空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

そこらの店を襲撃して商品を略奪するのは、どのようにシステムの改善に資するのか

2020-08-01 14:04:34 | ノート
NewsWeek 日本版 抗議デモに参加した17歳息子の足元に新品の靴 略奪に加わった可能性が... 2020年07月31日(金)16時30分

15歳と17 歳の息子が人種差別抗議デモに参加しました。ところがデモが暴動に発展したと連絡があり、私と妻は車で2人を迎えに行きました。

今日になって、妻と私は上の子が高価な新品の靴を履いていることに気付きました。息子はネットで買ったと言うのですが、その手の靴を扱っていた靴店が略奪に遭ったとのニュースが報じられており、私たちは息子が盗みに加わったのではないかと疑っています。

妻は本人を問い詰めて真実を語らせ、靴はどこかに寄付しようと言います。私は店に行って靴を返すのが筋だと思いますが


 ご夫婦は大変真っ当。
 単に本当に購入しただけだという可能性はあるが(何しろ、ちょっと良い目のお宅のようだ)、略奪で得たものだと仮定して話を進めよう。

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今回の暴動は、黒人が「システム」に従って「善良な市民」たらんと努めたところで自由が保障されるとは限らず、孫の世代に今よりも公平な世界を残せるわけでもないという現状に端を発しています

 なのでシステムを改善すべく、何らかのアクションが求められるところ、とりあえずそこらの店を襲撃して略奪してみるのはどのようにシステムの改善に資するのかと問われるだろう。

「今まで不当に取り扱われてきた分の保障としての利得」という説明が為されることだろうが―

この国の人種差別の歴史によって息子さんは、靴では埋め合わせできないくらいの重荷を背負わされている

 うん、その利得はあっていい可能性があるが、略奪に参加していない人には保障しなくていいわけ? もしかして「南部の農村地帯で日々偏見にさらされながら小農家やってる黒人」には、「リベラルな人たちがたくさん住んでいていちいち差別を補正してもらえる都市」住民より割り当てが多くて然るべきかもしれないが、その辺はどう補正するんだろう? そんな風に問われるのじゃないかな。

もしあなたや息子さんが警官に殺されたとしても、まともな責任追及が行われることなど期待できません」、警察不信もだいぶ深まったものだなあと。

そんな警察に、たかが靴を1足盗んだくらいのことで息子を出頭させようという黒人の父親がいるとは驚きです」ステップファーザーとかいう可能性もあろうが。

私はデモに参加した息子さんたちを誇りに思います」というのは尤もなことで、不正の訂正に立ち上がったことは誇りに思うべきだ。他方で略奪したなら、それは略奪―窃盗・強盗、盗賊団の振る舞いであって、それはそれで犯罪として非難すべきだろう。

 以上の話に関わらず、『いや、歴代虐げられてきた黒人には、任意の時に任意の場所で『正当な利得』を得るべく行動してよいのだ』という主張はあり得る。この「ジャミラ・ルミュー(文化評論家)」氏によればそうなる(書いてあることがなにか高度な冗談か、世相を批判する風刺文でなく、書いてある通りの意味であるなら)。

 するとやはり、同様の問題が発生する。息子を大学に―ちょっとよい奨学金付きで―行かせるだけの背景を持った家庭出身者をはじめとする都市部居住者は新品のステキな靴のみならず、宝飾品店に突撃して何百ドル何千ドルを数時間で手に入れることができるが、そんな都市部に出てくるのにも8時間かかるような田舎で小作じみた農業をやらざるを得ないような層は―どのように補償をうけることができるのか? 黒人差別の残滓に苦しめられているのは誰なのか?

 …これ、トランプが地方で勝利できてしまった、重大な課題であったはずなんだけど。
 都市部エリート(という位置づけになってる人たち・自認する人たち)はこの4年間、『田舎の無知な大衆ども』をどう説得できたんでしょうね?とは非常に疑問に思うのです。

 我が国においても同様。
 安倍氏を積極的に侮辱するのは、まあ人の趣味ですから構いませんが。そんな自分を称賛しない人を「発達障害」と言って済ます類もあることで(※実際に言われた)、ヘイト貯めて、何をどうしたいんだと。

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