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日本を代表する "ガラパゴス・キッチンツール"『三徳缶切り』のルーツについて

2022年05月23日 | 日記

前にも(どこかで)記してた❔かもしれないが、趣味で三徳缶切り(Japanese Santoku Can Opener)を収集してる。

三徳缶切りは、世界で日本にしかないガラパゴス・キッチン用品だ。自分は個人的に『ガラキチ』と呼んでる 昔は どの家庭にもあったが、プルトップ式の缶詰めやペットボトルの普及で、もう若夫婦の世帯だと置いてなかったりする。

かくいう自分も、実際に缶詰めを開けるときは洋式(というか世界標準)の、回転式缶切りを使う。一回でも、あの簡単さ・速さ・キレイさを知ってしまったら、二度と三徳缶切りには戻れない💧 喩えはアレだが、和式便器と洋式便器くらい、洋式の方が「開け心地の軽やかさに優ってる」


日本の「ガラパゴス缶切り」の歴史

日本で最初に「缶詰めが一般庶民の手に」渡ったのは、関東大震災(1923年)。アメリカから送られた援助物資に、大量の缶詰製品が含まれていたことからだ。

しかし、当時これらを開ける「缶切り」は銛(モリ)のような形をした鉄器具。現代の「手動缶切り」のイメージとはホド遠かった。

しばらくして、現在のような「てこ式」の普及版が創案された契機が…実は日米の太平洋戦争。

太平洋の離れ小島にまで進駐する機会の激増したアメリカでは、兵糧の多くを缶詰めが占め「前線で手早く開けられる開缶ツール」が猛烈に❕ 求められた。そこに創案された携帯食器に「P-38」「P-51」という「てこ式の缶切り金具」が登場したのである。これらは(オドろいたことに)21世紀の今も生産販売し続けられている。


これらが終戦により、米国に占領された日本にも入ってくる。

50年代の工業復興期に入り、徐々に日本でも缶詰生産が本格化。それ以上に、日本の金物生産者はアメリカ向けの「日用品」生産輸出に活路を見い出していた。この「てこ式缶切り」とて例外じゃない。


60年代ともなれば、金物加工のメッカ新潟/燕三条エリアはじめ、日本じゅうの金物加工メーカーから数々の意匠を凝らした「アメリカ向け缶切り」が誕生し、輸出されていった。

中には、半世紀以上経った今も売れ続けてる人気商品🎵も存在する。上掲画像↑ 中央のガンジー缶切 #300(埼玉県 新考社製)は、ネット売価が日本の倍(およそ千円)するにも関わらず❕ Amazon本家で「Amazonチョイス」選定を受け、手動缶切りカテゴリーの「売上ランキング第20位」に堂々ランクイン(2022年5月現在)してるのだ。


ここまで米国民に支持されてる理由の一番は、切り刃の品質。第二に、P-38以来の「てこをグイグイ押して開ける」アメリカ流を継いでることだ。

しかし、(まだ欧米人に比べると体格に見劣りした昭和中期の一般的な)日本人……特に中高年主婦には「力が要りすぎる」という欠点も。そこで「てこを押すときの力がもっと少なくて済むよう」構造を見直した缶切りが60年代に登場する。それこそが、燕三条の金物組合が設計した「新規格=三徳缶切なんだな❕❕


いわゆる理科の『てこの定理』である。支点と作用点(刃)の距離の5倍くらいの長さを、力点(にぎる部分)までに置いた。これならギコギコ、楽に切れる。

1975年の大阪万博が開催される頃になると、徐々にキッチン用品にも「プラスチック成型」の波が入ってきた。塗料の色づかいがカラフルかつ、フレッシュな原色になってきて……この「三徳缶切」の「赤」版が、従来の「紫がかったエビ茶色」からモロに❕ プレーンな赤色塗装に変更されたりした。


そうして、さ~らに60年近く❕❔

形状も材質も変えるコトなく、脈々と販売し続けてきたのが『にっぽんの缶切り、ザ・三徳缶切りなのだよね。

ついては自分、この元祖1960年ごろの「渋い赤色?塗装」バージョンの三徳缶切りがずううっと欲しかった。そこはコレクターとして押さえときたい。でもネット調べても、史料画像的なもんとか「錆まくった骨董品」しか出てこなかった。


それが先日、ついに❕ 新古品をゲットできちゃった

いっや~~、天にも昇りたい気分っス。今さら、この塗装色が復活するとは思えん💧 のでねえ。


 
 
最後に付け足し。

アメリカ人には見慣れないツールである「三徳缶切り」。初めて「使ってみた」動画がこちら。

最初は戸惑っててギコちないけど……要領を得るのが早っ 日本人でも若い子だと、上手に使えなかったりするのに。豆野菜すら缶詰めにする「元祖缶詰大国」の兄ちゃんは、やっぱ違うね(感服)

Japanese Can Opener Operation | What one is and what it looks like


=了=

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