フェンネル氏の奇妙な生活

気付いた世界の中の小さな出来事と水彩画と時たま油絵と思いついたことを爺さんが一人語りいたします。

鯉のぼりと啄木

2012-05-15 09:31:02 | Weblog
鯉のぼりが空で泳いでるのを描くというのは意外とむつかしい。あれー変になったなぁと塗りながらブツブツ言っていたらナンの脈絡もなしに啄木の詩画浮かんできた。ローカル線の停車場に降り立ったナンの用事もない手持ちぶたさの啄木が駅舎をでると駅前の家の屋根の上に鯉のぼりが泳いでいるんだ。


それを眺める啄木の後姿に詩のフレーズが被さっていく
   「なんとなく汽車に乗りたく思ひしのみ
               汽車を下りしに ゆくところなし」

行く当てのない啄木と一日中空を泳ぐしかない鯉のぼりとの心情がオーバーラップした。実際は違うだろうけど鯉のぼりを描いていてふと炊く僕の世界に紛れ込んだ気がしたから。
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