空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

入試制度改革案へのメモ (毎日新聞報道による)

2013-10-11 12:40:00 | ノート
毎日新聞 国公立大入試:2次の学力試験廃止 人物評価重視に 2013年10月11日 07時00分(最終更新 10月11日 09時33分)

政府の教育再生実行会議(座長、鎌田薫・早稲田大総長)が、国公立大入試の2次試験から「1点刻みで採点する教科型ペーパー試験」を原則廃止する方向で検討することが分かった

下村文科相は「学力一辺倒の一発勝負、1点差勝負の試験を変える時だ」とし、新テスト創設の必要性を強調。さらに、大学ごとに実施する2次試験について「大学の判断だが(同会議では)2回もペーパーテストをしないで済むよう考えたい」「暗記・記憶中心の入試を2回も課す必要はない」と述べた

 つまり「思考力・論理的構成力を測る試験」ならいいわけですね(にこり)。
「暗記・記憶中心の入試を2回も課す必要はない」」わけですね。

 …「「暗記・記憶中心の入試」」で選抜せざるを得ないところが重大な影響を受けることになるかなとか。

 現行のAO入試の問題点については:

だが、面接や論文、課外活動の評価を重視する新しい2次試験では、従来のペーパー試験に比べ、人手など膨大なコストが発生する。下村文科相は「改革を進める大学には、補助金などでバックアップしたい」と述べ、国が費用面で支援する考えを示した

 そんなわけで,すぐさま思いつくのは『ペーパーテストの成績はよいが,その後の学生生活に著しい困難が予測される者』(※多様な意味合いを持つ表現)を面接点(コミュニケーション能力だとか)で落としちゃう合理的理由に転用する,あたりでしょうか。
 まあ論理的構成力の点で落とす手もありますが。

 要は,発達障害等の子を「合理的」「合法的」に排除する手として使えるわけで。
 私,その点からも,この方針はあまり好きでないな。



 こーいう問題もある。
 お金持ちのところのほうが,「国際的」な環境を用意しやすいとか,まあいろいろ。

 まー,もちろん科挙でも低収入階層からの下剋上はそれなりに可能だったりしたようで。

 例えば…中学校ないし高校のレベルで,そうねえ,県単位くらいで国際化プロジェクト予算をつけて,公費持ちの中高生海外派遣プログラムをやるかな。
 この場合,親の収入を見て,低収入組の利益を図ってみるよう指導くらいはあるかな。
 が,当然,「海外派遣に相応しい語学力」も見るよね。
 結果として,「成績のいい子」が優遇されるわけだ。

 なのでとりあえず
1. お金持ちの子で,成績がよい子
2. 低収入家庭出身で,成績がよい子
3. お金持ちの子で,成績がよろしくない子
4. 低収入家庭出身で,成績がよろしくない子
 のパターンが考えられ,なんだ今と同じじゃないか。

 あえて良い点を見出そうとすれば―若年時は,女の子の方が”マジメ”な率が高いので,一部の意欲的な・成績の良い女子の進出が進むかなというところ。二極分化が進むだけともいうかな,これ。

 ―とりあえずtwitterをいくつか見ると,『金持ちのボンクラ息子が今まで以上に優遇されるってことかよー』なんて感じのつぶやきが見えたりしたが,その面は否定できないかもしらんが,全面的ではない。

 なぜなら,グローバルなんとかとか,世界で戦えるリサーチ・ユニバーシティだとかという目標と適合しないからだ。『金持ちのボンクラ息子』はフィールズ賞とかとれないだろ。

 そんなわけで,実務をやる係,研究をする係,論文を書く係…(私が学者コースなので例示が一般的でない)…の選抜・教育は今まで通り,または今まで以上に行われる(行わざるを得ない)。

 
 ―そういう人材を外国から移入するという手はある。そゆ人たちを雇い入れるお金がぼんくらーズなトップに捻出できるかという問題が出るが。

 まあ企業さん等々のトップも外国から雇い入れるという手もある。

 …そんなこんなで,『をを! つまりこの政策,すなわち日本人愚民化政策は日本の指導層を外国人で埋め尽くし,日本人を低階層に落とし込む,売国奴の政策なのだああああ』と吹きあがる人が出るかと思われるが,資本の論理としても一定程度以上優秀な労働者が欲しいはずでね。現地調達できたほうがコストかからん。

 そんな意見に対して『外国人労働者大量導入計画を知らんのかああ』と言ってくる人もいるかなーとか思うが,入れ替わるだけの大量移入があったら,それ,もう「日本」ってコミュニティの一部にならざるを得ないというか。

 …しかしまあ,上の議論でも,多少の学力選抜の要素はあるわけでさ。(嫌な言い方だが)上澄みはすくい取られるわけだ。

 してみると,年複数回ある学力検査のどれかで及第点をとればいいじゃなーいという話になる。

 要は,「1次試験で大学入試センター試験を基にした新テストを創設。結果を点数グループでランク分けして学力水準の目安とする」とすると,複数回の”センターテスト”のどれかで9割(ちょい)取れれば東大・京大合格圏確定,ってことになる。

 それ,足切り制度の厳格化って言わないかな。

 僕の頃だと,東大ってセンターの割合低いので(今は知らない),本試験で大逆転って可能だったけど,その可能性もなくなっちゃう―「人格」が優れてないとダメ,ってことになっちゃう。

 すると,あーいう制度で落ちちゃう典型は,1. 複数回の試験で確実に落第点を取り,2. 一発逆転の可能性を高める付加価値を付けることができない,人になるのではないか。


 なんだ,今と変わんないじゃない,みたいな。

 今よりひどいのは,落ちた人に対して,『お前は頭が悪いだけでなく,人格的にもアウトだ』と烙印が押されかねないというあたりかな。成り上がりや敗者復活がびみょーにきっつくなりそうだけど,私の思想的立場からは,”全人民が望むのであれば,それもよかろう”になりそうな感じ。

 きっついなー(※敗者復活組より)

 ともあれ,学生生徒への「正義論」演習のタネに非常に使いやすいなと。

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