空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

フェミニスト・アンチフェミニスト間の闘争は男女間闘争に展開するか

2019-11-07 11:14:01 | ノート
 twitterアイランドの一部で「フェミニスト・アンチフェミニスト間の闘争は女性・男性間の闘争に展開を』と言っていたりするが



 まあそうはならんだろうなとは思われる。

 この社会は、ざっくり男性・女性の二勢力から成っているとしておこう。ところが男性陣・女性陣ともに、それぞれ均質ではない。例えば収入の高低によって分化するだろう。さて収入の高低は概ね学歴の高低と並行関係にあるものと仮定できる。ならばー

高学歴高収入男性・高学歴高収入女性
低学歴低収入男性・低学歴低収入女性

 という四つにグループ分けできる。ついでながらここで「低学歴低収入」とむっちゃざっくり書いたなかには、大卒保育園教諭とかもはいっている。大卒と言う高学歴ながら、比較的低収入に押さえ込まれているという点で。だからうえの四分割は、単にラベルに過ぎないものだ。

 さて。

 ここでフェミニストは、ジェンダー学を修めたと称し、世界の思想の動向に詳しいという主張(属性)から「高学歴高収入女性」に属すると想定できる。

 この「高学歴高収入女性」の一部、フェミニストは、女性は全般的に男性によって収奪されていると主張し、男性側に不当に獲得した富を吐き出せと要求する。

 この際「高学歴高収入男性」はこうした要請に答えて「男女平等」を実現しようとするだろう。「多少譲る」くらいの資源の持ち合わせはあるのだ。あと高学歴高収入女子って自分のパートナー候補でもあるし。「女性に理解のある男性」像は一般にいい印象をもたれるものと思しいし。

 ところが「低学歴低収入男性」には、もはや「多少譲る」だけの余地がたりない。ないわけでは、かならずしもない。だが、ここ最近の二極分化傾向のなか、せめてもの男性特権とやらで得られた限りの財は乏しいものと思しい。

 ここで彼らはフェミニズムに対する抗議・抵抗運動を決意せざるを得なくなるだろう。フェミとアンチフェミの闘争が始まるであろうーということになる。

 さて、ここで低学歴低収入女性の動向はどういうものになるのか?
 …と、ここでフェミニズム運動の限界が露呈する。

 高級知識人による知的闘争として展開され、高給ポストを高給男性から奪い取り、象徴的に「女性全体の勝利」を謳いあげてみても、それは高級知識人女性の個人的な勝利の属性が強い。
端的には、それによってはスーパーの主婦パートの時給は上がらない。

 これをやや批判的に取りまとめれば、「高級知識人女性が『女性全体の運動』を標榜し、普通一般の女性陣を私的に代表して男性から資源を奪取し、我が物とした」と評価できる。一般の女性たちの主権を簒奪したとさえいえる。

 さらには、高給取りの女性たちの相当部分は、高給取りの男性と結婚して二馬力の裕福な生活をしているものと思しい。ならば一部フェミニストを称する勢力の『男たちからポストを奪え!』という声に従う場合、我が夫の職が失われかねないことを意味する。

 この場合、フェミニズム運動家と共稼ぎ裕福夫婦の妻側とは、階級的利害が対立する…ということになる。共闘できない。

 ならば④被収奪階級としての低学歴低収入男性グループから収奪したいところだが、前述の通り、この層の余裕はほぼ失われてしまったのが現状と思しい。これでは「男性をしばきあげる」タイプのフェミニズムは詰んでしまう。

 他方の方向は明るい。
 献血についていえば、さしあたり自分好みのアニメ・コミックがコラボしてればクリアファイルが貰えるし、それはコレクションしてもいいし仲間同士譲り合ってもいい。さらに献血回数を重ねれば、聖杯が貰えたりするし、最上位ランクに至れば皇族召喚魔法まで行使できるらしい。

 そして献血は、一回ごとに誰かの生命維持に寄与するという、全人類的正義に適いもしている。より高位の普遍的正義に奉仕するのは喜びだろう。献血されれば、出産からなにから手術はより安全性を増す。この点、大変社会性がある行為でもあって、社会の連帯をふかめるだろう。

 で。
 高学歴女性の一部をなすフェミニストは、こうした社会的連帯をわざわざ断絶せしめんと暗躍し、己の利害得失に適合した形で資源の差出をせよと、全女性の名の下に一部男性層に命じているわけなんですが。

「貴方頭大丈夫ですか?」@しのぶさん
 というのが正直なところなんですが。

「全ての女性」の名の下に行動するなら、他ならぬ「全ての女性」に利が行き渡るよう、利害調整はできるだけ試みましょうねーという話なんですが、一部キモオタを気分よくしばきあげることで、どーゆー利得を誰に分配するつもりなのか、かなり疑問なのです。「キモオタをしばきあげる快楽」は、全女性を統合する可能性に満ちた素晴らしい選択肢であると、そう思えますか。そうまで「キモオタ」を他者化できますか。

 以下関連する過去のメモの抜書き。

関連:「「男社会の底辺」たる弱者男性は二重の排除におかれている(2018-10-13)」

これは、それはそれでそれなりに正しい:「どんな男性であれ、男の子はみな男性特権を持っている」。

 但し同時に、そんな(ある種の)男性を「悪者扱いし、」(ある種の)男「性の運動を簒奪し、無効化し、」(ある種の)男「性たちを黙らせる」ことが行われている、という感覚はある。男性を一様化しすぎているのだ


「男性特権」、男性の言葉が女性の言葉より説得力あるものとみなされることで女たちを黙らせることが可能になる傾向にあることは認めて構わないことだろうが、それを認めることは負け組男性の発言を単に否定することとイコールにはならないぞ、くらいの単純な理屈は認識してもらいたいところ。

関連:「社会的に比較級的弱者である者たちの怨嗟の声が(2018-12-26)」

稼ぎの悪い男はそもそも(結婚対象としての)男ではない、しかし(高給の職について、本来能力的にはそのポストに就くべきであったが男女差別のために就けなかった)女性を抑圧する男性の一員として、社会的階層としての女性への資源譲り渡しへの協力を求められる。が、もはや低給に抑えられすぎて、ひりだすものもろくにありはしない―

社会運動家たちの一部は、どうもこうした多数存在する哀れな、しかし基本的にはキモイおっさんどもを見ることがないらしく―なにしろキレーでピカピカした都会のキャンパスで高級な本をお読みあそばしているんだろう、という恨み言が出てくるレベルでお空の上で―

関連:「「キモくて金のないおじさん」の位置づけとか(「キモくて金のないおじさん」の位置づけとか)」

どうせ専門ではないので理論構築は雑だが、「二重の排除」は、超強力な一部マイノリティ集団によって形成されるエグイ二重差別であり、まあわりとどこでも発生するということ

「売春させられているかわいそうな女の子を救済しろ!」には全く異論も問題もないんですが、「だからそんな欲望を喚起しそうなエロ漫画を処分しろ! そんなの愛してるキモい連中は犯罪者予備軍だ!」ということでしばかれるキモくて金のないおじさんたちは、女の子を買うお金がないのに、どうやって売買春市場に乗り出すんですか?という。

 売買春市場に打って出るような元文部次官さんのようなお金持ちおじさんたちから女の子を守るためにキモくて金のないおじさんを犯罪者予備軍としてシバく遊びは、かわいそうな女の子を救済する役に立ってますか?というお話なのです。
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