昨日の「100分de名著」は小松左京の『日本沈没』だった。この小説は1973年に映画化され、ドラマ化、漫画化と続き、一大ブームとなった。当時中学生だった自分もその渦の中にいた。同時期、この『日本沈没』と並行して、田中角栄の『日本列島改造論』がもてはやされたのも皮肉な話だ。
森谷司郎監督の映画は、日本列島が海中に沈むというセンセーショナルな内容と、特撮を駆使したディザスターシーンに目が行きがちだが、今思えば、実は、故国を失い難民となった日本人はどうなるのか、という壮大なテーマを描こうとしたのだと思う。残念ながら、それが成功していたとは言い難いのだが…。また、『男はつらいよ 葛飾立志篇』(75)で、小林桂樹がこの映画と同じ名前と風体の大学教授・田所を演じていた。あれは山田洋次流のパロディだったのだろう。
そう言えば、新海誠監督の新作『天気の子』では東京が水没するらしい。