空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

難民デモ;政府の非常事態宣言;アルシャバブの「裁判」;エチオピア軍の「進駐」について

2009-06-23 18:24:38 | ソマリア関連
Garowe Online Somalia: Mogadishu protestors demand food aid Jun 22, 2009 - 3:47:20 PM

 モガディシュ発,6月22日。モガディシュ市中で避難民キャンプでの水と食料の不足を訴えるデモ。最近の戦闘激化でさらなる避難民が発生したことに端を発する。「諸援助団体に人道援助をもとめます―避難場所もなく,水も食料も無いのです」と80歳のおばあさん,Ibado Nurは言う。

 抗議行動組織者の一人Halimo Saladは,モガディシュ―アフグイェ間の避難民キャンプの状態は恐るべきものと語る。「プラスチックや箱や古着をつかって仮小屋を造っているんです」とHalimo女史曰く。

 …全く知らない言語だと,音を聞いただけでは男女も何もわかりませんねぇ。

Garowe Online Somalia Islamists warn against foreign intervention Jun 21, 2009 - 6:16:51 PM

 これはAFPの記事を利用しているようです。モガディシュでアルシャバブが声明を発し,諸国に軍事介入しないように警告すると。明確な警告clear warningを発するのであって,その神聖なる領土holy soilに兵を入れようものなら,棺に入れて戻すことになるだろうとSheik Ali Mohamed Rage氏が語るという。Rageなる名は耳に新しいかな。

 なんかもー,私の英語力が不足して読めないんじゃないかとゆーくらい,威勢のいい声明を発するようで…:
「言っておくが,我らの犬猫がお前たちの兵らの死体を享受するだろうさ,もしもこのスパイども(暫定政府)の求めに応えようとするならな。そういうのも,お前たちが生きようとするよりももっと,我々はアラーの道に従って死なんとしているからだ」。

 相手先をスパイ(意味するところは背教者ということになるか―敵=Ethiopia/Western powersと結ぶ連中,ということだから)呼ばわりとか,まあ事実上の死刑執行宣言ですかね。

Garowe Online Violence spirals out of control in south-central Somalia Jun 21, 2009 - 5:37:31 PM

 モガディシュでの暴力騒擾はだんだんに程度を増し,暫定政府の対応できる限度を超えつつある様子。少なくとも市街戦で有力指導者(議員や警察指導者)が戦死するほど。それゆえにこその,例の「24時間以内の軍介入を求める」発言でしょうが,そういう状況を伝えるほか,キスマユのアルシャバブ政権が公的にベレトウェインの自爆テロを称賛した件を報じます。

 広報担当者Sheikh Hassan Yakubが言うには,治安相の死を聞いて彼は「"happy"」だと―少なくともAweysが"saddened"と言ったのとは異なる反応で,Hashiとの個人的関係の希薄さが思われます。

「我々は,誰であれ背信に関与した者を殺すことを約する」。この件で注意すべきなのは,彼は援助団体を「諸外国の関心のために働く」ものと断じ,アルシャバブ支配下の領域から去るよう求めること。「援助団体はソマリアのイスラミストに反抗する者を支持している」と,Sheikh Sharifの政府を念頭において語るとのこと。

 首都では危機が続き,モガディシュでアルシャバブ法廷が開かれ,窃盗者に手足切断刑が言い渡されるほど:

BBC Somali 'thieves' face amputation  22 June 2009 17:46 UK

 携帯電話と銃器の窃盗容疑。犯人は容疑を認めたとされます。まあ,例の13歳少女も,実は自分は23歳で(主体的に)浮気行為をしたので潔く刑に服します的な事を言ったとされてたはずですし。こうした刑罰に関するアルシャバブの公式見解にどれほどの価値があるかは大いに疑問でしょうが。"a sham al-Shabab court"とは,少なくとも時折全く正当な表現ですわね。

 いやまあ,あまりにろくでもないから報道されるのであって,この「少なくとも時折」の表現で彼らが日常的には真っ当な裁きをしている可能性を考慮したいと思ったのですが―…携帯電話3台と突撃銃2丁で4人の手足切断とはやはり現代的には不当判決と言うべきだろうことは揺るがないなあ…。

 ともあれ,ンな不寛容な支配にソマリ人は従来服しておらず,キスマユでの原理主義的行動はさておきモガディシュでここまでの判決が行われるとは驚きであり―暫定政府の支配力低下を印象付ける事件ではあります。

BBC Somali president calls emergency  22 June 2009 16:18 UK

 でまあ,大統領は非常事態であると宣言する。以下記事は最近の状況を説明しているので,上掲記事は最近の情勢を一覧するのに便利だと思います。
 尤も,非常事態と言ったからといって,現実に何がどう変わるかは不明。AUは軍隊派遣要請自体は理解するようですが,で,誰が送ってくれるんですって? たかが8000のAMISOMの定数が満たされたのはいつです?(※まだです。つか,数年前には,ウガンダとブルンジ以外の国の名前が挙げられてたはずですが,彼らはブーツひとつ派遣してない様子)

 但し,暫定政府側が外国軍招致を公言したことで,Aweysの暫定政府への対応が冷却化するのは当然でしょうね。あとは彼の判断基準の天秤がどちらに振れるかですが。

 俗流ワッハーブのなれの果て(らしい)の力を借りてでも現政権打破を目指すか? ―それが成ったあと,ソマリアが果たしてソマリ人によるソマリ人の国家としてあるかというのは微妙でしょうが。
 ソマリア国粋主義の立場をとって,寧ろアルカイダ(的)勢力を駆逐するか? ―その能力が彼の勢力にあるかどうかは大いに疑問とすべきところでしょうか。

 さまざまな計算がなされているでしょうけど―AweysもAweysで綱渡りを強いられているかと思います。
 アルシャバブは,彼らが裏切り者と見做した人物を暗殺するのに手段を選ばないようです。Turkiは,もし既に死んでしまっているとしても,堂々たる戦闘の中での名誉ある戦死です。多少場末感があるにせよ。しかし最近のアルシャバブの暗殺方法はいかにも卑劣だ。個人的名誉が大きな社会的意味を持つ社会で,ちょっとこれはないんじゃあないかと。

 そしてそうした暗殺行為で殺害されているのは,Aweysの個人的知己です。
 Aweysは,下手を打てば,手足も衣も―つまり,個人的交友関係を―奪われた裸の王様になりかねないだろうと,まあそんな心配をしてみたり。まー伝統的なイスラムの信仰を捨てて外来の変なのに鞍替えするのもアリですが,それ,地元の信頼を失うだろーなー。 

 うん。ムスリムはムスリムを殺すことを禁じられている,だが相手を背教者等々と認定することで,死刑執行という形でムスリム(でかつてはあったということは殺害者も認めるであろう人物)殺しを可能にするという理屈は理解はするんだが,無論アルシャバブも暫定政府も事実上相互に無信心者扱いしていることも分かるんだが,現場で最高神の名の下に殺戮命令出せる状況ってのはどーだろーねー…。

 閑話休題。

ShabelleMediaNetwork Ethiopian troops start searching activities in central Somali  Posted: 6/22/2009 4:55:00 PM

 でまあ,一部日本語報道だとソマリアに進駐したというHiranのエチオピア軍ですが,そのソースになったアルジャジーラの中の人の分析通りというべきでしょう,交通の要点を押さえた上で検問をしているそうです。荷物を降ろさせてまでチェックしていて,(エチオピア領内への)武器の移送を警戒しているらしい,とのこと。

 付け足しておきますが,ソマリアのその他の民兵たちが何をやっているかといえば:

ShabelleMediaNetwork Three people killed in Jowhar town Posted: 6/21/2009 4:55:00 PM

 記事ID=7000。ジョウハル発のニュース。ジョウハルから29kmほど東に行った村,Hableyで銃撃事件。3名死亡,1名負傷。夜間侵入した銃撃者が人口稠密なあたりで銃を乱射,女性を含む3名が死亡したというわけ。

 これはHiran県と中Shabelle県とに住む住民間の紛争に根を発するものと思われる,とのこと。

 mediationの努力は個々に為されているながらも,こういう私的な暴力が振るわれる。万人の万人に対する闘争状態,ってのがしゃれにも理論的前提にもならぬ現実な,こーゆーのになるくらいならまずまずな中央政府の統制に従った方がはるかにマシだろうという感じ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 大統領はクウェート訪問から... | トップ | 雑感 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ソマリア関連」カテゴリの最新記事