米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設問題で、県が沖縄防衛局に出した作業停止指示について、林芳正農林水産相は30日に執行停止を決め、指示を無効とする方向で調整に入った。執行停止は、防衛局が指示への対抗措置として申し立てたもの。翁長雄志知事は27日、「申し立ては不適法で却下されるべきだ」とする意見書を農水相に送った。

 防衛局は作業停止指示の取り消しを求めて農水相に行政不服審査法に基づく審査請求をし、あわせて執行停止も申し立てていた。執行停止が認められれば、県の指示はいったん効力を失うため、国が作業を停止する必要はなくなる。

 県庁で記者会見した翁長氏は、申し立て自体が「成立し得ない」と指摘。理由に、①県の指示は行政処分でなく行政指導で、申し立ての対象外②制度は国民が不服を申し立てるためのもので、国が申し立てることは予定されていない――などを挙げた。その上で「日米関係が悪化するから(県の)許可を得ずに作業を続けていいというなら、主権を持つ独立国家の行動ではない」と国を批判した。

 国が作業停止の指示に従わなかった場合、埋め立てに必要な岩礁破砕許可を取り消すかどうかについては「仮定の質問には答えられない」と明言を避けた。

 翁長氏は23日、国の海底調査に伴う作業でサンゴ礁が損傷した疑いがあるとして、防衛局に30日までに作業を停止するよう指示。防衛局は24日、関連法を所管する農水相審査請求と指示の執行停止の申し立てをし、農水省は27日までに意見を出すよう県に求めていた。