第十三篇
ほんとうは弱くて
ひとりで生きていくことができないからこそ
人は他人を求め
ひとと生きてゆこうとするのだと思う
雨にも風にも負けないで生きてゆけるのなら
他人とのつきあいなんて
ただ面倒なだけで
意味のないことになってしまう
哲学やいろいろな思想は
確かに人の心を強くはしてくれる
だけど それと同時に
何かを心から消してしまう気がする
ひとと一緒に楽しもうとする気持ち
くだらないことで笑いあえる気持ち
先のことは考えずに ただ何かに夢中になる気持ち
子供っぽいのかもしれないけれど
先が見えないだけ純粋だったあの気持ちたちを
彼は久しく感じたことがない