この2月から、大阪の酒蔵さんを巡るようになって、改めて大阪の食文化の底力を知ることが出来、また大阪にも十二分に美味しいお酒があることがわかりました。
今回訪問させて頂いた酒蔵さんは、泉佐野市日根野にある北庄司酒造さんです。
本来は個人の見学を受け付けていません。ですが、折角近くに来ているし(なんと犬鳴豚の川上さんのところから車で5分程で着いてしまいます。)、お酒は購入出来るようなので、その時に少しでもお話を聞ければ良いな、と思いながらの訪問。
蔵主さんは不在でしたが、運良く専務の北庄司文良さんに蔵の中を案内していただけることに。
創醸は大正10年と比較的新しい酒蔵さんです。しかし、この日根野は平安時代より荘園として栄え、江戸時代から酢・酒作りが行われいたことを示す文献が残っているそうです。荘園時代からの肥沃な土地での稲作と、「出づ水」の由来を持つ、和泉山系を源とする良質の水が、この地の酒作りを支えたのです。
平成8年に蔵は改築され、今は本醸造以上の特定名称酒を中心に造っているそうです。拝見させて頂いた蔵の中の印象は、酒母室や枯場を併設した麹室などが広くしっかりとスペースを取られていること。杜氏を据えずるに、蔵主さんを含めた社員総勢4名の少数ながらの、丁寧な酒作りを感じることが出来る蔵内でした。
蔵の中を案内して頂いた後に、蔵の思いを聞きながら試飲をさせて頂きました。
主に使われる酒米は、五百万石と山田錦だそうで、酒作りは10月中旬から4月末まで行われるそうです。純米・大吟醸は丁寧な袋絞りで、貯蔵のサーマルタンクを使用するもの以外は、20度を超えるまでは空調を使わないでより自然な酒作り作り・一貫した手作りの酒作りを大切にしているそうです。
北庄司さんが目指すお酒は、旨み・甘みがありながら、キレのあるお酒。酒作りに関しては、こだわりのある一貫した手作りを大切にしているそうで、「お酒は生き物なので、毎日が不安です。」と苦笑しながらおっしゃっていました。
試飲させた頂いたお酒で、私が購入したのは「荘の郷 純米酒」 精米度65%の山田錦と五百万石を使用していて、常温・燗でも美味しいだろうと思わせるお酒で、凄くバランスの良さを感じます。
私の料理人なので、いくら大阪で作られるものでも、美味しくないものは絶対に使いたくない。少量ながらの、こだわりを持った酒蔵で造られる美酒。また一つ、大阪の自慢のものに出会うことが出来ました。感謝・感謝。