う通りの政治屋や、言論人以外の、... 40 PV
14備忘録 8月24日 36 PV
15「おためごかし」とは何か。 35 PV
16商社、新興国で港湾事業 三井物産、タイで... 35 PV
17なぜ日本企業には「女性役員」が少ないのか... 35 PV
18週刊朝日・19万部が100万部超に成るか、芥... 34 PV
19投資一気に短期国債へ 買い越し3倍円高招... 33 PV
20事実を正確に伝える。先ず、それが、ジャー... 31 PV
昨日の結果も、私の本望、本懐なのでした。
運用先、小規模で不安定
韓国、上昇緩和へ介入か
韓国ウォン相場の安値圏での推移が続いている。韓国は日本よりも堅調な経済成長が続き、輸出拡大で経常黒字も積み上げている。だがウォンは円のようには上昇せず、輸出の価格競争力で一段と日本に差を付けている。日本政府はなぜウォン買い介入しないのか。ウォン切り上がりが鈍い要因を探った。
Q 韓国の為替政策とは。
A 輸出を経済成長の最大のエンジン役と位置付けるだけにライバル国・地域よりも通貨が割安であることは望ましいの
が本音だ。韓銀が欧米景気の不確実性を理由に金融緩和を継続しているのもウォン安につながっている。
Q 日本政府は円売り・ウォン買い介入できないのか。
A 制度的には可能だ。しかし、実務上は様々な壁がある。まずウォンの外国為替市場は米ドルとウォン取引が大半で、日本円とウォンを銀行が直接やり取りする市場はない。
実際に介入するには、ドル・円とドル・ウォンの2つの取引を組み合わせる必要があり、手間がかかる。市場そのものが小さいのも難点だ。国内総生産(GDP)比の為替取引量は6・1%と、米国(24%)、日本(14・9%)、カナダ(15・7%)に比べて小規模だ。
しかも、昨年、為替先物などのデリバティブ(金融派生商品)取引に制限をかけるなど、通貨当局による管理は厳しく、自由な取引が常に保証されているわけではない。巨額の介入資金を動かすには不都合な点が多い。
Q 人民元ならどうか。将来の基軸通貨という声もある。
A 資本規制が厳しいため、円売り・人民元買い介入を実施して、外貨準備として運用することは韓国ウォン以上に難しい。そもそも先進国である日本が相手国を狙い撃ちするような介入を繰り返せば、国際社会から強く批判されることは避けられない。
Q 外貨準備との関係は。
A 円売り介入で買った外貨は外貨準備として運用され、通貨危機などで円買い・外貨売り介入する際の原資となる。買った外貨が値下がりすれば、国は含み損を抱えることにもなる。このため外貨準備にする通貨は「流動性と安定性」(野田佳彦財務相)が必要になるが、韓国の債券市場でさえ外貨準備の運用先とするには規模が小さすぎ、価格の安定性に欠ける。
Q 日本の投資家は債券投資などを通じてウォン相場に影響を与えているのか。
A 日本の投資家が保有する韓国の上場債券は6837億ウォン約490億円、7月末時点)と外国人投資家の中で14位。米国の25分の1、中国の13分の1にとどまり、ウォン相場に与える影響は極めて小さいとみられる。
Q ウォンはどの程度安いのか。
A 24日のソウル市場終値は対ドルで1ドル=1082ウォン。ウォンが大幅に下落するきっかけとなった米金融危機前の2007年末に比べると1割強安い水準だ。
韓国政府・韓国銀行(中央銀行)は公式には認めていないが、上昇速度を緩めるためにウォン売り・ドル買いの為替介入を実施しているとみられる。
海外の投融資マネーの急速な流出入は実体経済に悪影響を与えるとして、資本流人規制策を相次ぎ導入していることもウォンの上昇を和らげている。
(ソウル=島谷英明)
韓国、上昇緩和へ介入か
韓国ウォン相場の安値圏での推移が続いている。韓国は日本よりも堅調な経済成長が続き、輸出拡大で経常黒字も積み上げている。だがウォンは円のようには上昇せず、輸出の価格競争力で一段と日本に差を付けている。日本政府はなぜウォン買い介入しないのか。ウォン切り上がりが鈍い要因を探った。
Q 韓国の為替政策とは。
A 輸出を経済成長の最大のエンジン役と位置付けるだけにライバル国・地域よりも通貨が割安であることは望ましいの
が本音だ。韓銀が欧米景気の不確実性を理由に金融緩和を継続しているのもウォン安につながっている。
Q 日本政府は円売り・ウォン買い介入できないのか。
A 制度的には可能だ。しかし、実務上は様々な壁がある。まずウォンの外国為替市場は米ドルとウォン取引が大半で、日本円とウォンを銀行が直接やり取りする市場はない。
実際に介入するには、ドル・円とドル・ウォンの2つの取引を組み合わせる必要があり、手間がかかる。市場そのものが小さいのも難点だ。国内総生産(GDP)比の為替取引量は6・1%と、米国(24%)、日本(14・9%)、カナダ(15・7%)に比べて小規模だ。
しかも、昨年、為替先物などのデリバティブ(金融派生商品)取引に制限をかけるなど、通貨当局による管理は厳しく、自由な取引が常に保証されているわけではない。巨額の介入資金を動かすには不都合な点が多い。
Q 人民元ならどうか。将来の基軸通貨という声もある。
A 資本規制が厳しいため、円売り・人民元買い介入を実施して、外貨準備として運用することは韓国ウォン以上に難しい。そもそも先進国である日本が相手国を狙い撃ちするような介入を繰り返せば、国際社会から強く批判されることは避けられない。
Q 外貨準備との関係は。
A 円売り介入で買った外貨は外貨準備として運用され、通貨危機などで円買い・外貨売り介入する際の原資となる。買った外貨が値下がりすれば、国は含み損を抱えることにもなる。このため外貨準備にする通貨は「流動性と安定性」(野田佳彦財務相)が必要になるが、韓国の債券市場でさえ外貨準備の運用先とするには規模が小さすぎ、価格の安定性に欠ける。
Q 日本の投資家は債券投資などを通じてウォン相場に影響を与えているのか。
A 日本の投資家が保有する韓国の上場債券は6837億ウォン約490億円、7月末時点)と外国人投資家の中で14位。米国の25分の1、中国の13分の1にとどまり、ウォン相場に与える影響は極めて小さいとみられる。
Q ウォンはどの程度安いのか。
A 24日のソウル市場終値は対ドルで1ドル=1082ウォン。ウォンが大幅に下落するきっかけとなった米金融危機前の2007年末に比べると1割強安い水準だ。
韓国政府・韓国銀行(中央銀行)は公式には認めていないが、上昇速度を緩めるためにウォン売り・ドル買いの為替介入を実施しているとみられる。
海外の投融資マネーの急速な流出入は実体経済に悪影響を与えるとして、資本流人規制策を相次ぎ導入していることもウォンの上昇を和らげている。
(ソウル=島谷英明)
【北京=高橋哲史】中国政府は24日、外国企業による中国への直接投資について、9月から人民元建ての決済を認める方針を明らかにした。外国企業は貿易などを通じて手に入れた人民元で、中国に現地法人を設立したり工場を建設したりできるようになる。
現状はドル建てがほとんどの対中直接投資で元の利用を増やし、人民元の国際化に弾みをつける。中国商務省は人民元建ての対中直接投資に関する規定の草案をまとめ。一般からの意見募集を始めた。
同省の沈丹陽報道官は24日の記者会見で、同規定を「9月中には実施する」と表明。元建ての対中直接投資についてはこれまで明確なルールがなく、同規定の実施で事実上の解禁となる。
商務省の草案は外国企業が貿易決済や、オフショア市場での債券・株式の発行などを通じて調達した人民元を、中国への直接投資に使うことを認める。
ただ、証券やデリバティブ(金融派生商品)への投資は禁じる。
中国政府は2009年7月から貿易取引での人民元決済を段階的に認めてきた。今年1月には中国企業による海外への直接投資でも元建て決済を一部解禁。ドルが中心の貿易や直接投資の決済で人民元を使える範囲を徐々に広げている。
元建て決済の拡大は国内に入ってくる外貨の減少につながる。市場で元を売ってドルを買う為替介入を減らせるため「外貨準備の増勢を弱める要因になる」 (中国銀行の王蕾アナリスト)。ドルの信認が揺らぐなか、中国政府は主にドルで運用する外貨準備の増勢に歯止めをかけたい考えだ。
現状はドル建てがほとんどの対中直接投資で元の利用を増やし、人民元の国際化に弾みをつける。中国商務省は人民元建ての対中直接投資に関する規定の草案をまとめ。一般からの意見募集を始めた。
同省の沈丹陽報道官は24日の記者会見で、同規定を「9月中には実施する」と表明。元建ての対中直接投資についてはこれまで明確なルールがなく、同規定の実施で事実上の解禁となる。
商務省の草案は外国企業が貿易決済や、オフショア市場での債券・株式の発行などを通じて調達した人民元を、中国への直接投資に使うことを認める。
ただ、証券やデリバティブ(金融派生商品)への投資は禁じる。
中国政府は2009年7月から貿易取引での人民元決済を段階的に認めてきた。今年1月には中国企業による海外への直接投資でも元建て決済を一部解禁。ドルが中心の貿易や直接投資の決済で人民元を使える範囲を徐々に広げている。
元建て決済の拡大は国内に入ってくる外貨の減少につながる。市場で元を売ってドルを買う為替介入を減らせるため「外貨準備の増勢を弱める要因になる」 (中国銀行の王蕾アナリスト)。ドルの信認が揺らぐなか、中国政府は主にドルで運用する外貨準備の増勢に歯止めをかけたい考えだ。
市場、効果を疑問視 金融危機時には安全網に
政府は24日、1000億ドル(約7・6兆円)のドル資金供給枠の設定を軸とする円高対策をまとめた。企業の海外投資を促し、民間資金の円からドルヘの転換を促す狙いだが、円高阻止の効果は未知数。首相交代の空白を突かれないように、にわかづくりした苦肉の策との見方が強い。
「即効性も実効性もない」 (クレディ・アグリコル銀行外国為替部の斎藤裕司ディレクター)--。24日午前、野田佳彦財務相が緊急発表した円高対策を見た市場関係者は一様に首をひねった。
円高対策の柱は、企業の海外M&A(合併・買収)を促進するための低利資金の仕組みのほか、国内の金融機関を対象に為替の売り買いのポジシヨンを報告させる“口先介入”。
投機マネーの動向を握る海外市場の参加者は入っていない。対策発表直後、東京市場では「失望の円買い」が殺到。円相場は1ドル=76円台半ばに上昇した。
時間優先の対策 今回の対策は先週末の海外市場で円相場が一時、76円を初めて突破したのを受け、財務省が週末に急きよ作った。市場で円か再び急伸した場合、いつでも対策を打ち出せるようにした。財政出動を伴う円高対策に踏み込む案もあったが、関係省庁との調整に時間がかかるため見送った。何よりも時間を優先した。
円相場は76円台後半で安定しているが、26日の米金融シンポジウムの講演でバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が追加金融緩和を示唆するのではないかと注目されている。「投機筋はドル売りの材料を探している。講演内容にかかわらず、円高が進む可能性がある」。財務省幹部は対策の週内発表にこだわった理由を説明する。
29日の民主党代表選で政治空白が生じれば、投機筋の動きへの対応が遅れ、円高・ドル安が加速する懸念もある。野田氏が財務相のうちに形を付けたいとの思惑もあったとみられる。
もっとも、今回の対策は、中長期的に民間企業の円資金の外貨への転換を進め、為替相場の安定につなげる呼び水の効果を狙っている。企業が海外で企業買収などに打って出る資金の一部を政府が邦銀を通じて低利で貸し出し、企業が残りの投資資金を確保するために、円を売ってドルを買う動きを促す仕組みだ。
銀行の融資姿勢や企業の積極的な戦略がカギになるといえ、急激な円高が進んだ場合の即効薬とはならない。
企業に歓迎の声
一方、企業からは歓迎の声があかっている。「適時適切な対応は評価したい」(三井物産、「活用の余地は大いにある」(三菱マテリアル)。産業界からは一定の評価の声が聞かれた。
ある大手銀行首脳も 「万が一の市場の波乱に備え、1000億ドルの資金枠は実にありかたい一と打ち明ける。米欧の債務問題を巡り、金融不安への警戒がじわり高まっているためだ。金融機関の信用リスクを示す「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」の保証料率は最近、上昇し始めている。
一部の欧州系の銀行の信用力は08年秋のりーマン・ショック後の金融危機の時以上に低下しており、なにかをきっかけにマネー収縮が起きないとも限らない。
もちろん、足元で邦銀の資金繰りに問題が生じているわけではない。だが、リーマン・ショック後のように世界の金融市場の機能に支障が出れば、比較的財務が健全な日本勢の外貨の資金調達にも影響が出かねない。円高対策で打ち出した政府の資金枠が結果的に、万が一の安全網になるとの指摘もある。
外為持ち高に報告義務 投機抑制は不透明
円買い主道、海外勢は対象外
財務省が24日発表した外国為替の持ち高報告の義務付けは、金融機関に対する異例の措置といえる。外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく措置で、1998年の外為法改正以来で初めてとなる。外為市場で円買いを進めているヘッジファンドなどの海外勢は報告義務の対象外だが、投機的な動きをけん制する狙いがあるとみられる。
報告義務付けの対象は東京市場で為替取引量が多い30社程度の銀行や証券会社。1日に2回、持ち高報告を求め、違反すれば6ヵ月以下の懲役か50万円以下の罰金が科される。
財務省は24日に早速、主要金融機関にトレーダーが保有する持ち高を報告するよう求めた。外為法に基づく報告命令ではなく「試験的に実施した」(関係筋)という。財務省は金融機関の負担も勘案しながら、義務付ける報告の内容などを詰める考えだ。
円か売買されるのは東京市場だけではない。市場では「円買いを主導しているのは海外投機筋なので、効果はない」(欧州系証券)との声が出ているが、財務省は持ち高報告を通じ市場監視の精度を高める方針だ。米欧に今の円高が投機的な動きだと主張しやすくなるという判断もあるようだ。
政府は24日、1000億ドル(約7・6兆円)のドル資金供給枠の設定を軸とする円高対策をまとめた。企業の海外投資を促し、民間資金の円からドルヘの転換を促す狙いだが、円高阻止の効果は未知数。首相交代の空白を突かれないように、にわかづくりした苦肉の策との見方が強い。
「即効性も実効性もない」 (クレディ・アグリコル銀行外国為替部の斎藤裕司ディレクター)--。24日午前、野田佳彦財務相が緊急発表した円高対策を見た市場関係者は一様に首をひねった。
円高対策の柱は、企業の海外M&A(合併・買収)を促進するための低利資金の仕組みのほか、国内の金融機関を対象に為替の売り買いのポジシヨンを報告させる“口先介入”。
投機マネーの動向を握る海外市場の参加者は入っていない。対策発表直後、東京市場では「失望の円買い」が殺到。円相場は1ドル=76円台半ばに上昇した。
時間優先の対策 今回の対策は先週末の海外市場で円相場が一時、76円を初めて突破したのを受け、財務省が週末に急きよ作った。市場で円か再び急伸した場合、いつでも対策を打ち出せるようにした。財政出動を伴う円高対策に踏み込む案もあったが、関係省庁との調整に時間がかかるため見送った。何よりも時間を優先した。
円相場は76円台後半で安定しているが、26日の米金融シンポジウムの講演でバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が追加金融緩和を示唆するのではないかと注目されている。「投機筋はドル売りの材料を探している。講演内容にかかわらず、円高が進む可能性がある」。財務省幹部は対策の週内発表にこだわった理由を説明する。
29日の民主党代表選で政治空白が生じれば、投機筋の動きへの対応が遅れ、円高・ドル安が加速する懸念もある。野田氏が財務相のうちに形を付けたいとの思惑もあったとみられる。
もっとも、今回の対策は、中長期的に民間企業の円資金の外貨への転換を進め、為替相場の安定につなげる呼び水の効果を狙っている。企業が海外で企業買収などに打って出る資金の一部を政府が邦銀を通じて低利で貸し出し、企業が残りの投資資金を確保するために、円を売ってドルを買う動きを促す仕組みだ。
銀行の融資姿勢や企業の積極的な戦略がカギになるといえ、急激な円高が進んだ場合の即効薬とはならない。
企業に歓迎の声
一方、企業からは歓迎の声があかっている。「適時適切な対応は評価したい」(三井物産、「活用の余地は大いにある」(三菱マテリアル)。産業界からは一定の評価の声が聞かれた。
ある大手銀行首脳も 「万が一の市場の波乱に備え、1000億ドルの資金枠は実にありかたい一と打ち明ける。米欧の債務問題を巡り、金融不安への警戒がじわり高まっているためだ。金融機関の信用リスクを示す「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」の保証料率は最近、上昇し始めている。
一部の欧州系の銀行の信用力は08年秋のりーマン・ショック後の金融危機の時以上に低下しており、なにかをきっかけにマネー収縮が起きないとも限らない。
もちろん、足元で邦銀の資金繰りに問題が生じているわけではない。だが、リーマン・ショック後のように世界の金融市場の機能に支障が出れば、比較的財務が健全な日本勢の外貨の資金調達にも影響が出かねない。円高対策で打ち出した政府の資金枠が結果的に、万が一の安全網になるとの指摘もある。
外為持ち高に報告義務 投機抑制は不透明
円買い主道、海外勢は対象外
財務省が24日発表した外国為替の持ち高報告の義務付けは、金融機関に対する異例の措置といえる。外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく措置で、1998年の外為法改正以来で初めてとなる。外為市場で円買いを進めているヘッジファンドなどの海外勢は報告義務の対象外だが、投機的な動きをけん制する狙いがあるとみられる。
報告義務付けの対象は東京市場で為替取引量が多い30社程度の銀行や証券会社。1日に2回、持ち高報告を求め、違反すれば6ヵ月以下の懲役か50万円以下の罰金が科される。
財務省は24日に早速、主要金融機関にトレーダーが保有する持ち高を報告するよう求めた。外為法に基づく報告命令ではなく「試験的に実施した」(関係筋)という。財務省は金融機関の負担も勘案しながら、義務付ける報告の内容などを詰める考えだ。
円か売買されるのは東京市場だけではない。市場では「円買いを主導しているのは海外投機筋なので、効果はない」(欧州系証券)との声が出ているが、財務省は持ち高報告を通じ市場監視の精度を高める方針だ。米欧に今の円高が投機的な動きだと主張しやすくなるという判断もあるようだ。
アジア市場開拓 自前路線を転換
ユニーチャームはベトナムの乳幼児用紙おむつと生理用品大手、ダイアナ社(ハノイ)を買収する。今秋にほぼ全株を取得し、所得水準の向上で年2ケタ増の成長を見せるベトナム市場のシェアを広げる。
ユニーチャームはこれまでアジアでは自前で現地工場をつくり、市場開拓を進めてきたが、欧米や現地企業との競争が激化。円高を生かした企業買収でアジアでの成長スピードを上げる。
投資額は100億円前後とみられる。ユニーチャームのタイの現地法人を通じてダイアナ社の株を保有する創業一族や投資ファンドから取得する。ダイアナ社の売上高は50億円。
べトナムでは紙おむつで市場シェア30%、生理用品で40%を持ち、米キンバリー・クラークに次ぐ。
ユニーチャームはアジアでの紙おむつや生理用品などのシェアは25%で1位だが、ベトナム市場の開拓は遅れていた。ダイアナ社はハノイとホーチミンに計3ヵ所の生産工場かおり、自社のノウハウを移管してコスト競争力を高め、シェアー位を目指す。
新興国市場でユニーチャームが企業買収するのは初めて。これまでタイやインドネシアなど新興国については自社工場と独自の販売網を築き、紙おむつや生理用品で首位になってきた。
ユニーチャームはベトナムの乳幼児用紙おむつと生理用品大手、ダイアナ社(ハノイ)を買収する。今秋にほぼ全株を取得し、所得水準の向上で年2ケタ増の成長を見せるベトナム市場のシェアを広げる。
ユニーチャームはこれまでアジアでは自前で現地工場をつくり、市場開拓を進めてきたが、欧米や現地企業との競争が激化。円高を生かした企業買収でアジアでの成長スピードを上げる。
投資額は100億円前後とみられる。ユニーチャームのタイの現地法人を通じてダイアナ社の株を保有する創業一族や投資ファンドから取得する。ダイアナ社の売上高は50億円。
べトナムでは紙おむつで市場シェア30%、生理用品で40%を持ち、米キンバリー・クラークに次ぐ。
ユニーチャームはアジアでの紙おむつや生理用品などのシェアは25%で1位だが、ベトナム市場の開拓は遅れていた。ダイアナ社はハノイとホーチミンに計3ヵ所の生産工場かおり、自社のノウハウを移管してコスト競争力を高め、シェアー位を目指す。
新興国市場でユニーチャームが企業買収するのは初めて。これまでタイやインドネシアなど新興国については自社工場と独自の販売網を築き、紙おむつや生理用品で首位になってきた。
普通預金200兆円に迫る 震災で安全志向 手元資金積み増す
個人マネーが株式などリスク資産に向かわず、普通預金に滞留している。家計が国内銀行に預けた普通預金の残高は200兆円に迫り、前年同月比の伸び率は6%となった。
東日本大震災をきっかけに、直ちに引き出せる普通預金に預ける傾向が強まったほか、所得や雇用の不安から手元資金を積み増す動きも増えている。
個人の金融資産は銀行預金を通じて国債に振り向けられており、経済の潤滑油である資金の流れが滞る一因ともなっている。(個人の金融資産は3面「きょうのことば」参照)
日銀によると、国内銀行(ゆうちよ銀行を除く)が預かった個人の普通預金など要求払い預金の残高は2011年6月末で約190兆9000億円となった。残高は過去最高を更新し、前年比で6・O%、10兆7000億円増えた。
個人の普通預金の伸びは昨年は平均で3%程度だったが、震災が起きた3月以降は5%を超えている。震災直前の2月末以降、普通預金には6兆円以上が流れ込んだ。災害時に備え、現金を直ちに引き出せるようにするためとみられる。マネーストックから推計すると、7月も個人の普通預金残高は5%前後の伸びとなったもようで、増加傾向は続いている。
先行きの所得や雇用の不安からも、手元の資金を厚くする動きが出ている。家計調査では、4~6月の預貯金純増額(月間平均)は6万6000円と、1~3月の200円から急増した。可処分所得は前年同期比で4%減ったが、消費支出や保険などを抑えて預貯金を積み増した。
投資リスクを回避しようとする姿勢も根強く、個人国債の償還などで出回った大量の資金も普通預金に流れているようだ。個人向け国債は5年物が今年1月に初の満期償還を迎えた。7月までに3兆円超が償還されたもよう。
旧郵便貯金の定額貯金も大量満期の時期に入っており、今年だけで10兆円近くが満期になるとみられている。株式や投資信託といったリスク資産への流入を期待する声もあったが、安全志向から普通預金への流人が鮮明だ。
震災の被災者に支払われた保険金が普通預金に滞留している可能性もある。金融庁によると、生命・損害保険各社や主な共済組合が支払った保険金は7月時点で約1兆8000億円。義援金も1600億円強が被災者に届いている。
日本の家計部門は約1400兆円の金融資産を持つが、その大半は現預金だ。株式や投信などを通じてリスク投資を促そうと政府・日銀は「貯蓄から投資へ」を提唱してきたが、最近はむしろ個人が保有するリスク資産は減少。株式(時価ベース)は直近ピークの06年から半減し、投資信託も07年比で3割近く減った。
滞留する個人マネーは普通預金を通じて国債に向かう。米ムーディーズ・インペスターズ・サービスが24日に日本国債を格下げするなど、日本の財政悪化には不安があるが「企業の資金需要が低迷しており、国債に振り向ける以外にない」(大手銀行の運用担当)。個人マネーが政府債務を支えている格好だが、普通預金への大量の資金流人がいつまで続くかは不透明だ。
個人マネーが株式などリスク資産に向かわず、普通預金に滞留している。家計が国内銀行に預けた普通預金の残高は200兆円に迫り、前年同月比の伸び率は6%となった。
東日本大震災をきっかけに、直ちに引き出せる普通預金に預ける傾向が強まったほか、所得や雇用の不安から手元資金を積み増す動きも増えている。
個人の金融資産は銀行預金を通じて国債に振り向けられており、経済の潤滑油である資金の流れが滞る一因ともなっている。(個人の金融資産は3面「きょうのことば」参照)
日銀によると、国内銀行(ゆうちよ銀行を除く)が預かった個人の普通預金など要求払い預金の残高は2011年6月末で約190兆9000億円となった。残高は過去最高を更新し、前年比で6・O%、10兆7000億円増えた。
個人の普通預金の伸びは昨年は平均で3%程度だったが、震災が起きた3月以降は5%を超えている。震災直前の2月末以降、普通預金には6兆円以上が流れ込んだ。災害時に備え、現金を直ちに引き出せるようにするためとみられる。マネーストックから推計すると、7月も個人の普通預金残高は5%前後の伸びとなったもようで、増加傾向は続いている。
先行きの所得や雇用の不安からも、手元の資金を厚くする動きが出ている。家計調査では、4~6月の預貯金純増額(月間平均)は6万6000円と、1~3月の200円から急増した。可処分所得は前年同期比で4%減ったが、消費支出や保険などを抑えて預貯金を積み増した。
投資リスクを回避しようとする姿勢も根強く、個人国債の償還などで出回った大量の資金も普通預金に流れているようだ。個人向け国債は5年物が今年1月に初の満期償還を迎えた。7月までに3兆円超が償還されたもよう。
旧郵便貯金の定額貯金も大量満期の時期に入っており、今年だけで10兆円近くが満期になるとみられている。株式や投資信託といったリスク資産への流入を期待する声もあったが、安全志向から普通預金への流人が鮮明だ。
震災の被災者に支払われた保険金が普通預金に滞留している可能性もある。金融庁によると、生命・損害保険各社や主な共済組合が支払った保険金は7月時点で約1兆8000億円。義援金も1600億円強が被災者に届いている。
日本の家計部門は約1400兆円の金融資産を持つが、その大半は現預金だ。株式や投信などを通じてリスク投資を促そうと政府・日銀は「貯蓄から投資へ」を提唱してきたが、最近はむしろ個人が保有するリスク資産は減少。株式(時価ベース)は直近ピークの06年から半減し、投資信託も07年比で3割近く減った。
滞留する個人マネーは普通預金を通じて国債に向かう。米ムーディーズ・インペスターズ・サービスが24日に日本国債を格下げするなど、日本の財政悪化には不安があるが「企業の資金需要が低迷しており、国債に振り向ける以外にない」(大手銀行の運用担当)。個人マネーが政府債務を支えている格好だが、普通預金への大量の資金流人がいつまで続くかは不透明だ。