『ポセイドン・アドベンチャー2』(79)(1983.3.24.水曜ロードショー)
サルベージ業を営むマイク(マイケル・ケイン)は、転覆したポセイドン号を発見し、セレステ(サリー・フィールド)とウィルバー(カール・マルデン)と共に船内へ向かう。『ポセイドン・アドベンチャー』(72)の続編で、監督はアーウィン・アレン。
この映画の原題は「BEYOND THE POSEIDON ADVENTURE」。解説の水野晴郎氏によると「『ポセイドン・アドベンチャー』の彼方にこんな人間ドラマがまだあったんです…」ということになるが、自分が見た限りでは「『ポセイドン・アドベンチャー』は遥か彼方に去ってしまった…」という感じがした。
パート2が作られるというのは、それだけ前作が面白く、興行的にも成功したからで、製作側が夢よもう一度とばかりに、柳の下の二匹目のドジョウを狙って作るわけだが、あまり成功した例はなく、下手をすると前作のイメージをぶち壊してしまうものも少なくはない。
この映画も、その慣例にもれずに失敗している。前作にあった見る者を引き込むような緊迫感がまるでなく、最初から最後まであまりにも軽過ぎるのだ。例えば、この映画は、前作の脱出口から船内に入っていくという逆の形を取っているわけだが、こうも簡単に船内を歩き回られると、前作のスコット牧師(ジーン・ハックマン)たちが脱出までに重ねてきたすさまじいまでの苦労がかすんで見えてしまう。
また、今回はスコット牧師的な役割のマイクをケインが、彼と対立するロゴ刑事(アーネスト・ボーグナイン)的な陸軍出身のフランクをピーター・ボイルが演じているのだが、そのフランクが早々に死んでしまう。これでは人間同士のぶつかり合いから生まれる連帯感や共感を描いた前作を超えられるはずもない。唯一、マイクの相棒役のマルデンがいい味を出してはいたが…。
そして、あの地獄図のようだった船内にまだたくさんの人々が生き残っていたり、船内に積載された秘密物資にまつわる銃撃戦があったりと、もうひっちゃかめっちゃか。人物描写にも重みがないから、ドラマの展開も早い段階で読めてしまう。よくもまあこんな凡作を作ったものだ、という気がした。
最後にもう一言。前作のラストでスコット牧師が死んでしまうのは、アメリカ映画としては異端だったらしい。つまりアメリカ人は死ぬことよりも生きることを重視するから、自己犠牲の精神から主人公が死ぬような例は少ないようなのだ。前作はその通例を破った上で感動を呼んだのだが、この映画のケイン扮する主人公は…。
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