ワインと料理を食べながら、アレコレお喋り
「生きることにも、心せき感ずることも急がるる」。と朝食が終わるやいなヒロクニさんは、立ち上がった。
「ちょっと待って、それなに?」と言って、わたしは、紙と鉛筆を持ってきて、ヒロクニさんに書いてもらった。最後の所にプーシキン、「オネーギン」と書いてあった。
アトリエへ行く(たいした移動距離ではありませんが・・・)行きながら、「玉磨かざれば、光なし」って言ってね」と、わたしの前を通り過ぎて行った。
「寺では、盾の両面を見よ。って言ってね。禅寺では大分勉強したんだよ」。(夜の台所)
わたしは「禍福は糾える縄の如し」だ。年配のお医者様から、お金が無くて、涙が出そうなときこの言葉を言われた。「幸福や不幸と思っていることは、縄のように絡み合って、人は今見えている縄のことを騒ぎ立てる。君も大人になりなさい」と。言われた時は、はっきり意味が解らなかったが、最近、解ってきたような・・・・。その先生には、診療代をツケにして貰ったコトを思いだす。そして、先生はわたしの200円程しか入っていない 財布を見せると、「ワシは、そんな額耐えられない。」と言って、自分の財布を取り出し、一万円札を10枚目の前でゆっくり数えて、「これくらい入ってないと、ワシは安心できないな!」とお金を財布にしまったのです。数えてる途中ジーと見てたので、貸してくれるのかな?と勘違いしてしまったわたしは、財布が閉められた瞬間を何故か忘れられないのです。衝撃の一瞬て言う感じ。そして、この先生には、よく叱られた。だけど、優しい先生だったなぁと思う。
ヒロクニさんも診てもらったことがあり、「制作は大変でね、肩から血尿がでたのでは?」と大げさに言う質問に、先生は「ツルハシ持って肉体労働してるのと違うやろ。」と言われて、「そうです・・・・」とヒロクニさんも黙らせた。なかなかの人物でした。