しつこかった今年の寒気団も,4月も半ばになると流石に離れていったようだ.この時期の瞽女達は、直江津から糸魚川方面へ,また、日本海沿いの集落や,雪が少ないようであれば,桑取谷やその他の谷筋を奥の方に入っていったようだ.日差しも暖かく,桜が今にも咲きそうな,いや咲いてもよさそうな陽気の中,次々と咲き誇る花々の香しい中,ようやく迎えた春の宴の中,山村部に足を運んだのだろう.
谷の奥にはまだまだ多くの残雪が残り,名立の観音堂をしばらく振りで訪れると,今年初めて来たという,この集落の女性にあった.かっては7,8軒あった家も半分になり,この観音堂の上部にある墓守も年をとり大変だが,つい先日まで雪で墓の周りの片付けができなかったが,と春を待った顔があった.「この観音堂の近くの大木が何度も倒れたのにも関わらず,決して,観音堂に倒れなかったのは不思議なことだと」語ってくれた.
雪がまだまだ残るが、あっという間に,夏が来るであろう.名立谷最奥集落,東飛山