広島県上下町にある翁座の舞台裏でむき出しのヒューズを見たとき、思わず「ヒューズが飛んだ」と大騒ぎした和30年以前を思い出し懐かしかった。ヒューズが飛ぶと玄関上の鴨居に取り付けた電源の蓋を開き、父がそれを取り替える。今ほど電気に頼らないのどかな時代のはなしだ。
正確には過電流が流れたときヒューズが溶けて電気回路を遮断するので切れると呼ぶのだろうが「ヒューズが飛んだ」といった。その瞬間を見た人は「一瞬火花が飛び散る」と話してくれたことを記憶していた。
翁座の配電盤には電気の使用先が木の板に墨書きされている。電源、扇風器、客席天井、楽屋、舞台(前五灯・中三灯・後二灯)、舞台端、音楽室、舞台前五灯、舞台中三灯、舞台後二灯、1枚は消えたのか判読できない。
今は使っていないが記念に残されているそうだ。それぞれの配線をたどってみると素人でもそのつながりが読める。いい教材が残されている。
今は過電流が起きてもヒューズが切れたとか飛んだとか騒がない。ブレーカーのスイッチをカチカチとすれば復電する。安全で便利になった。舞台裏の暗い壁に取り付けられた配電盤、便利さに慣れすぎた今をどんなに思っているだろうか。
(写真:懐かしいヒューズむき出しの配電盤)
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古い古い芝居小屋、その名も「翁座」
その歴史を物語るむき出しの配電盤、見る価値のあるものでしたね。
ヒューズ、今の若い人には理解できないのではと思いながら書きました。
町屋一軒ごとに長い歴史があるのでしょうが、散策するにはいい町ですが維持していくのは大変だろう、改めて思い直しています。
どこにあったか?、舞台下手の奈落の入口のすぐ上です。