イスラム主義勢力の支配広がる―Jowhar確保

　ソマリアのイスラム主義勢力は先ごろからBakool県Wajid 市を支配下におさめておりますが，このたびBay県Qansah-Dheere（県都Baidoaから100km）に無抵抗で入城，その他Middle Shabelle県都Jowharを支配下におさめた由：

Garowe Online Somalia: Islamist militias capture two towns Apr 27, 2008

　Jowhar奪取は最近で3度目。暫定政府側統治者は先日のイスラム主義勢力入城前に脱出して以後戻らず。

　重要な点は，Jowhar在のイスラム勢力はSheikh Yusuf Turhume―2006年のイスラム法廷政権下での当地の支配者―を含み，自派による支配を宣言したことです。犯罪には厳しく対処し，市中の安寧確保のための部隊を編成すると。

　イスラム主義勢力の公式報道担当Abdirahim Isse Addowは，Middle Shabelle県をイスラム法に基き治めるための政府を作ると公言。

　なお暫定政府は首都モガディシュの確保にリソースを注ぎ込んでいる由。


　遂にアル・シャバブが流賊生活に区切りをつけ，根拠地作りに本格着手したわけです。政治部門の弱さは，結局，経験ある人材を用意することで一応の解決をみた―ということになりますか。

　今の時期に動くのは…5月10日（ARS，暫定政府の交渉の日）に向けて，イスラム勢力側が一定の結果を求めた，ということかもしれません。地元の協力を得つつ，大過なく治めることが出来れば上々です。

　地元の協力，というのは，つまり，現地の支族会議やイスラム法学者たち，ということですが。所謂国家組織が崩壊してしまっていたソマリアで，実際の自治は彼らに拠っていた/拠っているというべきでしょう（この点はプントランドの事情を見るとよく理解できるかと）―その上に何が乗るかは，そのときの事情によって異なる。

　大過なく，大過なく治めて欲しいところです。