「きょう、数学の答案を返していただきました。予想していたのよりよい点がついており六十点です。おかしなと思って調べてみると、一つ、まちがいが正答になっています。私は黙っていようかと思いました。だって先生にそれを言えば、六十点でもよい点でないのに、この点から二十点も引かれてしまいます。それは、わたしにとってほんとうにつらいことです。でも、わたしは、思いきって先生に申し出ました。
先生はこれでよいのだと強くおっしゃていましたが、私が精しく説明すると、ほんとだね、といって四十点と訂正してくださいました。そして『正直だね』とおっしゃいました。わたしは、パッと顔の赤くなるのを感じました。だって、わたしは、ずいぶんこのまま黙っていようかと考えたんですもの。でも、ちょっとのことで、二十点どころではない汚点を、わたしの人生に付けてしまうところでした。お父さま、お母さまのおかげで、まちがいを犯さないですみました。お父さま、お母さま、きっと喜んでくださることと思います」。
これは昨年の暮れころ手にした小冊子に載っていた寄宿舎住いの女子高校生が両親にあてた手紙です。受け取った両親の「百点をとってくれたよりも嬉しい」という感想が添えられている。寄宿舎の表現などからかなり前の手紙と思われる。
手紙の内容から、親の生活の姿が読みとれ、女子高生は素直にそれを受け取り正直に正しく生きることを悟っている。最近の痛ましい世相、赤絨毯からの分かりづらい弁解を聞かされるとき、正直に自分の荷は自分で背負う重要さをかみしめる。月並みだが今年も残すとこ2カ月、どう過ごしてきただろうか。渋柿の皮をむき天日に干せば甘い吊るし柿に変わった。何に影響を受けるかで中身は変わる。心しなければ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます