雲龍山の麓、「吉野工芸の里」の敷地に「御仏供杉(おぼけすぎ)」と呼ばれる杉の巨木があります。その形が「御仏飯(おぶっぱん)を盛ったように見える」と言う事から、いつの間にかその名で呼ばれるようになりました。
樹齢は約700年。白山市吉野の山中に祇陀寺(ぎだじ)を開いた『大智禅師』がこの地を去る時に、杉の小枝を逆さに地面に挿したのが今の御物供杉であるといわれ「さかさ杉」とも呼ばれています。
昭和13年8月8日、日本の名木百選にも選ばれた「国指定天然記念物 :御仏供杉」。この木を見る為に訪ねてきた私たち。これが一本の杉の木だと誰が想像できたでしょう。あの杉林の中に目指す「御仏供杉」があると信じて疑わなかった程、その姿は巨大で際立っていました。
「御仏供杉」からさして遠くない高台に座していた『大智禅師』坐像。
高さ約19m,地上1mほどのところで約40本の枝が四方に広がった様はまさに圧巻。じっと見上げていると緑の中にあらゆる物の姿が見えてくるような・・・御仏杉の真ん中に立って目を閉じると、まるで木々の胎内に居るような不思議な感覚に襲われます。
それは700年もの長い時間を生きてきた樹木の生命の力なのか、ただの思い込みなのか・・なんだか、考える事が面倒なような、ただそこに居る事が幸せ・・そんな気持ちになれるのです。
「吉野工芸の里」にある江戸時代の古民家「鶉荘(うずらそう)」。文化交流サロンとして活用されているそうですが、生憎と早朝だったせいか人の気配も無く、聞こえるのは山の息遣いと小鳥の声だけ・・
そんな私たちの目の前に現れた小さな子猫。もしや捨てられた子猫では!?と胸を痛めましたが、お世話をされる方がおられたようで他に何匹か仲間の猫さんたちも居ました。 雨露をしのげる場所を作ってもらって、ご飯も用意してもらっている様子に、思わず「良かった・・」。冬になればこの辺りは豪雪地帯だと言います。どうか元気で生をまっとう出来ますように・・
訪問日:2015年10月21日