
今年初めてプランタンに植えたと主人はブログに書いている。何人目の兄弟になるのか知れないが私は2週間あまり前に生まれたキュウリ。主人は朝夕の2回、渇きを癒せとタップリ散水してくれる。そして必ず「大きくなれよ」と脅迫する。
早く生まれた兄弟たちは主人夫婦には余るほどの成果を与えたと申し送りが残っている。今朝も「ちょうど食べごろ」と弟1本が収穫された。そして「お前はどうしたんだ」といつものように声をかけられた。
主人は私のことを姿に合わせて「まが玉キュウリ」と名付けた。喜んでいいのかどうか迷っている。曲がって横幅が5センチくらいから成長が止まった。他の兄弟はそれなりの姿に伸びているのに私はそうなれない。その訳は最近分かった。
他の兄弟たちと同じように伸び始めた時、先端がゆらゆらする何かに触れた。小さいながら力いっぱい一生懸命にぶら下がっていたのが少し楽になった。それは大きな葉が寝床のように支えてくれたのだ。
身丈は伸び胴回りも太るにつれ、兄弟の重そうにぶら下がる姿を気にしながらも、ゆらゆらする寝床の楽な住み方になれた。気がつくとまが玉のような姿になり成長が止まり、しばらく経つ。
食卓に乗れるかどうかは「どうしんかね」と眺めてくれる奥さんしだいと思うが、まだ収穫されないでいる。主人にブログネタを提供できた、そう思えば少しは気が楽になる。少しうとうとすると葉っぱの寝床はゆっくりと揺れる。
(写真:まが玉キュウリと葉っぱの寝床)