高麗橋桜花 徒然日記ー料理人はどこまでできるのか ー

「高麗橋桜花」店主・「大阪食文化研究所」主宰森田龍彦のブログです。どうぞご贔屓にお願い申し上ます。

第25回 浪速魚菜の会 講演の部

2006-06-30 | 農業・食育・食文化について

 第25回の浪速魚菜の会の総会でした。

  講演の部は、辻調理師専門学校の畑耕一郎先生と河内でぶどう栽培・ワイン醸造をなさっている小椋英且さん、そして河内鴨のツムラ本店の津村佳彦さんです。

 畑先生には、家庭料理についてお話して頂きました。
 
 家庭の主婦の方は、家事をこなしながらの食事作りなので、料理人よりの大変。ただ、プロの真似をするところが間違っていることが多い。技術を追求するのではなく、知恵や知識を大切にして欲しい。(煮物をコトコト煮る大切さなど。)また、道具の使い分けの大切で、何でも一つで済まそうとすると余計にうまくいかない。

 家庭料理が食の原点。料理は材料が命。「ごちそう様」という言葉の意味をしっかり理解出来るよう、頑張って欲しい。

 続いて、小椋英且さんから葡萄作り・ワイン醸造についてのお話。

 昔は、ソムリエとして活躍されていた小椋さん。それが、もっと作った方の思いを伝えたいと思うが高まり、自ら生産者となることを決意。現在は、羽曳野市飛鳥にある「仲村わいん工房」さんの葡萄畑の一部を任せられて、ご自身のワイン作りに励まれいます。

小椋さんが主に栽培されているのは、デラウェアです。食味用の葡萄であるデラウェアでは美味しいワインは出来にくいといわれますが、敢えて一番大阪らしい葡萄でワインを作りたいという小椋さんの心意気なのです。まだ、自身のワイン作りも始まったばかりながら、栽培する葡萄の成長とともにワイン作りへの手ごたえを感じておられるそうです。

 しかし、収入や知名度の面など、まだまだ多くの課題があるのも事実です。大阪で生まれようとしている新たなこだわりのワイン。そんなワインを小椋さんは、「冒険の味」とおっしゃいました。会の試飲でも、とても好評でした。こんな素敵なワインの誕生を嬉しく思い、また多くの方に知っていただき、楽しんで頂きたいと思いました。

 最後に、河内鴨の津村佳彦さんです。

 津村さんに関しまして、以前に詳しく書かせて頂きました。前回の訪問が縁で、今回の魚菜の会に初めて参加して頂きました。

 津村さんのこだわりの一つが生食出来る、鮮度・品質にあります。よく有名百貨店や料理屋さんからの問い合わせがあるそうですが、品質管理などへの思いの違いを感じるそうです。だからこそ、ご自身のお店で取り扱う商品で、生食が出来るクオリティーを感じて欲しいとおっしゃっていました。

 また、古い歴史を持つ合鴨の飼育ですが、付近の住宅化で周辺住民とのかねあいにも気を配らないようになってきたそうです。それは大阪のような都市型の農業や畜産が抱える大きな課題の一つとなっています。

 津村さんは、合鴨の孵化から卸・小売まで扱う一貫体勢です。命を預かるからこそ、その取り組みは真剣そのものです。大阪にも数は多くありませんが、こだわりの畜産がまだまだあります。(命を)いただきますーを感じることができる環境は、大阪にもまだまだ存在するのです。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

こんぶ土居通信 15号

2006-06-28 | 農業・食育・食文化について

 以前にも書かせて頂いた中国での養殖昆布について、土居さんがより詳しく書かれたものを公開しても良いとおっしゃってくださったので、発表させて頂きます。「_no.15_(輸入昆布) 18_年 6 月.doc」をダウンロード

 土居さんから頂いたメッセージの抜粋です。-農業が栄えてこその豊かな田園風景。漁業が盛んであってこその活気ある海辺の暮らし、そういったものが金の力の前に消えていくのはやはり悲しいことですね。 森田さんも私も、料理人だからこそ分かったこと、昆布屋だからこそ分かること、があるとしたら、それを多くの方に理解してもらうように発信していくことは非常に重要ですよね。誰かが「人に伝えることが有る人は幸せだ」と言っていました。プロして、人に伝えるべきことをいつも持っていたいものです。

 こんな高い志を持った方が、大阪の食文化の下支えとなる昆布を守ってくれていると思うと、とてもうれしい限りです。高度経済成長下の日本ではないかもしれませんが、その文化はとても素晴らしいものだと思っています。一流ブランドの服や装飾品も良いですが、普段の食生活を豊かにすることも贅沢にも目を向けて欲しいと思う近頃です。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

すり流しの作り方

2006-06-27 | 料理日記

 野菜のすり流しのベース

 ①玉葱(350g)は、繊維に垂直に薄く切り、少量の塩・砂糖で和えておく。玉葱がしんなりしてきたら、鍋に玉葱(出てきた水分ごと)、皮を剥いてスライスしたジャガイモ(200g)を加えて、弱火で加熱する。

 ②玉葱が透き通ってきたら、お米(60g)、昆布だし(300cc)、お酒(30cc)をひたひたくらいになるまで加える。(途中、水分がなくなりかけたら、少量ずつ加える。)

 ③ジャガイモ・お米に充分火が通ったら火を止めて、ミキサーが回転しやすいように昆布だし(400cc)を加えて粗熱をとる。ミキサーのかけたあと、裏漉す。(出来上がり約900cc) このベース1に対して、昆布出汁を1.5を加えたものがすり流しのベースとなります。

 トマトの場合ートマトは皮付きのまま一口大に切り(200g)、すり流しのベース(250cc)で弱火で煮て、ミキシング・裏漉す。

 菊菜の場合ーすり流しのベース(250cc)を弱火で温め、菊菜(20g)・三つ葉(1/5束)を加えて良く混ぜて、火を止める。ミキシング・裏漉す。

 胡瓜の場合ーすり流しのベース(250cc)を弱火で温めた後、火を止める。胡瓜の乱切り(1/2)を加えて、ミキシング・裏漉す。

  もっと、シンプルな作り方も出来ますが、今回は大阪府産の野菜を使いたかったので、ジャガイモ・玉葱も使いました。とろみをつけるのに水溶き片栗粉を使ったりしますが、お米を使うことで栄養も風味をプラスすることが出来ます。

 本来のすり流しは、すり鉢ですったものを出汁で延ばすので、元の食材が細かくなって残っています。この日は、提供上の理由から、裏漉ししています。出汁も野菜の風味を感じてもらうために、かつお節を使っていません。

 なかなかの健康食品だと思います。暑い日に冷たく冷やしても、そんなに風味を落とさずに飲んでいただくことが出来ると思うので、是非試してみてくださいね。

  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

全国食育推進大会

2006-06-26 | 農業・食育・食文化について

 土曜日の全国推進全国大会に向けて、木曜日の勤務終了後から「すり流し」作りを開始。 W杯の日本対ブラジルを満足に見ることなく、作業に没頭。
 しかし、急に異変が・・。金曜日の朝には我慢できずに、とりあえず仮眠を取る事に。数時間経って起きてみると、
体がポカポカ。体温は39度を超える・・。やばい。。 でも、絶対に間に合わせないといけないので、 力を振り絞って、再び作業に。
 途中、妻にも手伝ってもらい、何とか前日の搬送の時間にはギリギリ間に合った・・・・。
一人で約600人前にスープを作るのには、少し無理があったかもしれ無いけど、衛生面にも気をつけながら手抜きをせずにしっかり作りきれたのは、妻のお陰なのです。  一人で背負い込む事が多いけど、やっはり自分のいろんな人に支えてもらっているのだなと改めて再確認しました。
 

 イベント当日のコンディションも悪。 結局、朝一で病院に。さらに前日の検査結果のより 点滴を打つことに。。時間がギリギリになるので、断ろうとしたのですが、先生に「絶対、倒れるよ。」と言われて・・・。
 急いで会場に到着すると凄い人の列。 最初に「菊菜のすり流し」が丁度くばり始められていました。 これも自身の体調管理の甘さが招いた結果なので かなりへこみましたが、その後のトマトと胡瓜は、しっかり管理しながらの 提供だったので、ほぼ満足できる形での提供となりました。 トマトは皆さん気に入ってもらえようです。胡瓜は、反応が まちまちで、飲んだ瞬間にウッとなる人や、美味しいとおっしゃってくれる人と反応がさまざま。(これが狙いの一つでもあったのですが。)年配の方には大変気にって もらうことが多くて、逆に若い女性の方には不評でした。 これも、今の食のあり方・変化を表しているのかもしれませんね。
 私自身は体調不良や多くの人の列のために、あまり詳しく見て周る事は出来なかったのは残念でしたが、それでも一通りは見学出来ました。各地で、いろいろな取り組みがされていて、いろいろな郷土料理を知ってもらおうという活動が行なわれているようですね。大阪府のブースでも、お世話になっている畜産会さんや府漁連さん、他にも大阪スローフード協会さんや栄養士関連など多くの皆さんが参加されていました。

 食育やスローフード、地産地消の流れはまだまだ始まったばかりです。もっと普段の生活に根付いて文化として発展していかないと、ただの流行りなどで終わってしまいます。しかも、今の日本は少子化の波が押し寄せています。文化を次世代へ継承していくということが希薄に成りつつある中で、少しでもこの流れを大切にしたいと思うのです。

Dscn1705

食育も担当する猪口・少子化担当相が視察・試飲に。他にも太田知事なども試飲されていかれました。私達も頑張るので、大きな良い流れを作ってくださいね。

Dscn1709

トマトのすり流しをとても気に入ってくれたお婆ちゃん。家でつくっても、こんな味にならない。どうし作るの?と訪ねられ、熱心に説明に耳を傾けてくださいました。とてもうれしい限りです。。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

28日の浪速魚菜の総会

2006-06-22 | 筆者の徒然なるままに

 今度の浪速魚菜の総会が楽しいことになっています。

 今までは前料理顧問だった上野修三先生が料理を監修されていたのですが、今回からは会員の料理人の方々にそれぞれ食材を担当して頂くことになっております。

 今回の食材は、河内鴨・貝塚早生玉葱・大阪湾の鯵、ジャコ海老・大阪千両茄子・大阪しろ菜などがあります。

 担当の料理人の方には、エプバンタイユの山田シェフや玄斎の上野直哉さん、以前にこのブログでご紹介した菜の菜の佐野さんなど、実力派の料理人の方達ばかりで、今からどのような食材の活かし方をなさるのかがとても楽しみです。

 講演には、河内鴨の生産者の津村さんとワイン生産者の方にお願いしています。特に、津村さんの鴨にかける思いを会の皆さんに聞いて頂けることが出来るので今からとても楽しみです。

 今回の総会は、お陰様でほぼ定員に達したようです。前回の総会から会のスタッフと参加させて頂いていますが、今回は草案の時からの参加となっています。なので、前回以上に責任重大なのですが、それと同時に大阪の食の底力を感じることが出来る期待感でいっぱいなのです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする