アネモネ珈琲というタイトルが付けられています。
(私は、さっぱり意味がわからなかった)
初めてこの絵をヒロクニさんから見せてもらった時、正直「何なのだ?この絵は・・・・」と
驚いた。この世の中にある絵とは、凄く隔たりがあり、子供の描いた絵のように思えたのです。
額に入れられ、台所の片隅に長く置かれていた。
そうして時間が経っていった。
ある朝、ヒロクニさんは、
「白鳥は悲しからずや空の青
海の青にも染まずただよう」とつぶやき、「若山牧水だよ」という。
「幾山川超えさり行かば
寂しさの果てなむく国ぞ今日も旅行ゆく」とも言った。
私は聞いてもすぐ忘れるので、メモ用紙に書いてもらった。
あとで、調べて意味をちゃんと解釈したものを読んでみた。
最初の句は、群青の空の色にも染まらず、また紺碧の海の色にも染まらないで、
ただひとり純白な姿を波に浮かべている白鳥のなんと愛らしく、
せつないまでに悲しいことよ。
世に交わることもなく、ひとり清純の魂をはばたかせている自らは、
とりもなおさず、白鳥である。(引用ママ)
という意味。
ヒロクニさんも理解されるとか理解されないとかを超えて、
ヒロクニ流という白鳥なのかしら?と思い、横目で良人をジロリと見た。
ヒロクニさんは、寂しいとよく言う。
そういうヒロクニさんに、単に寂しがりやというレッテルを私は貼っているが、
もしかしたら、ヒロクニさんの言う寂しいという言葉は、万葉集などの「わびさび」の「さび」の意味が
少しはいっているのかもしれない。
そういう詩を覚えていて、口に出せる事に感心した朝でした。
若山牧水は明治時代の詩人です。
そうしてまた時間が経っていった。
ある日、この絵を見ても戸惑いがなくなり、秋のような涼しい天気が続くなか、
秋の入り口にぴったりな心情になった時、この絵に愛着が湧いたのです。
ヒロクニさんの絵は、時間を必要とする絵なのかもしれないと思いました。
雨続きで、気持ちもどんよりしていた時に、この花を飾りました。
台所のちゃぶ台においています。
飾った瞬間、気持ちが華やいで、ホッとしました。
マリーゴールド、キバナコスモス、ペチュニア、千日紅を組み合わせています。
ヒロクニさんも気持ちが抑揚したらしく、「ありがとう」とおーげさに言ってくれて、
なんか誕生日みたいな感じでした。
(誕生日を何回言っても、覚えてくれない奴なのだ!)
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