60周年を迎えた「天満屋みのり会」の「市川猿之助 市川中車襲名披露公演」
私がスタッフとして参加している「おかやま・歌舞伎・観る会」の発足会はは、1997年10月。片岡愛之助丈をお迎えして開催した。そして翌年、片岡我當丈を座頭とする「歌舞伎鑑賞教室」を主催して開催することとなった。(広い岡山市民会館での二回公演でとも満席で開催した、今から考えると奇跡)。
その際、最も気を配ったのが「天満屋みのり会」さん。何しろ岡山の地では、歌舞伎観劇といえば「天満屋みのり会」だったから。そこで、松竹の方に同行していただき、天満屋さんにご挨拶に行った経験がある。もちろんその際、温かく対応していただき、ご理解いただいたからこそ今日がある。
昨日はその「天満屋みのり会観劇会」の「市川猿之助 市川中車襲名披露公演」を観劇させていただいた。猿之助(四代目)&市川中車(九代目)の舞台に魅せられた。とてもステキな舞台だった。ホント、猿之助は魅せる。
と同時に昨日は、11月の私たちの公演について、松竹の担当の方と少しだけ打ち合わせをさせていただいた。加えて、公演運営についても学ばせていただいた。一石三丁の日だった。それにしても昨日の岡山市民会館は、大変な賑わいと盛り上がりだった。感動の時間を過ごした。
ところで「天満屋みのり会」は当日の配付資料によると、1954(昭和29)年発足し今年60周年を迎えている。その年の最初の歌舞伎公演は、奇しくも二代目市川猿之助の公演となっている。
岡山では歌舞伎を見ることのできる機会は、この「天満屋みのり会」さんだけだった。それが今では、私たちが主催させていただいているの公演も含めて、たくさん観劇する機会ができている。ある年は、私たちの公演以外に、天満屋みのり会、そして高梁、倉敷、津山でも開催された。年五回も歌舞伎が開催される地方都市はそんなに多くはない(と思う)。
ところで昨日の「みのり会」さんの公演は、広い1700席の岡山市民会館での二回公演はいずれもほぼ満席、そして同じ「市川猿之助 市川中車襲名披露公演」は、明日・14日に高梁総合文化会館(1004席)でも開催され、これも満席状態と聞く。岡山での歌舞伎人口に拡がりに、私たち「おかやま・歌舞伎・観る会」は、いささかなりと貢献しているのではと自負してもいる。
そして同時に、こんな人気の公演がありながら、よくぞ私たちの「備前おかやま松竹大歌舞伎」公演のチケットを、完売させることができたとこれもいささかの誇りにも感じている。いろんなことを感じた、昨日の観劇であった。そして感激の時間だった。
三國連太郎の出演作で唯一の未公開となっていた映画「朽ちた手押し車」
「2013年に他界した名優・三國連太郎の主演で1984年に製作され、認知症の老父と末期患者の老母を抱えた家族の苦悩を描き、高齢化社会や尊厳死、安楽死といった問題をえぐり出した作品」。
それが三國連太郎の180本を超える出演作品の中で、唯一の未公開となっていた映画「朽ちた手押し車」。30年ぶりに公開となり、一昨日観に行った。
いささかにシンドイ作品、テーマといい内容といい。それでも、観てよかったと思える作品。30年前、公開されなかったその理由も少しだけ理解できた気がする。
それにしてもこの役のために歯を抜いたと聞く三國連太郎の演技は凄かった。まさに名優、そして怪優。この俳優が今はいないことを、今更ながらに惜しんだ。