カフェ sangmiさんでの昼食を頂いた後は、【浪速魚菜を守る会】でご一緒させて頂いてます、石橋氏を訪問させていただきました。石橋さんは「天王寺蕪の会」でも中心的なご活躍をされ、浪速野菜にかなりご精通されております。また、今でこそ引退されましたが、少し前までは大阪は木津市場内でお漬物やを営まれておりました。今でこそ、毛馬胡瓜などをちらほらと見かけえるようになりましたが、石橋さんは今の流れに先駆けるように天王寺蕪や毛馬胡瓜・大阪の伝統野菜を使ったお漬物を自らお作りになっていたのです。
これも何かのご縁でしょうか、石橋さんのご自宅は私の家から比較的すぐのところにあります。ほんの数十年前までは、この住吉区一体は大阪の中でも大農作地域だったそうです。そして、そこで植えられている野菜こそは、一時期は姿を消しかけた浪速伝統野菜たちだったのです。しかし、この住吉のあたりは第二次大戦を前後に大量生産できる作物へと切り替わって行きました。 また、昭和30年台になり大阪府下全域でも宅地化や通年性の農作物への移行のために毛馬胡瓜はその姿を次第に見せなくなったそうです。更に毛馬胡瓜に関して言えば、この種が農協や種子やの管轄ではなく、各家での管理であったことも衰退のきっかけであったようです。 このように大阪の野菜はその時々の時代の流れに翻弄されながらも、また同じ人の手によって復活しようとしているのですから不思議なものです。
当時の毛馬胡瓜の食べられ方としては、ざくざく(小口に切ったものを土佐酢で合えたもの。蟹の身や鶏の笹身を加えてもよい)や浅漬け、奈良漬にして食べていたそうです。更に熟して大きく黄色くなったものは、皮を剥き種を取り除いて炊いて食べたそうです。大きくなるにつれて苦味を強くなり(ククルビタシンの言う成分でにがうりの苦味成分と同じ)、ゴーヤチャンプルの油で炒めて食べても美味しいようです。
他にも石橋さんはいろいろと浪速野菜の復活へのエピソードなどを聞かせて頂きました。石橋さんの野菜に対する思いは非常に熱かったです。そんな石橋さんに「天王寺蕪の会」で料理の手伝いをして欲しいと言って頂いた時には、素直に嬉しかったです。ご迷惑にならないように、今まで以上に精進しないと。
【土佐酢】-だし200cc・薄口醤油50cc・砂糖50g・酢300cc・出し昆布一片を火にかけ、よく混ぜて砂糖を溶かす(沸騰しないように)。 砂糖が溶けたら火を消す。かつを節 軽く一掴み入れ(これが追いかつお)、冷まして使う。