先日、大有研第12期農塾の一回目が開催されました。
第一回目の講師は大有研の前代表で、日本有機農業研究会理事の尾崎零さんです。
講演のテーマは、 「有機の風をつくる。」
有機農業がムーブからブームへ、そして更なる広がりへー「生きるというのは、食べるということ。」 たべることの大切さを認識されにくくなっている
70年代高度経済成長は、豊かさのため(目的)の経済(手段)が、経済が先行してしまって合理性を優先するようになってしまった。その影の部分として環境破壊などが起こる。また、ヒソミルク事件のように食品公害の起こり、食への危機感が高まり、有機運動が始まる。 「有機運動の風」
80年代は産消提携が始まる。東京の消費者グループと千葉の三芳村の生産者さんの繋がりがモデルケースとなる。それまでなかった有機での野菜作りの代わりに、全量買取・災害時などの保証金の確保・価格を生産者が決めるという今までにない消費者と生産者の関係。有機的で、顔の見える関係の始まり。また、有機農産物を取り扱ったり、商品化されたりし始める。 「有機農産物の風」(ただしまだ物だけをみて、農業の発展へと繋がらない。)
90年代はバブル崩壊後の「保障無き時代」の始まり。バブル崩壊後、経済優先の価値観の歪みが出る。温暖化などの世界的な環境問題や企業倫理への不信感。食生活の乱れと精神性の関連が言われ始める。(交通事故よりも多い、自殺者数。)地方都市への回帰など、生き方としての就農への関心が高まる。終身雇用などの守られた時代から、自立への時代へ。 「農的暮らしの風」
現在は有機JASやポジティブリストなど、有機農業の法制度が少しつづ進む。(きっかけは輸入有機への取扱から、国内でも有機農産物への対応が必要となる。)さらに有機農業推進法制定(理念法)を目指して、より明確に有機農業への理解・必要性を広げていく。医療費の増大という面からも、食育が盛んにいわれるようになる。 「社会システム化の風」
生きることは、食べること。日本では、その礎となる農業をはじめてする第一次産業が衰退の一途を辿っている。国内自給40%・有機農産物については0.16%という現実。食糧の量も安全性も確保するのが難しいのが現状になってしまっています。 今期の大有研は、環境や命にとってより良い物を食べるをたいせつにする「有機の風」が広まることを目標に頑張っていきたいと思っています。
追伸ー先日、この講演の打ち合わせをするために能勢の尾崎を訪問しました。打ち合わせは、尾崎さんの奥様と息子さんが切り盛りする「しゃらん・ど・らーは」さんで。もちろん、使われている食材は、もちろんすぐ目の前にある尾崎さんの育てた野菜達。その時食べた「季節野菜の石釜焼き」がとくに印象深くて、美味しかった。野菜が美味しいのはもちろんなのだけれど、石窯だからこその火の入り方がとても素晴らしかった。とてもシンプルだけど、野菜の美味しさを十二分に引き出した料理法だと思います。もし、能勢に行かれたのなら、是非体感してもらいたいです。