田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『少年の町』『町の人気者』ミッキー・ルーニー出演作を2本

2019-03-14 07:14:24 | 1950年代小型パンフレット
『少年の町』(38)(1992.12.9.)



 フラナガン神父が非行少年や問題のある子供の寄宿と教育のために設立した「少年の町=Boys Town」の様子を実話を基に描く。

 善人で正直者ではあるが、ずるく計算高いところもあるという人間くさいフラナガン神父役を好演したスペンサー・トレイシーはもちろん、神父の親友役を演じたヘンリー・ハルのような脇役の生かし方がとてもうまいと感じた。

 先日見たウィリアム・ワイラーの『デッドエンド』(38)は、この映画と同年に作られ、デッドエンドキッズと呼ばれた実際の不良少年たちが出ていたが、彼らもフラナガン神父と出会っていれば…などと思ってしまった。

 この映画で、これまではルイス&マーティンの『底抜け』シリーズや、エルビス・プレスリーの主演映画の監督として認知していたノーマン・タウログの、本来の職人監督としての腕前を知ることもできたのだが、何と言っても圧巻は、名子役とうたわれたミッキー・ルーニーの存在感であった。

スペンサー・トレイシー


ミッキー・ルーニー


 
『町の人気者』(43)(1993.9.22.)



 いまだソフト化されていない、ウィリアム・サローヤンの『人間喜劇』を映画化した『町の人気者』を輸入盤のレーザーディスクで発見! この原作が書かれ、映画が撮られたのは第二次大戦真っただ中の1943年。これをアメリカの余裕と言ってしまうのは簡単だが、むしろ、そうした時代にあえて戦争がもたらす悲劇や不条理を描きながら、人生の悲しさと素晴らしさをうたった原作や映画が生まれたことの方をたたえたい気がする。

 『少年の町』(38)の名子役ミッキー・ルーニーが主人公のホーマーを演じている。兄のマーカスはバン・ジョンソン、姉のベスはドナ・リードで、ロバート・ミッチャムが兵士役でちらりと顔を出す。監督は『子鹿物語』(46)のクラレンス・ブラウンだから、子供の成長物語がうまいのは当然、と思いきや、原作者のサローヤンはこの映画が気に入らなかったという。うーん、いつの時代も原作と映画の間には深い隔たりがあるということか。

【今の一言】最晩年のルーニーは『ナイトミュージアム』シリーズで元気な姿を見せていた。
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『バブルビー』ヘイリー・スタインフェルドにインタビュー

2019-03-13 18:17:45 | 仕事いろいろ


 彼女が『トゥルー・グリット』(10)公開時に来日し、こちらが取材したのは東日本大震災の直前だった。あれから8年、彼女も22歳になったが、この映画では高校生を演じていた。思春期の少女の心情が素直に描かれ、演じながら開放感を得たという。

詳細はのちほど。



『バンブルビー』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/9c9d7e09cf5f44af31d57ebc5bd6d1cc



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『バンブルビー』トラビス・ナイト監督にインタビュー

2019-03-13 11:34:16 | 仕事いろいろ


 今回はシリーズの起源にさかのぼり、1980年代を舞台とした。

 「『トランスフォーマー』シリーズには、アクション面のベイとハート面のスピルバーグという2人の父親がいる。今回は、その両方を織り交ぜながら、そこに私のタッチを入れたいと考えた」とのこと。

詳細は後ほど。

『バンブルビー』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/9c9d7e09cf5f44af31d57ebc5bd6d1cc
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『ダニー・ケイの天国と地獄』

2019-03-13 06:10:41 | 1950年代小型パンフレット

『ダニー・ケイの天国と地獄』(45)(1991.12.29.)



 ギャングの秘密を知って殺された芸人で双子の兄が、幽霊になって気の弱い弟の前に現われる。ダニー・ケイが一人二役を演じたミュージカルコメディ。ゴールドウィンガールと呼ばれたバージニア・メイヨとベラ・エレンが華を添える。監督はH・ブルース・ハンバーストン。

 ダニー・ケイ、といっても、その出演映画の大半を目にすることができなかった自分にとっては、いわば“伝説の人”である。従って、この映画や『虹を掴む男』(47)を見るまでは、『ホワイト・クリスマス』(54)『5つの銅貨』(59)の印象しかなく、彼本来のコメディアンやボードビリアンとしての才能については無知であったわけだ。

 この映画でケイは、芸人の兄に成りすました弟を、幽霊が手助けするという設定を生かして、動物の鳴き声や、変なロシア人歌手のものまね、あるいはいんちきなオペラなど、多彩な芸を披露する。最近流行のハートウォームな幽霊もののルーツは、こうした映画にあるのだろう。とはいえ、半世紀近く前のこの映画を今見ると、日本とのコメディ文化の違いを知らされはするが、残念ながら、抜群に面白いとは言い難いものがあった。

【今の一言】『虹を掴んだ男―サミュエル・ゴールドウィン』によれば、製作者のゴールドウィンはケイの才能と芸を買って、随分と手助けしていようである。

ダニー・ケイ


バージニア・メイヨ

パンフレット(52・アメリカ映画宣伝社)の主な内容
解説/ゴールドウィン・ガールズ御紹介/ものがたり/すたあ・めも(ダニー・ケイバージニア・メイヨ)/この映画について

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『私は告白する』

2019-03-12 21:00:07 | 1950年代小型パンフレット
『私は告白する』(53)(1983.7.21.)



 ローガン神父(モンゴメリー・クリフト)は、教会で働く者から強盗殺人を犯したとの告解を聞く。その後、警部(カール・マルデン)はローガンに疑いを掛けるが、ローガンは戒律から告解を他言することができず…。

 キリスト教の社会ではない日本では、モンティ扮する神父が告解に悩む姿が理解し切れないといううらみは残るものの、ヒッチコック映画の中では上出来とは言えないものだろう。宗教に縛られてのサスペンスというのがヒッチコックらしくないし、ヒッチコック映画としてはなじみが薄いモンティとアン・バクスターがキャスティングされたことも、敗因の大きな原因だったのでないかと思われる。

モンゴメリー・クリフト


アン・バクスター


カール・マルデン

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『失われた週末』

2019-03-12 12:15:58 | 1950年代小型パンフレット
『失われた週末』(45)(1983.9.13.)



 今年は『フロント・ページ』(74)『あなただけ今晩は』(63)『悲愁』(78)と、改めてテレビでビリー・ワイルダー映画の魅力を知らされているのだが、この映画も、思わず「さすがはワイルダー!」と叫びたくなるような出来栄えだった。

 この映画のテーマは、恋人(ジェーン・ワイマン)に励まされ、断酒を誓ったアルコール中毒の男(レイ・ミランド)の週末の苦悩を描くというもの。ワイルダーは盟友チャールズ・ブラケットと共に巧みなシナリオワークを展開させ、暗く沈みがちなドラマにサスペンスにも似た緊張感を与えることに成功している。

 下戸の自分には身につまされる題材ではないが、酒好きの者が見たら、悪夢のような幻覚のシーンや、酒が切れて部屋中を荒らし回る主人公の姿に自分を見るような思いがして恐ろしくなったりするのだろうか。そんな主人公をミランドがいかにもそれらしく演じてアカデミー賞を受賞したが、実際の彼は大丈夫だったのか…などといらぬ心配をしてしまった。

 ところで、ワイルダーの映画を見るたびに、脇役の生かし方に感心させられるのだが、この映画も酒場のマスター(ハワード・ダ・シルバ)の描き方がとても粋で、後年の『あなただけ今晩は』の酒場のマスター(ルー・ジャコビ)と重なって見えた。



レイ・ミランド


ビリー・ワイルダー




ジェーン・ワイマン
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『靴みがき』

2019-03-12 06:13:19 | 1950年代小型パンフレット
『靴みがき』(46)(1983.6.19.)



 終戦直後のイタリアで、ネオリアリスモと呼ばれた映画群の中の一本。随分前に同じビットリオ・デ・シーカの『自転車泥棒』(48)を見た時にも知らされたことだが、戦争が終わっても、庶民には新たに生きていくための苦悩が始まり、中には犯罪に走ってしまう者も少なくない。そこには、同時代を描いた黒澤明の『酔いどれ天使』(48)『野良犬』(49)にも通じるやるせなさを感じさせられる。人間は何と悲しい生き物なのだろうと…。

 この映画に至っては、その悲しさの中心に子供たちがいる。大人が勝手に起こした戦争で、最も悲劇をこうむるのは何の罪もない子供たちであるに違いない。彼らは生き残るために仕方なく悪事に手を染める。しかも、それを先導したのも、彼らを刑務所に放り込んでしまうのもまた大人たちなのである。

 デ・シーカは子供たちの側に立って、戦争が及ぼす罪の大きさや、大人たちのずるさを描いているが、先に見たロベルト・ロッセリーニの『戦火のかなた』(46)と大きく違うのは、映画の端々にリリシズムが感じられるところだろう。また『自転車泥棒』の自転車同様、この映画では子供たちが愛する馬が効果的に使われている。ここにもデ・シーカの作劇のうまさがうかがえるのだ。



【今の一言】今見たら現実的な『靴みがき』はつら過ぎる。今はファンタジーとして描かれた『ミラノの奇蹟』(51)の方が好きになってしまった。
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『出獄』

2019-03-11 17:24:42 | 1950年代小型パンフレット
『出獄』(48)(1990.5.26.)



 無実の罪で投獄された男を救うために奔走する新聞記者(ジェームズ・スチュワート)の姿を描く。監督はヘンリー・ハサウェイ。

 第二次大戦後、アメリカがイタリアのネオリアリスモに影響されて作ったと思われるセミドキュメンタリー映画の一本。この時期のアメリカ映画はジュールス・ダッシンの『裸の町』(48)など、ロケーション中心で撮られた社会派物が数多く作られ、独特の明るさが失われていたのだが、それは終戦直後の暗い世相を反映したものだったのだろう。

 それにしても、この映画のラストの、証拠写真の引き伸ばしをめぐるサスペンスは、今ならファックスのボタンを一押しすれば数秒で済むものであり、悲しいかな、機械文明の発達が、古い映画を興醒めさせる原因になってしまうことに気づかされる。とは言え、この映画のスチュワートのように、アメリカの良心を嫌味なく体現できる俳優が今はいないのもまた確かである。

【今の一言】と、約30年前はファックスの出現に驚いていたのに、今はファックスはとうに時代遅れになり、パソコン、スマホの時代である。今の若者がこの映画を見たら、まるでギャグのようだと思ったりするのだろうか。

ジェームズ・スチュワート

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『サヨナラ』

2019-03-11 10:16:19 | 1950年代小型パンフレット
『サヨナラ』(57)(1991.10.4.)



 朝鮮戦争時の日本を舞台に、二組の米国軍人と日本人女性との恋を描く。監督はジョシュア・ローガン。

 製作当時は“国恥映画”などとも言われ、随分と酷評されたようだ。確かに、今見てもリカルド・モンタルバン演じる歌舞伎役者や、松竹歌劇団をモデルにした“マツバヤシ”の描写など、おかしなところは多々あるのだが、概ね好意的かつ真面目に日本を描いており、そこまで酷評しなくても…という感じがした。

 また、今となっては貴重な映像となった、当時のアメリカ人たちが興味と好奇心を持って見つめた“神秘の国・日本”の風景が映る。レッド・バトンズが住んだ日本家屋は、マンションや団地に変わり、路地で遊ぶ子供もいなくなった。大げさに言えば、この映画に映った日本は今とは別の国のようにも見えるのだ。

 ところで、若き日のマーロン・ブランドのふて腐れたような個性はこの映画には合わなかったような気もする。今回新たに発見したのは、ポール・ニューマンと似ている、ということだった。何でもニューマンはそのことで随分と悩んだらしいのだが。また、バトンズと共にアカデミー助演賞を受賞したナンシー梅木は、現在は消息不明とのこと。

【今の一言】その後、ナンシー梅木は2007年に亡くなったことが報じられた。

マーロン・ブランドのプロフィール↓


レッド・バトンズ、ナンシー梅木

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『鳥』

2019-03-11 06:11:49 | 1950年代小型パンフレット

『鳥』(63)

『SCREEN特編版 これぞ映画遺産!!次世代に残したい名作映画96』(2012.7.10.)から。

『外国映画女優名鑑』から

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