武内 ヒロク二

このブログは、武内ヒロクニの絵の紹介や、家での出来事を妻が語ります。
日々、徒然。

イワトシ神(ユワトゥシ神)の巻

2009-08-02 17:25:14 | Weblog

1980年に、10年の沈黙を破って発表された作品。反俗的夢想の世界であり、グロテスクで根元的なエロスと宇宙感覚。しかも、滑稽味さえある寓話的な作品です。祖母の話からテーマを得たもの。こんな文章が添えられている。

・・・・イワトシ神・・・・
 祖母のハナシに「首のない馬」がある。高千穂神社の横にあり、その間に、羊歯、笹類の生えている小道があった。首の無い馬に跨がった戦死たちが、深更に駆ける道である。轡の音、槍の切先、出くわした者は、まずその切先で、一突きのもとにある。
 難を避くるには、フンドシを(腰巻)を頭上に破り、頭を垂れて行き過ぎるのを、待たねばならないという。祖母の弟なる、剛の者がいて或る夜、出くわした。そして彼は、かねてからの伝へ、の真を問うべく、フンドシのあいだより目をあけてみたのであった。首の無い馬であった。先頭をきる隊長の曰くは、教諭(さとし)であり、叱咤であった。こうべを垂れて拝聴の後、隊列は轟然と月夜の浜辺に下ってゆく。翌朝の浜辺のは目を刳り貫かれた魚が、打ち干上がっている、という。祖母の毎夜の、この子守唄風寝者語は、現在も私にあって、子供の記憶であり、戦時中の防空壕体験につながり、播州の山村への思慕に連累する。
                  文・武内博洲(ヒロク二)


ヒロク二さんの生まれ故郷の徳之島には、イワトシ神が昇天する場所があり、この写真の木のあるところがそうだと云うことです。ヒロク二さんの叔父にあたる、水野修氏が潮風出版から「潮風」という徳之島の本を出されています。偶然、叔父様のお嬢さんギャラリー島田での個展会場で出会い知りました。お互いに自己紹介をするうちに分かったのです。わたしはいませんでした。ちなみにヒロク二さんのお母さんは「ミス大島」だったことが分かりました。奇跡のような偶然なので驚きです。

潮風出版のホームページ
http://www16.ocn.ne.jp 徳之島伝説めぐり、昔話、怪奇話、戦史、その他いろいろな内容がありますよ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする