正月,雪の中に閉じ込められたような上越の地で高田瞽女達はどのように過ごしたのだろうか.
そぼ降る雪の高田の町屋で,歌,三味線の稽古をしたり,門付けで町を歩いたりと,正月のひと月は高田で過ごしていたようだ.興隆を極めていた大正期には,町屋の至るところ,格子戸の家並からは瞽女歌や三味線の音が聞こえていたことだろう.
今年の正月は穏やかな日々が続いていたが,1月も半ばから平成18年豪雪に勝るとも劣らない積雪になった.国内では最長と言われる高田の雁木通りは,こんな時には多いに役に立つ.
雁木通りが切れ,町屋がなくなり,現代風のお店が立ち並ぶように成りつつあるのは,仕方がないことだろうか.
高田の正月に正月らしさはないが,地味で手作り感のある正月がある.何もかもが白雪の中の世界だからか.
関東ではどんど焼きなどと言われている行事であるが,上越では至ところでおこなわれる
二月,矢代方面への旅(2月3日~2月21日)「斉藤真一著瞽女=盲目の旅芸人から」
『組によっては,直江津,柿崎の海岸方面に出たが,杉本家では新井や矢代方面に出た.同じ大字に長い期間逗留した.岡沢,西野谷には昔からなじみの瞽女宿が多い』とある.
岡沢には杉本シズ,旧姓,五十嵐シズの実家があり,岡沢がシズの出身地であることからも,長逗留したのだろうか.
新井あたりから妙高を見る
今年の妙高,新井辺りの積雪はゆうに3メートルを越す.そんな雪の中を瞽女たちは重い荷を背負い,氷風の臭いを嗅ぎながら,雪を踏みしめたのだろう.
雪に埋まった五十嵐宅