
空き家の増加が地域でいろいろと論じられている。有効活用して新しい家庭を迎え入れ過疎化に歯止めをかけた事例などを読むと、よかった、と皆さんのご苦労に頭が下がる。一方で、山間部の幹線道路を一歩入ると廃屋化した民家は珍しくない。人口減少から過疎化、その昔は生活できた地が壊れていく、それも加速的にと聞く。
最近まで道路に面した2戸の2階建て民家の屋根が一部崩れ落ち、黄色のコーンで注意を促していた。散歩で通るところだが、その下は避けていた。最近解体されほっとしているが、他にも散歩途中には似たような空き家は見かける。解体された跡地に手押しポンプだけが健気にふるまい見張りをしている光景に古を忍ばせる。
警備会社の標識が門扉に貼られて2、3年くらいの家がある。築からそれほど経っていないと思うが、窓などは閉め切られている。それでも庭木が剪定されているので、リモート管理はされているのだろう。そんな住人のいない門扉の内側に「ツワブキ」が咲いている。季節が来れば咲くといえばそれまでだが、なんとなく殊勝というか気建てというか、見慣れた花だが住人の帰りを待っているように思える。
半世紀以上も前の古い話。我が家も1年くらい借り主が見つかるまで空き家にしたことがある。掃除や風通しをするため何度か通った。転勤族という公務員の奥さんから「綺麗に掃除がされている」というひと声に初めての貸し主としてほっとした。家賃は雑所得として申告不要の金額に設定していたら税務署の調査を受けた。