自分の判断能力に自信を持つのはよいことですが

　自分の判断能力，理性に信を置くのはよいことではあります。のですが，それはそれとして，ある事物に関する判断なりなんなりは―外界の事物の情報に基づくものでありますが―あくまでその思考する当の人の脳髄の中の存在であることから完全に自由ではありえず，従ってそのまま思考対象たる外界の任意の事物そのものであるとは限らない，というか少なくとも一応別物であることは疑いない，と言っていいのではなかろうかと考察するところなのですが，他人の思考を，しかも断定的に読むというのは大変難しいことなんではないかと思うのです（日記）。

　ちょっと視野を広めてみますと，ソマリア沖で日本の企業所有の船が海賊被害に遭った際には，極端なのでは『これは自衛隊給油活動を再開／延長するために起こされた日本政府（及び米国）の陰謀っ！！』と断じたり，或いは『こんなタイミングで報道されるのはきっと政府のプロパガンダっ！！』なんて具合にヒートアップしたりするひとが沸いて出ます。後者の場合，マスコミは政府の統制を受けていると考えるもののようですが，そのマスコミはしばしば（推定）右派からは『サヨクの手先売国奴』あつかいされるのでして，政府の統制を受けつつサヨクの手先として活動せねばならないマスコミの皆さんは大変ですね。

　例えば今朝の新聞に，消費者保護のための野田大臣殿に，消費者を食い物にするあむあむな会社がパーティー券を買ってましたこれってどーお？な報道が載ってましたが，これは売国勢力による野田降ろし～自民党攻撃の烽火とみるべきか自民党の統制をうけたマスコミによる野田切り宣言なのか，知性深き方々のご意見を伺いたいところ。

　あるいは政府与党（自民党）としては，ソマリア沖の海賊対策に自衛艦を派遣できないか考慮中ということだそうですね。これはあれです，国連の意向に沿うもので，地元政府も賛成の方向であって，私の理解では『国連による安全保障担保』を主張する我等が民主党としては，自衛艦ソマリア派遣法案には自民党議員を押し退けてでも絶対賛成票を投じまくらねばならないのでしょうけれど，なんかこの案も前途多難な様子。

　つまりは外見だとか，端々の発言だとか，或いは年来の主張（のように見える／である）だとかでも，必ずしもその真意だなんてそうそう簡単に分かるものじゃない，というか真意だとかを一元的に把握できるよーに信仰するのは脳味噌単純すぎないかと思ったりもするところなのであったり。