今日のタイトルは、日本経済新聞社日曜版の読書面にシリーズで掲載されて記事です。毎回、トップ企業の社長・会長の読書歴が紹介されています。
今月4日の記事の中で興味を引く本が紹介されていました。タイトルは「考える技術・書く技術」(板坂元著、講談社現代新書刊)。初版は1973年ですが、昨年71版が発行されました。隠れたベストセラーと言えるでしょう。
早速、購入して読みはじめましたところ、何故かアイビーの記述がありましたので紹介させてもらいます。
その内容とは、
十何年前(初版の刊行が1973年なので1960年頃と思われます)ハーバード大学に赴任した
とき、まず目を見はったことは、学生が敷ぶとんの生地に使うような布でつくったスポーツコー
トを着ていることだった。
むかしの日本の田舎では、敷ぶとんだけでなく、お寺や旅館の座ぶとんにもあんな縞の材
料が使われていたものだ。あの生地はヨーロッパでは、ついぞ見なかったものなので、おどろ
きであった。ところが、その生地が四、五年したら日本に輸入されてアイビー・ルックとして大
流行したのには、二重に驚かされた。当時、この服装を現地でたしかめようと視察に来た人を
世話して、ハーバードのキャンパスの中で、片っぱしから学生をつかまえては、「なぜ、その柄
の上着を着ているのか」と質問したことがある。ほとんど、自分にはわからないという答えだっ
たが、中の一人は、よく事情を知っていて教えてくれた。この生地は、もともと印度産の木綿で
あって、安くて強くて何度も選択がきくのでわれわれ貧乏学生の上着に適している。だから、
みんなが着ているのである。と。なるほど、そういえば日本の敷ぶとんの生地も、印度わたり
の安木綿だったのだから、同じ材料だとわたくしは大いに喜んだ。そばに立っていた視察の
日本紳士の憮然とした顔つきは、今も忘れられない。
あれも、印度の学生やブラジルの学生が着ているといったのではブームにならなかっただろ
う。むかし安旅館のふとんに使っていたでは、なおさらダメだったはずだ。ハーバード・エー
ル・プリンストン等の学生が、というので人々のお気に召したのにちがいない。
説得という点か ら見れば、あれを日本に持ちこんだ人は天才である。
です。
注目は最後の「あれを日本に持ちこんだ人は天才である」ところです。その天才とは誰のこと
でしょうか。興味があります。
そして、「敷ぶとんの生地に使うような布でつくったスポーツコー ト」とは何を指していのでしょうか。
まず、「むかしの日本の田舎では、敷ぶとんだけでなく、お寺や旅館の座ぶとんにもあんな縞の材料が使われていたものだ」というところから、素材は綿で、柄はいわゆるアイビーストライプと思います。
つぎに、「スポーツコート」という語ですが、引用された文の後段でこの生地が「上着」に適しているとありますので、ジャケットの意味と思いました。
「オフィシャル アメリカントラッドハンドブック」にあたりましたら、「スポーツジャケット」の項に、
アメリカの業界用語では、「スポーツコート」か「スポーツジャケット」だが、日本人はコートと言うと、丈の長いものを思い起こすので、ここでは「スポーツジャケット」という言葉に統一しておこう」
とありました。(p.110)
以上から、アイビーストライプのコットンのジャケットと推察します。
http://www.dev.world.jp/rugged-factory/items/48004.html
こんな感じのジャケットだろうと思います。