CNN Japan スーチー氏、国連総会の出席を中止 国内情勢を理由に 2017.09.13 Wed posted at 19:30 JST
CNN Japanの見出しはスーチー氏に対して同情的と評することもできる。だが「国内情勢を理由」というのはその通りだし,記事末尾に「国連安全保障理事会はスウェーデンと英国の要請を受け、13日にロヒンギャ問題を協議する緊急会合を開く」とあり,ほどよく批判的とも読める。
思うに,これが”事実を報じよ”という世間の声にこたえる一手法だろう。必要だろう項目を適宜並べて,ほどよく中立的に読める…のではないか。
BBC Myanmar's Aung San Suu Kyi to miss UN General Assembly debate 13 September 2017
「Myanmar's de facto leader Aung San Suu Kyi is to miss next week's UN General Assembly debate as criticism of her handling of the Rohingya crisis grows」
BBCは記事タイトルはともかく,記事に入って一発目がこれである。
「Some 370,000 Rohingya Muslims have fled Rakhine state for Bangladesh since the outbreak of violence last month. Whole villages have been burned down」
二発目がこれである。超典型的な民族浄化の姿であり(「The government has been accused by the UN of ethnic cleansing」),なんというかね,わたし,この一年でミャンマー情勢は相当悪化するようにさえ思う。
…最近はBBCのような”うるさい”メディアを避け,被害地(のうち,公開してもまだしも問題を局限化できそうなところ)をチラ見せすることもどうも控え気味っぽい(参考記事メモ:BBC Rohingya crisis: Seeing through the official story in Myanmar 11 September 2017, By Jonathan Head)。
なおBBCは,ミャンマーを悪く言いたい気分の時は「They have lived in Myanmar, also known as Burma, for generations but are denied citizenship」と(びみょーに嫌味臭く)also known as Burmaと入れるようで。ここにもイヤゲな雰囲気が漂う。
「Fellow Nobel laureates, including the Dalai Lama, Archbishop Desmond Tutu and Malala Yousafzai, have called on Ms Suu Kyi to stop the violence」
…ノーベル平和賞は,まあいろんな政治的な理由があって出されるものでもあり…。受賞者がうっかり最高権力者になってしまって…という場合,困難がでるでしょうねえ…。
「The latest wave of Rohingya fleeing their homes began on 25 August, following attacks by Rohingya militants on police and military posts」
なので,もはや20日ほど騒乱が続いているわけである。
「Those who have fled say Myanmar troops responded to the attacks with a brutal campaign of violence and village burnings aimed at driving them out」
…教科書の見本のような民族浄化。いや,特に最近は強姦の影がかなり薄い。”より正しいタネで孕ませてやる”という,あそことかあそことかで試みられたアレなあれが,かなり影が薄く,最近のラカインでは”不要な・いるはずのない違法入国者どもを早急に片付ける”という,統一的意志で「清掃」されているとさえ思えそう。
なにしろ,たかが20日たらずで40万人ほど難民を発生させたというのだ:
「While the current crisis has seen nearly 400,000 Rohingya flee, the UN says Bangladesh was already hosting several hundred thousand undocumented Rohingya who had fled earlier violence」
以前からの分を考えれば,もうこれは十二分に内戦レベル。というかあのダダーブの収容人数の半数以上を20日で発生させたのか,これ。
「There is little public sympathy for them and inside Rakhine state the Rakhine Buddhists are even more hostile」
ばっちり,little public sympathyとありますからねー。実際,そうでしょうしねー…(※現地事情に通じてないのではっきりとはいえない)。数十年の間,しばしば武装闘争しつつの間柄ですし。
「And the powerful armed forces commander Gen Min Aung Hlaing has made it clear he has little sympathy for the Rohingya」
いやそんなにlittle sympathyをくりかえさんでも…。
「The military sees itself now as fighting an externally funded terrorist movement, a view shared by much of the Myanmar public」
困ったことに,最近,同時多発攻撃を可能にしたのは,外国で訓練を受けた指導者のお陰であろうと信じ得るわけであり。装備がしょぼすぎたので,外国からのカネはあまり入ってなさそうなんだが,まあひとを集めるにもカネがいるわけでもあり。
で,さらに困ったことに,シリア・イラク方面でIslamic State集団が死にかけてるおかげで,余ったカネの行き先が…と心配されるだろうところでもあり。
「 Human Rights Watch describes the Rohingya as one of the largest stateless populations in the world」
こないだまで,その地位はクルドにあったかなーと思うと多少の感慨が。
…まあ,それはそれとして,”だからといって,延々民族国家とやらを認めてたらキリがないだろ”というのも正論ではある。
…あえて私にわかり易い例を考えれば,いまのミャンマーは『ソマリ族を国民と認めないケニア』みたいなものだろうか。そして,ダダーブごとソマリ族を強制排除しようとしている―というように。うん,この喩えでもやっぱり,この行為は悪だ(そして現実のケニアは己の責任と国家形成の試みとを放棄していないな)。
そして,ミャンマーは国家統合をするに際して,ロヒンギャを放棄したんだ。
…あー…うん…。
他に:
空野雑報 Rakhine騒擾:難民はバングラデシュへ 2017-08-28
空野雑報 BBC 「ミャンマーのロヒンジャ:真実と嘘とアウンサンスーチー」 2017-01-28
追加:
BBC Myanmar denounces UN's 'ethnic cleansing' suggestion 12 September 2017
「She said her country would offer Rohingyas shelter until Myanmar took them back」
つまり自国民とは認めないと。だが
「Bangladesh says their presence strains local resources, increases crime and deters tourists in the Cox's Bazar area」
このような困難な中で宣言するのだ,この点,バングラデシュは当然の賞賛をうけるべきだ。
BBC Rohingya crisis: Civilians 'maimed by landmines' 12 September 2017
「The area was mined in the 1990s but Bangladeshi sources say Myanmar's army recently planted new mines - an allegation denied by Myanmar officials」
とはいえ
「The hospital visited by the BBC has seen an influx of people with landmine injuries, doctors say」
…ンな昔のがそんなにぽんぽん発火するかよ,という問題もあり。
なお,この大事件自体はミャンマー政府が言うように,基本的に対テロ作戦の付随被害であるのだとしても「On Sunday, police fired rubber bullets to break up a mob attacking the home of a Muslim butcher in Magway region in central Myanmar」一般的な敵意がひろく国中に広まっているようで,まあ本気でもう,無理かないろいろ,という気も。まあMagwayの事件の場合,警察が暴動鎮圧にまわったという,真っ当な話ととることも可能ではあるんですが。
CNN Japanの見出しはスーチー氏に対して同情的と評することもできる。だが「国内情勢を理由」というのはその通りだし,記事末尾に「国連安全保障理事会はスウェーデンと英国の要請を受け、13日にロヒンギャ問題を協議する緊急会合を開く」とあり,ほどよく批判的とも読める。
思うに,これが”事実を報じよ”という世間の声にこたえる一手法だろう。必要だろう項目を適宜並べて,ほどよく中立的に読める…のではないか。
BBC Myanmar's Aung San Suu Kyi to miss UN General Assembly debate 13 September 2017
「Myanmar's de facto leader Aung San Suu Kyi is to miss next week's UN General Assembly debate as criticism of her handling of the Rohingya crisis grows」
BBCは記事タイトルはともかく,記事に入って一発目がこれである。
「Some 370,000 Rohingya Muslims have fled Rakhine state for Bangladesh since the outbreak of violence last month. Whole villages have been burned down」
二発目がこれである。超典型的な民族浄化の姿であり(「The government has been accused by the UN of ethnic cleansing」),なんというかね,わたし,この一年でミャンマー情勢は相当悪化するようにさえ思う。
…最近はBBCのような”うるさい”メディアを避け,被害地(のうち,公開してもまだしも問題を局限化できそうなところ)をチラ見せすることもどうも控え気味っぽい(参考記事メモ:BBC Rohingya crisis: Seeing through the official story in Myanmar 11 September 2017, By Jonathan Head)。
なおBBCは,ミャンマーを悪く言いたい気分の時は「They have lived in Myanmar, also known as Burma, for generations but are denied citizenship」と(びみょーに嫌味臭く)also known as Burmaと入れるようで。ここにもイヤゲな雰囲気が漂う。
「Fellow Nobel laureates, including the Dalai Lama, Archbishop Desmond Tutu and Malala Yousafzai, have called on Ms Suu Kyi to stop the violence」
…ノーベル平和賞は,まあいろんな政治的な理由があって出されるものでもあり…。受賞者がうっかり最高権力者になってしまって…という場合,困難がでるでしょうねえ…。
「The latest wave of Rohingya fleeing their homes began on 25 August, following attacks by Rohingya militants on police and military posts」
なので,もはや20日ほど騒乱が続いているわけである。
「Those who have fled say Myanmar troops responded to the attacks with a brutal campaign of violence and village burnings aimed at driving them out」
…教科書の見本のような民族浄化。いや,特に最近は強姦の影がかなり薄い。”より正しいタネで孕ませてやる”という,あそことかあそことかで試みられたアレなあれが,かなり影が薄く,最近のラカインでは”不要な・いるはずのない違法入国者どもを早急に片付ける”という,統一的意志で「清掃」されているとさえ思えそう。
なにしろ,たかが20日たらずで40万人ほど難民を発生させたというのだ:
「While the current crisis has seen nearly 400,000 Rohingya flee, the UN says Bangladesh was already hosting several hundred thousand undocumented Rohingya who had fled earlier violence」
以前からの分を考えれば,もうこれは十二分に内戦レベル。というかあのダダーブの収容人数の半数以上を20日で発生させたのか,これ。
「There is little public sympathy for them and inside Rakhine state the Rakhine Buddhists are even more hostile」
ばっちり,little public sympathyとありますからねー。実際,そうでしょうしねー…(※現地事情に通じてないのではっきりとはいえない)。数十年の間,しばしば武装闘争しつつの間柄ですし。
「And the powerful armed forces commander Gen Min Aung Hlaing has made it clear he has little sympathy for the Rohingya」
いやそんなにlittle sympathyをくりかえさんでも…。
「The military sees itself now as fighting an externally funded terrorist movement, a view shared by much of the Myanmar public」
困ったことに,最近,同時多発攻撃を可能にしたのは,外国で訓練を受けた指導者のお陰であろうと信じ得るわけであり。装備がしょぼすぎたので,外国からのカネはあまり入ってなさそうなんだが,まあひとを集めるにもカネがいるわけでもあり。
で,さらに困ったことに,シリア・イラク方面でIslamic State集団が死にかけてるおかげで,余ったカネの行き先が…と心配されるだろうところでもあり。
「 Human Rights Watch describes the Rohingya as one of the largest stateless populations in the world」
こないだまで,その地位はクルドにあったかなーと思うと多少の感慨が。
…まあ,それはそれとして,”だからといって,延々民族国家とやらを認めてたらキリがないだろ”というのも正論ではある。
…あえて私にわかり易い例を考えれば,いまのミャンマーは『ソマリ族を国民と認めないケニア』みたいなものだろうか。そして,ダダーブごとソマリ族を強制排除しようとしている―というように。うん,この喩えでもやっぱり,この行為は悪だ(そして現実のケニアは己の責任と国家形成の試みとを放棄していないな)。
そして,ミャンマーは国家統合をするに際して,ロヒンギャを放棄したんだ。
…あー…うん…。
他に:
空野雑報 Rakhine騒擾:難民はバングラデシュへ 2017-08-28
空野雑報 BBC 「ミャンマーのロヒンジャ:真実と嘘とアウンサンスーチー」 2017-01-28
追加:
BBC Myanmar denounces UN's 'ethnic cleansing' suggestion 12 September 2017
「She said her country would offer Rohingyas shelter until Myanmar took them back」
つまり自国民とは認めないと。だが
「Bangladesh says their presence strains local resources, increases crime and deters tourists in the Cox's Bazar area」
このような困難な中で宣言するのだ,この点,バングラデシュは当然の賞賛をうけるべきだ。
BBC Rohingya crisis: Civilians 'maimed by landmines' 12 September 2017
「The area was mined in the 1990s but Bangladeshi sources say Myanmar's army recently planted new mines - an allegation denied by Myanmar officials」
とはいえ
「The hospital visited by the BBC has seen an influx of people with landmine injuries, doctors say」
…ンな昔のがそんなにぽんぽん発火するかよ,という問題もあり。
なお,この大事件自体はミャンマー政府が言うように,基本的に対テロ作戦の付随被害であるのだとしても「On Sunday, police fired rubber bullets to break up a mob attacking the home of a Muslim butcher in Magway region in central Myanmar」一般的な敵意がひろく国中に広まっているようで,まあ本気でもう,無理かないろいろ,という気も。まあMagwayの事件の場合,警察が暴動鎮圧にまわったという,真っ当な話ととることも可能ではあるんですが。
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