空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

アムネスティ報告:ソマリアのあらゆる勢力に暴力停止を

2008-05-07 22:38:52 | ソマリア関連
 アムネスティはあらゆる武装勢力(とりわけエチオピア軍)による民間人への攻撃を非難する:

Amnesty Somalia: Troops killing people 'like goats' by slitting throats-new Amnesty report Posted: 06 May 2008

 アムネスティのアフリカ問題副長Michelle Kagari氏のコメントは斜体字で記載。この部分では「民間人に対する,あらゆる勢力による攻撃は即座に停止されねばならないAttacks on civilians by all parties must stop immediately」とまとめ。でもその具体的事例は,エチオピア軍による残虐行為だけだという。

 17歳の女の子がgangrapeされて,それを止めようとした13歳・14歳の二人の弟が兵隊に殴られ目を抉られた。女の子は昏睡状態,男の子たちについて以後不明。

 15歳の女の子が家に戻ってみるとお父さんの頸がかき切られていた。エチオピア軍の捜索のあとのこと。

 ちょっと炭を足しにと外に出たところ,後ろで爆音。なんと砲弾が家に直撃,家族全滅。

 新婚さんが旦那さんいない間に20名のエチオピア兵にっ!

 …とまあエチオピア兵の残虐行為が目にあまるものだというのは事実そうでしょうし報告されてる事例はほぼエチオピア兵の犯罪行為だけだからって,この纏め方は些かどうでしょうAFPBB news エチオピア軍によるソマリア人への「処刑」が横行、アムネスティ報告書 2008年05月07日 09:33「国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は6日、暫定政府支援のためソマリアに駐留するエチオピア軍が、ソマリアの一般市民を「のどをかき切って」処刑する事例が増えているとの報告書を発表した」…もし冒頭にリンク張った記事がそれに当たるなら,ちょーっとざっくりしすぎた纏めの感。いや確かに反政府武装勢力側の犯罪行為については書いてないけども。

なおBBCは:Somalia forces 'out of control' 6 May 2008

 …あらゆる武装勢力がuncontrollableだという表現ではある。一応,エチオピア側の(言うだけならただっぽい)言い分も書いてあります:

「我々は,我等が兵員は世界で最も訓練の行き届いた兵であると繰り返し語ってきた」と外務省スポークスマンWahide Belaye氏は言う。「我々はソマリアで誰の頸をも切りはしなかったし,如何なる女性をもgangrapeはしなかったし,決して意図的に市民を銃撃などしなかった」。

 …そりゃ「うちの兵隊はどーしよーもなくて」という国があったら見てみたいものだが。
 どっち道,アムネスティとエチオピアは相性が悪いようですので,主張が平行線になるのは仕方がないことです。
 但し,個人的意見を述べれば,上で報告されるエチオピア軍の残虐行為とは,概ね戦争が起これば当然起こるだろう残念な事象の範囲にあります―咽喉きりは越えてると思いますが―。寧ろ戦争につきものの,戦争が当然のように内に含む悪です。

 といって,これはエチオピア軍の免罪には一切なりませんが。

 エチオピア軍を,唯一つ称賛するとするなら,彼らにとって疑いなく不利な情報を持ってゆくだろう人々の活動を阻止まではしなかった(少なくともオガデン地方でのようには),という点でしょうか。

 さて今一度Michelle Kagari氏のコメントを挙げておきましょう,「民間人に対する,あらゆる勢力による攻撃は即座に停止されねばならないAttacks on civilians by all parties must stop immediately」。行間を読めないひとは,新聞を読むのに向いてないと思います。

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