田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『キャプテン・マーベル』

2019-03-10 19:50:26 | 新作映画を見てみた


 記憶を失いながらも、クリー帝国のエリートソルジャーとして活躍していたヴァース(ブリ―・ラーソン)は敵との闘いの中、誤って地球に不時着する。彼女は断片的な記憶のフラッシュバックに悩まされながらも、やがて自らの過去に隠された真実を知ることになる。

 主人公の正体を探るミステリーの要素もあるマーベル映画の新作で、女性監督アンナ・ボーデンが共同監督を務めた。新たな女性ヒーローが登場し、後半は、彼女の超パワフルな姿に、ほとんど口あんぐり状態になる。女性が強くなった今の時代を象徴するような映画。昔の『スーパーガール』(84)なとど比べると隔世の感がある。

 『アベンジャーズ』誕生前にさかのぼり、1990年代が舞台になるだけに、フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)やコールソン(クラーク・グレッグ)が“若くなって”登場するのが笑える。ネタバレ禁止なので、これ以上は書けない。

 『キングコング:髑髏島の巨神』(17)でのアクションの厳しい訓練をかえりみて「私の体って結構すごいんだと思った」と語っていたラーソンだが、今回はそれ以上の激しさだったことは想像に難くない。彼女は『ゴジラ vs キングコング』ではなく、こちらを選んだのだな。

【インタビュー】『キングコング 髑髏島の巨神』ブリー・ラーソン
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/d2324bde64e5f6844b09e6c0acf4160c
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『裏窓』

2019-03-10 15:55:01 | 1950年代小型パンフレット

『裏窓』(54)『SCREEN特編版 これぞ映画遺産!!次世代に残したい名作映画96』(2012.7.10.)

 



ジェームズ・スチュワート


グレース・ケリー

パンフレット(55・国際出版社)の主な内容は
解説/ジェイムス・スチュアート、グレイス・ケリイ、セルマ・リッター、ウェンデル・コール/ものがたり/トピックス/アパート住人名簿/スリラー映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコック/ユニークな構成と傑れた映画感覚ヒッチコックの傑作スリラー「裏窓」(大黒東洋士)/撮影余話

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『疑惑の影』

2019-03-10 07:50:11 | 1950年代小型パンフレット
『疑惑の影』(43)(1981.4.26.)



 敬愛する叔父(ジョセフ・コットン)に殺人の容疑がかかり、娘(テレサ・ライト)は不安になり叔父のことを調べ始めるが…。

 ヒッチコック一周忌とか。早いものであれからもう1年もたったのか…。この映画は、戦後、日本で初めて公開されたヒッチコック映画だそうだが、所々に、ヒッチコックタッチと言われるサスペンスを盛り上げるための処理のうまさが見られる。例えば、手や足元のクローズアップ、キーポイントとなる「メリー・ウィドー」のダンスシーンのオーバーラップ、やや斜めからの撮影、主人公だけが真犯人を知っているという状況…。

 また、これはヒッチコック作品全般に言えることだが、女性心理の微妙な変化をサスペンスに取り入れるうまさも、イングリッド・バーグマン、グレース・ケリーといった天下の美女を巧みに使いこなしたヒッチコックだからこそと言えそうだ。「ヒッチコックの映画は、映画の教科書だ」とよく言われるが、なるほど、彼の映画には映画技法のさまざまなエッセンスが盛り込まれていることは、この映画からも明らかである。

テレサ・ライト


ジョセフ・コットン

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『地底探検』

2019-03-09 08:00:28 | 1950年代小型パンフレット
『地底探検』(59)(1989.9.)



 ジュール・ヴェルヌの原作を映画化。探検のメンバーは、地質学者(ジェームズ・メイスン)と弟子の学生(パット・ブーン)、訳ありの未亡人(アーレン・ダール)、番人のハンス(ピーター・ロンソン)。監督はヘンリー・レビン。

 驚くなかれ、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(81)の巨石転がしのルーツがここにあった! とは言え、SFX全盛の今から見れば、本物のトカゲを恐竜に見立てるなど、特撮はお粗末なものだが、少年時代にテレビで見た時は、これでも結構手に汗握って楽めたのだから、思えばぜいたくになったものである。

 加えて、この映画のアーレン・ダールのお色気は、中学生時代にも十分に感じていたが、今改めて見てもなかなかのものがあった。そのものズバリのヌードよりも、見えそうで見えない方が、逆にエロチックに見えることもあるのだ。



【今の一言】当時のダールの年齢を調べてみたら何とまだ34歳だった。昔の女優は若くして成熟していたということか。

ジェームズ・メイスン

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ほぼ週刊映画コラム】『運び屋』

2019-03-09 07:12:12 | ほぼ週刊映画コラム

エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

80歳を過ぎてイーストウッドが手にしたユーモアと余裕
『運び屋』



詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1182305

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『海底二万哩』

2019-03-08 19:47:53 | 1950年代小型パンフレット
『海底二万哩』(54)(1987.9.29.)



 空想科学小説の始祖ジュール・ベルヌが、潜水艦の出現を予言した代表傑作をディズニーが映画化。争いの多い地上世界を捨て、海中に理想郷を求めたネモ艦長(ジェームズ・メイスン)が、巨大潜水艦ノーチラス号の驚異を操る。

 最近のSFX全盛の映画と比べてこの映画を見れば、いまさらおかしくって…という者もいるだろうが、自分は、テクノロジーの進歩が早過ぎる今の映画界では、逆に作るのが難しいノスタルジックなSF映画として新鮮な気持ちで見られた。

 何より、俺たちはこういう映画に熱中しながら育ってきたのだし、今をときめくSFX映画の作り手たちにしても、子供の頃はこうした映画に驚き、心を動かされ、やがてそれが高じて、今の道に進んだ者もいるはずである。何事もルーツがなければ始まらないのだから。そう考えると、こうした映画の存在価値は今もちゃんとあるのである。

 監督のリチャード・フライシャーは、この映画の後にも『ミクロの決死圏』(66)などのSFをはじめ、さまざまなジャンルの映画を作っている。娯楽映画の見事な作り手の一人として、もっと評価されてもいいのではないかと思う。

 カーク・ダグラスお得意の、がなり立てる演技は、今から見るとちょっと奇異なものとして映った。逆にメイスンの渋い演技が光って見えた。

【今の一言】この時期は、この映画の他にも、ヴェルヌ原作の『80日間世界一周』(56)『地底探検』(59)『気球船探検』(62)などが映画化されている。この映画の姉妹編とも言える『ネモ船長と海底都市』(69)ではロバート・ライアンがネモを演じた。また、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』(90)のドク(クリストファー・ロイド)はヴェルヌが大好きで、2人の子供をジュールとヴェルヌと名付けていた。

カーク・ダグラス


ジェームズ・メイスン



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『僕たちのラストステージ』

2019-03-08 10:37:33 | 新作映画を見てみた


 1953年、かつての人気喜劇コンビ(スタン・)ローレル&(オリバー・)ハーディが、イギリスでホールツアーを行うが、すでに彼らは“過去の人”になっていた。だが、2人が懸命にツアーをこなす中、やがて満員の観客が客席を埋めるようになるが…。

 スティーブ・クーガンとジョン・C・ライリーが、本物そっくりになって“極楽コンビ”の晩年を演じ、互いに唯一無二の存在でありながら、衝突を繰り返すコンビ芸人の愛憎を浮き彫りにする。

 改めて再現された2人の芸を見ると、いかにも味のある、ほのぼのとしたものは感じるが、大笑いはできない。つまり、観客をずっと笑わせ続けることなど不可能なのだ。そこに喜劇の残酷さや、喜劇芸人の宿命を感じる。映画を見ながら、一時は楽しませてくれたが、やがて消えていった多くの芸人たちの姿が重なって見えて切なくなった。

 昨年、ジョン・ウェイン主演の『ケンタッキー魂』(49)の解説を書く際に、この映画に単独出演したハーディのことを調べ、ウェインが「もう一作一緒に出てくれ」と頼んだにもかかわらず、ハーディはローレルとのコンビでの仕事を優先させるために断ったと書いたが、この映画を見ると、実際はどうだったのだろうか、とちょっと心配になった。
https://www.amazon.co.jp/dp/B07DP1YR63
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『死刑台のエレベーター』

2019-03-07 14:34:27 | 1950年代小型パンフレット
『死刑台のエレベーター』(58)『SCREEN特編版 これぞ映画遺産!!次世代に残したい名作映画96』(2012.7.10.)




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『レゴムービー2』

2019-03-07 10:39:41 | 新作映画を見てみた


 前作から5年後。ブロックシティは荒廃し、ボロボロシティと呼ばれていた。そんな中、ルーシーと仲間たちが謎の敵に連れ去られてしまう。エメットは彼らを救うため、タフな男となって危険な旅に出るが…。

 前作同様、街、背景、乗り物、キャラクターの全てがカラフルなレゴで表現されたアニメ映画の第2弾。前作は現実世界の父と子の話が根底にあったが、今回は兄妹になっている。『トイ・ストーリー』シリーズにも通じる、おもちゃに仮託したヒーロー論がユニークで面白い。子供だましとあなどるなかれ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『去年の夏突然に』

2019-03-07 06:20:15 | 1950年代小型パンフレット
『去年の夏突然に』(59)(1991.9.11.)



 医師のクックロビッツ(モンゴメリー・クリフト)は、資本家のビネブル夫人(キャサリン・ヘプバーン)から莫大な基金提供を条件に、彼女の姪(エリザベス・テイラー)へのロボトミー手術を依頼されるが…。監督はジョセフ・L・マンキーウィッツ。

 この映画に関しては、マンキーウィッツの才気がいささか空回りした感がある。とは言え、もともとテネシー・ウィリアムズの原作戯曲自体が、恐らく隠喩が多くて分かりづらいものであろうから、それを映画化しても…という同情の余地はある。何しろ扱っているのが、直接的ではないにせよ、ホモセクシュアルと近親愛と精神異常なのだから念が入っている。

 ただ、この映画を際物の線から救っているのは、ひとえにキャサリン・ヘプバーンの演技力と存在感以外の何ものでもない。最初の不気味な登場シーンから一気に画面をさらってしまい、モンティとリズがいくら力演しても、軽くあしらっているような印象を受けるのだ。

 ところで、マンキーウィッツは、この後リズに肩入れして『クレオパトラ』(63)を撮って大失敗をし、不遇な晩年を迎えてしまうのだが、その悲劇の予兆は、すでにこの映画からあったのだろうか。

キャサリン・ヘプバーンのプロフィール↓


エリザベス・テイラーのプロフィール↓


モンゴメリー・クリフトのプロフィール↓


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする