『めぐり逢い』(94)(1995.3.9.ワーナー試写室)
仕事とは言え、この映画を見るのはあまり気が進まなかった。何だか、ウォーレン・ベイティとアネット・ベニングの結婚に至るまでの道のりを、映画を使って見せられるような気がしたからである。しかもその映画は、舞台はゴージャスで、リメークするには手頃な『めぐり逢い』(57)ときた。その厚かましさや目の付け所のうまさは、いかにもウォーレン・ベイティという感じがしたのだ。
案の定、この映画には何の新しさも感じられなかった。しかも、同時期に同じように『めぐり逢い』から派生した傑作『めぐり逢えたら』(93)の存在があるだけに、ただ前作をなぞって、自分の都合のいいように作ったこの映画の弱さが余計に目に付く。
ただし、スタッフにロバート・タウン(脚本)、コンラッド・ホール(撮影)、エンニオ・モリコーネ(音楽)という大物が名を連ね、キャサリン・ヘプバーンまで登場するに至っては、彼らを動かして、自身の結婚記念映画を撮ってしまうベイティの、ハリウッドにおける大物ぶりを垣間見た気がしたのもまた確かである。
【今の一言】結構辛辣なことを書いているが、アネット・ベニングは好きな女優だったので、ベイティに対するやっかみやうらやましさもあったのだろう。