日々のことを徒然に

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アサガオ

2024年12月05日 | エッセイサロン
2024年12月5日 中国新聞セレクト「ひといき」掲載
(最後の一輪)

 師走になった。暑かった今夏を振り返る。こだま欄に掲載された「飛べないセミ」をみとったり、熱中症のスズメを救助したりと不思議な初経験をした。アサガオもそんな中の一つである。
 7月の終わりだった。猛暑で焼けるような庭土を押し破ってアサガオの双葉がのぞいた。昨年のこぼれ種が芽を出した。そう思うと、その生命力とど根性に引かれ「よし育てよう」と小さな根を切らないよう丁寧に採取し畑に移した。
 「この暑さで本当に育つだろうか」と心配をした。だが少しずつ、つるが伸び始めた。これなら暑さに勝てそうだと支柱を建てた。つるが支柱を上り始める。その姿がいじらしい。
 1ヵ月ほど過ぎたころ、花が咲き始めた。純白の1輪だ。その清楚な姿と猛暑に耐えた強靭さに私たち夫婦は喜び、さらなる開花に期待した。
 それからは毎朝3から5輪、多い時は10輪以上が咲いた。「今朝は何輪か」。子どもに戻ったような確認作業が、その日の元気を呼ぶスタートになり、朝夕の水やりも気合が入った。
 11月に別れが来た。「元気と楽しみをもらった、本当にありがとう」。そう感謝し、来年も咲かせようと採種した。暑い夏のいい思い出になった。

(今日の575) 純白に咲くのか黒いこの種が
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