大阪は貝塚に木積という地域があり、昔から筍の名産地と知られています。
木積には幾つかの良い筍が育つための特長があります。水分を多く含んだ粘土質の地層と急斜面な地形です。粘土質でもあまり土の粘りが強すぎると良い筍ができないそうで、また筍も地上に出てくるまでえぐみを持ちすぎてしまうそうです。また、斜面も急斜面なほど地下茎が大きなうねりで育ち、そのうねりが大きい程、大きくて良質な筍が取れるのです。
今回、王子さんの竹林を見学させて頂くまで、本当に無知だった。今までは、筍というと竹林に自然に生えてきて、それを掘り起こすとイメージだったのですが、それは大きな見当はずれでした。筍収穫後にまず余分な竹を伐採。(竹林は放置しておくとすぐに密生状態になってしまう。) 山の斜面を掘り起こした土を撒く。(土が固くなり過ぎると筍の芽をひばりを見落としてしまう。)他にも、山の湧き水を利用したスプリンクラーを付けての散水や親竹の先を折って竹が地下の根に充分栄養がまわるようにしたりといろいろと手をかけてあげないと、良い筍は育たないのだそうです。(画像は、まだ地上に出る前の筍のひばりです。)
実際に、私も筍を掘らして頂きました。なかなか思うように鍬を動かせなし、筍を木傷つけたくないと思うと余計にうまく行かない。なんとか掘り出そうとした時、更に地中から筍がもう1本現れた。地面に隠れたままなので、とても立派。王子さんのご好意に甘えて、この筍も掘らせて頂きました。
そして、念願の掘りたて筍の試食。掘りたての根の部分を食べて、・・・・梨みたいに瑞々しくて、しゃきしゃきしている。全くに苦味がない。でも、しっかり筍の風味が口の中に広がる。間違いなく、今まで食べた筍の中で一番。断トツの美味しさ。この筍を、いろんな人に食べてもらいたいと心から思った。朝掘りの筍をその日のうちに料理できる、これは料理人冥利に尽きます。
ただ、この竹やぶを管理する王子さんは、あまり木積の筍がブランド化して高価になって欲しくないとおっしゃっていました。それは一般的に消費して欲しい、季節が来れば食べたくなるようなものでありたいという思いが込められているのです。また、後継者の存在が、後世に残すために竹林をより大切に取り扱う原動力にもなっておられるそうです。王子さんには、本当にお世話になりました。有難うございます。
分けていただいた筍は、帰宅後水煮して保存。軸は桂剥きにして、モズク酢と合わせたり・汁物の具にしたりと調理。シャキシャキしていて、その食感がとても楽しい。これも生の筍の醍醐味ですね。(画像は、筍の根の部分を桂むきしたあとに、刻んだもの。その白さにも驚かされるでしょ。)
大阪にはまだまだ美味しいものが沢山ありそうですね。もっと、知りたくなって来ました。